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暴力を知らせる直感の力

暴力を知らせる直感の力
悲劇を回避する15の知恵

2017年5月発売/四六判 400頁
ISBN 978-4-7759-4174-4
定 価 本体1,600円+税
著 者 ギャヴィン・ディー・ベッカー
訳 者 武者圭子

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目次著者あとがき

全米ベストセラー!!
FBI、CIA、連邦最高裁、大企業、数多くのハリウッドセレブが頼りにする
危機管理の専門家が教える
ストーカー、脅迫電話、DV、職場内暴力、レイプ etc から逃れる方法

あなたの「直感」こそが安全の礎石である??
自然がつくった最高傑作とも言うべき人間の脳は、その持ち主が危機に直面したときに、もっとも有能に働く。そのとき、直感は通常とはまったく違うレベルにまで高められ、見事、あるいは奇跡と言ってもよいほどに研ぎ澄まされる。 直感は、Aを聞いてZを知る。直感は、理屈抜きでわかるということなのである。(本文より)

本書はアメリカの暴力犯罪分析の第一人者、ギャヴィン・ディー・ベッカーが、自身の長年にわたる経験と実績をもとに、暴力犯罪から身を守る知恵をまとめたもの。

著者のギャヴィン・ディー・ベッカーは、暴力犯罪予測のスペシャリストとして、政治家や映画スター、ミュージシャン、スポーツ選手の警護を担うとともに、会社役員から学生まで、身の安全を心配して訪れる幅広い顧客の相談にのっている。

自身、こども時代の大半を暴力のなかで過ごしてきたという著者は、「暴力と非暴力の世界の両方の言語に通じ」、そのため「多くの暴力犯罪者の考えていることがわかる」。そして、どんな人間にも暴力性はある(言いかえれば、場合によってはだれでも犯罪者になり得る)という視点が、暴力犯罪の予測には重要だと説く。

「とてもそんな人には見えませんでした」というのは、何か世間を騒がせるような事件が起きたときに、犯人を知る人たちからよく聞かれるコメントだ。けれどその普通に見える人の直前の行動に、状況に、あるいはもっと前の行動に、危険信号は必ず灯っていると著者は言う。それを察知できるのはほかでもない、人間がだれでももっているはずの「直感」である。

「直感」がうまく働かず、あるいは否定されて、なにが本当の危険かわからなければ、必要もないのに怯えて警戒したり、逆に差し迫った危険に気づかなかったり、といったことが起こる。本物の「恐怖」というのは、危険があるときにそれを知らせてくれる大事な危険信号で、直感の「下僕」だと著者は言う。では直感力を磨くにはどうしたらよいか。その方法を、著者は豊富な実例とともに、ときにユーモアを交え、わかりやすく教えてくれる。

一口に暴力犯罪と言っても、ひったくりのような単純な犯罪からコンビニ強盗、見知らぬ人間によるつきまといや逆ギレ、恨みによる犯罪、DV、ストーキング、デート・レイプ……まで、その範囲は広い。だが危険から身を守る方法の基本には、共通するものがある。

(「訳者あとがき」より抜粋)


目次

日本語版に向けての著者からのメッセージ
1章 そこにある危険
2章 直感に耳を傾けよ
3章 だれもが犯罪者になれる
4章 危険を回避するために
5章 人間関係の予測
6章 暴力をどう予測するか
7章 殺すという約束
8章 しつこく、ひたすらしつこく……
9章 「クビにしたら殺すからな」
10章 夫に殺される妻たち
11章 「やんわり断ろうと思ったの」
12章 暴力とこどもたち
13章 だれにも相手にされないよりは、警察にでも追われたほうがまし
14章 差し迫った危険
15章 恐怖の贈り物
訳者あとがき


著者紹介

著者

原書

ギャヴィン・ディー・ベッカー Gavin de Becker
暴力予測の専門家、防犯コンサルタント。これまでに3度、アメリカ大統領の指名を受け、要人警護のための政策立案に携わる。その先駆的な研究によって、政府が国の重要人物に対する脅威を評価する方法が変わった。彼の会社は、暴力の予測に関して世界中の著名人、企業、法執行機関の多くをクライアントに抱えているほか、一般のドメスティック・バイオレンス(DV)やストーカーの犠牲者を支援するサービスも提供している。また、O.J.シンプソン事件をはじめとする数多くの主要な暴力事件について検察に助言、あるいは法廷で証言するだけでなく、暴力犯罪を防止するための新しい法案にも尽力した。2017年現在、本書は世界19か国語に翻訳されている。

訳者紹介

武者圭子(むしゃ・けいこ)
静岡県生まれ。翻訳家。訳者に『サークル・オブ・マジック 魔法の学校』(小学館)、『あの瞬間、ぼくらは宇宙に一番近かった』『世界を旅した猫ヘンリエッタの華麗な生涯』(ともに講談社)、『砂漠の女ディリー』『ロケットボーイズ』(ともに草思社)などがある。

原著:The Gift of Fear and Other Survival Signals that Protect Us From Violence


訳者あとがき

 本書はアメリカの暴力犯罪分析の第一人者、ギャヴィン・ディー・ベッカーが、自身の長年にわたる経験と実績をもとに、暴力犯罪から身を守る知恵をまとめたもので、今から十八年ほど前に邦訳出版された。原題は「The Gift of Fear」。恐怖が授けてくれるもの、といった意味だ。当時も今と変わらず、さまざまな暴力犯罪はあったが、日本ではまだストーカー殺人は珍しく、ドメスティック・バイオレンス(DV)という言葉もそれほど頻繁に聞くようなことはなかったと思う。

 だから著者の言うように、「日本は暴力犯罪の少ない安全な国」だと、みんな思っていた。それがいつの頃からか、変わってきたように感じる。暴力犯罪のじっさいの件数はともかく、ストーカーが被害者を、ただつけまわすだけでなく殺したり、大きなケガを負わせたりするような事件がいくつも起き、DVから逃れてきた妻を夫が捜し出して殺すとか、若い男が小さな女の子を誘い出して殺す、あるいは親が自分のこどもを虐待の果てに殺すといった、いわば「日本離れ」した事件が増えているような気がする。

 それでも著者の言う通り、銃を合法的に所持できない日本は、アメリカの基準に照らしてみればとても安全な国である。だがその「安全神話」に、安住しているわけにはいかないのはだれの目にも明らかだろう。

 こうした日本社会の変化を受けて、本書は再び世に出ることになった。著者による人間の暴力性への洞察は鋭く、普遍的だ。そして暴力犯罪に巻きこまれないようにするための対策は、具体的で役に立つ。残念な話だけれども、今の日本が、この分野での先進国であるアメリカから学ぶことは多そうだ。

 著者のギャヴィン・ディー・ベッカーは、暴力犯罪予測のスペシャリストとして、ロサンゼルスに「ギャヴィン・ディー・ベッカー・インコーポレイティッド」を設立し、政治家や映画スター、ミュージシャン、スポーツ選手の警護を担うとともに、会社役員から学生まで、身の安全を心配して訪れる幅広い顧客の相談にのっている。

 自身、こども時代の大半を暴力のなかで過ごしてきたという著者は、「暴力と非暴力の世界の両方の言語に通じ」、そのため「多くの暴力犯罪者の考えていることがわかる」。そして、どんな人間にも暴力性はある(言いかえれば、場合によってはだれでも犯罪者になり得る)という視点が、暴力犯罪の予測には重要だと説く。

「とてもそんな人には見えませんでした」というのは、何か世間を騒がせるような事件が起きたときに、犯人を知る人たちからよく聞かれるコメントだ。けれどその普通に見える人の直前の行動に、状況に、あるいはもっと前の行動に、危険信号は必ず灯っていると著者は言う。それを察知できるのはほかでもない、人間がだれでももっているはずの「直感」である。

「直感」がうまく働かず、あるいは否定されて、なにが本当の危険かわからなければ、必要もないのに怯えて警戒したり、逆に差し迫った危険に気づかなかったり、といったことが起こる。本物の「恐怖」というのは、危険があるときにそれを知らせてくれる大事な危険信号で、直感の「下僕」だと著者は言う。では直感力を磨くにはどうしたらよいか。その方法を、著者は豊富な実例とともに、ときにユーモアを交え、わかりやすく教えてくれる。

 一口に暴力犯罪と言っても、ひったくりのような単純な犯罪からコンビニ強盗、見知らぬ人間によるつきまといや逆ギレ、恨みによる犯罪、DV、ストーキング、デート・レイプ……まで、その範囲は広い。だが危険から身を守る方法の基本には、共通するものがある。

 今よりもっと安全に、安心して暮らせるように。これから恋人を見つける若い女性にも母親にも、妻子や恋人を守りたい男性にも、「危ない」同僚や部下がいるかもしれない男性にも、そのほかいろいろな立場の人に、本書をぜひ読んでほしいと思う。

     二〇一七年五月

武者圭子


暴力犯罪防止の父、ギャヴィン・ディー・ベッカー

ベッカー氏がこれまでに影響を受けた書籍に挙げている『FBI心理分析官』(早川書房)。
その著者で元FBI捜査官のロバート・レスラー氏は、1970年代に実在する殺人犯たちと面会し、犯罪者プロファイリングの確立に貢献した。映画 『ハンニバル』『羊たちの沈黙』の原作や、米ドラマ 『クリミナル・マインド』などもプロファイリングを題材にしている。

また、1990年代に放映された『ツインピークス』でFBIエージェント役を演じた Miguel Ferrer は古くから知るベッカーをモデルに演じたという。

ベッカー氏が開発した脅威評価システム MOSAIC は、現在も全米で多くの警察や裁判所に採用されており、 暴力犯罪から身を守るための重要な礎となっている。

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