『トレードの ストレス解消法』 もついに刊行! |
2007年8月15日発売/四六判
ISBN 978-4-7759-7090-4 C2033
定価本体3,200円+税
著者●エイドリアン・ラリス・トグライ
訳者●井上実
エイドリアン・ トグライ |
トップトレーダーの上昇思考モデルとは?
トレーダーとして成功を極めるため必要なもの・・・・・・ それは「自己管理能力」である。
優れたトレード書の充実、パソコンの高機能化、ネット環境の向上によって、 個人トレーダーでも独自の売買アイデアを具現化し、検証し、実践することが容 易になってきた。ところが、それでも安定した収益を達成できず、悪戦苦闘して いるトレーダーは多い。
その大きな理由のひとつに挙げられるのが「心の問題」である。
実際のところ、心の問題から派生するネガティブ(後ろ向き)な姿勢がトレー ダーの成長を阻んでいるケースは多い。例えば、売買技術を学び・応用しようと する「意欲」や、売買アイデアを分析・検証する「努力」が足りない・・・・・・ある いは売買ルール通りに実行する「勇気」や、売買戦略を一貫させる「規律」に欠 けている・・・・・・などである。
心の奥底に潜む問題を究明し、その抜本的な改善策を講じ、ポジティブ(前向 き)な姿勢に転換できなければ、トレードでの長期的成功はおぼつかない。では 「抜本的な改善」を図るため、どのような方法があるのだろうか?
本書『NLPトレーディング』の著者、エイドリアン・ラリス・トグライ氏は、 心理学が心的問題の克服に果たす役割を指摘したうえで、こう主張する。
「あらゆる心理学が自分にとって有益なものであった。しかしNLPが、変化を もたらす点で最も速く、最も効果的だった。熟練したNLPの治療師であれば、 人々がどう自分たちをプログラムしたか、そしてどこを叩けばよいかが分かる。 叩くポイントさえ分かっていれば、それによって起きる劇的な変化はきわめて短 時間にもたらされ、しかも効果があるのだ」
NLPとは「Neuro-Linguistic Programming=神経言語プログラミング」の略。 氏は、NLPのことを「モデル化の科学」と説明している。まず、トップトレー ダーに共通する行動・戦略・考え方をモデル化する。そして、心の問題から派生 するネガティブな思考経路をポジティブな思考経路に転換させるため、思考プロ セスをモデルに置き換えるのである。このことが、自らも同じ成果を上げるのに 最も迅速かつ効果的な方法というわけだ。
本書は、いまひとつ壁を越えられないでいるトレーダーたちにトグライ氏が教 授し、成功をもたらしてきたNLP実践例を集約したものである。本書に登場する 氏の顧客に自分自身を重ね合わせる読者もいることだろう。氏が、どのような指 摘をし、どのような克服法を紹介したのか、ぜひ参考にしてほしい。
本書で提示されたテクニックは自己管理の向上に直接的・間接的に役に立つは ずだ。それはトレーダーとしてのビジネスだけでなく、生活一般にもポジティブ な影響をもたらすことだろう。
「まだ私が取引所(立会場)のトレーダーであれば『この本を読まないでくれ!』と言ったかもしれない。なぜなら、ここに書かれているすべてが、私の求 めていたトレードで優位に立つための秘訣だからだ。トグライが提示してくれる 洞察と戦略は、相場を卓越しており、トレーダーが自らのルールを順守するのに 有益かつ効果的である。もし、あなたが自分の心の修養に苦労しているのであれ ば、彼女の一連の著書(ウィニング・エッジ・シリーズ)に書かれた教えを必要 としているのだ」
――スコット・スラツキー(トレーダー、『The Complete Guide to Electronic Futures』の著者)「トグライは、またしてもやってくれた・・・・・・。トレーダーたちが人生のあらゆ る面で最高の能力を発揮するための原動力を与えてくれたのだ。本書は、トレー ダーであるなしにかかわらず、楽しく読める」
――サニー・ハリス、マネーマネジャー(『Trading 101 and 102』の著者)「トグライは、ウィニング・エッジ・シリーズで、さまざまな角度から心理ト レーニングについて扱っている。問題を抱えたトレーダーたちは、自分に最適と 思われる方法を見つけられるだろう。このシリーズは重要である。良好なシステ ムを開発した後に、トレードで利益を上げるため最も重要となるのは、心理ゲー ムに関することだからだ。このシリーズは、どんどん良くなっている・・・・・・ある いは、私がようやくそれを理解してきたのかもしれない」
――マレー・ルジェーロ(フューチャーズ・マガジンのコントリビューティング・エ ディター)
日本語版への序文 謝辞 第1部 トレードとモデル化の戦略第1章 トレードに志願せよ第2章 「修行中」トレーダー 第3章 トップトレーダーの作り方 第4章 トレーダーのためのメンター 第5章 お金とトレード
第2部 個人と感情の問題第6章 個人的問題に対処する第7章 トレードにはもったいない 第8章 困難からの逃避 パート1 第9章 困難からの逃避 パート2 第10章 トレーダーになる度胸
第3部 妨害のワナを避ける第11章 保留の人生――トレードの理想像第12章 満足を知らない 第13章 トレードと人生の視野を失う 第14章 中年のトレード
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第4部 トレードを改善する戦略第15章 より良いアンカーを作る第16章 知能を使う 第17章 成功の代価を支払う 第18章 フルタイムトレーダー 第19章 未来を予測する
第5部 身体とトレード第20章 トレーダーとセロトニン パート1第21章 トレーダーとセロトニン パート2 第22章 注意散漫に対処する 第23章 トレーダーが人間工学に関して知るべきこと 第24章 コンピューター視覚症候群?
第6部 最悪の事態に対処する第25章 最悪の経験を最大限に生かす第26章 変化 第27章 あつれきに直面する 第28章 成功への道を誤る 第29章 トレーダーの自殺
第7部 成功の選び方第30章 魔法の公式第31章 どこを叩けばよいか知っていること 第32章 楽観主義と機会を選ぶ 第33章 喜びと成功を維持する |
訳者/井上実(いのうえ みのり)
翻訳家。早稲田大学法学部卒。米国留学後、英字新聞記者として経済・金融分野
の取材にたずさわる。その後中国に留学、大連大学東北史研究センター研究員と
なり中国東北地域の近現代史を中心とする研究に従事。英語および中国語の訳書
多数。
私の父方の家系は、家族史に記録されているかぎり、男子は皆、ギリシャで潜水夫をしていた。日本で真珠取りをされている海女さんからも明らかなように、大海の真ん中で深く潜り込むのは、世界で最もリスクの高い仕事の一つである。
母方の家系は、ギリシャ高山地にあるマニという街を出所とする。マニは女性が戦士だったことで知られるところだ。男たちが戦争に行ってしまったとき、女たちは侵略者から自分自身と家を守る術を学ばなければならなかったのである。
こうして、リスクを取る人としての父方の家系、そして女戦士としての母方の家系があるからこそ、私は恐怖を克服しようとするトレーダーや投資家を支援するのに必要な基盤を受け継いでいるのだと思う。
恐怖は、トレーダーや投資家が自分のルールに従うために欠かせない規律を保てなくしてしまう、そして大きな成功を収めるのに必要なリスクを取れなくしてしまう大きな原因である。成功の恐怖、失敗の恐怖、間違いの恐怖……何であれ、恐怖は相場で最高のリターンを上げることを阻むのである。
私は、規律を持ち、自分の心に潜む悪魔を克服しようと願う金融界の戦士たちと仕事をしている。ちょうど、いにしえの日本の武士たちが、自分の敵に打ち勝つだけの心理的強さを手にするため、自分自身に精通しなければならなかったように、高く極めたい人間はそうするのである。
人生を始めたばかりの人は、全く何も知らない。そのため疑念がなく、障害がなく、躊躇しない。しかし、学び始めるとしばらくして臆病になり、用心深くなり、自分の心を締め付けるものを感じ始める。そのことが、かつて学問を受ける前には実践できていたことを阻んでしまうのだ。
学問は必要である。しかし、それにとらわれてはならない。習得すること。そうすれば、望んだときにそれを利用できるようになる。柳生宗矩(一五七一〜一六四六)
金融業界の第一人者たちは、世界経済に影響力を持つことからも、他分野の非常に高く尊敬されているプロと同じぐらい、すべての人々にとって重要な存在である。こうしたリスクテイカーたちのおかげで、私たちはかぎりなく便利で豊かな生活を送ることができるからだ。つまり、トレーダーが健全な活躍をすることで経済成長が支えられるわけだ。これは誰にも恩恵がある。
トレーダーや投資家は、たとえ金融法人や企業に勤務する人でさえ、企業家的思考を持たなければならない。これは自分自身のため、あるいは自分が勤める会社のために収益を上げられる唯一の方法だ。
企業家的思考は誰にとっても重要である。かつて企業はピラミッド型の組織で運営されていた。しかし現在は、ある種のチームワークがモデルとなっている。将来の企業環境では、各従業員が損益に責任を持つ独立したビジネスマンとして自分を見るようになり、同僚はあたかも自分の同盟者のように共に働く人となるだろう。
ひょっとすると東洋では、心理的問題の重要性がまだ認知されてきたばかりなのかもしれない。ネガティブな心理は個人の本来持つ能力に制限を課そうとする。それを乗り越え、能力を伸ばす方向に心理を変化させる方法を追及するのは、弱さの象徴ではない。トレーダーや投資家が自分自身あるいは自分の会社にとって高い金銭的成功を達成するために自分の悪魔と戦おうという意思を持つこと、それは西洋社会では「強さの象徴」なのだ。
非常に大きな成功を遂げたトレーダーや投資家から学んだ最も重要な教訓のひとつが、投資ルールを単純に維持することである。自分の売買システムや売買手法をより複雑にしてしまうほど、物事は間違ってしまう可能性があるのだ。複雑なのは、トレーダーが自分自身と相場について学んでいる最初のときだけである。
複雑だが全く単純で、率直であると同時に深い。茶の湯はいろいろな意味で、武士の理想であるだけでなく、日本の地の象徴である。
「トレーダーズコーチ」として私は、トップトレーダーから学んだ成功モデルを顧客がより一貫した収益を実現するために役立てている。そしてトレーダーを熟練者へと指導するために東洋哲学の原理を利用している。熟練者とはテクニカル分析のルールを超越して裁量的判断が下せるようになったトレーダーのことである。ただし、その前にトレーダーは、心理的変化を経験しなければならない。
本書で皆さんは、私が顧客との仕事を通して学んできた教訓のいくつかを知ることになる。また本書には、こうした問題を克服するために私がどのような手助けをしたのか具体的なエクササイズが紹介されている。さらに深い問題は潜在意識で処理されなければならないとはいえ、本書は自分をさらに高めていく終わりなき旅を支援してくれるものとなるだろう。
私は自分自身と相場を克服するために避けられない挑戦に備えて何でもしようとする希少な個人と仕事をすることを楽しみにしている。本書は武士にとっての新しいモデルなのだ。
エイドリアン・トグライ(トレーダーズコーチ)
www.TradingOnTarget.com
マーケットの魔術師 大損失編
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トレード書は二つのカテゴリーに分類される。紋切り型の取り組み方を示したハウツー本と、自伝的・心理学的にトレーダーの内面を描いた本だ。
前者に関して、私の場合、絶対にその内容を鵜呑みにしない。一つには、自分で調べていないものを信用しないからだ。
ただし、この手の書籍は「ひらめき」をもたらしてくれることがある。ブレイクアウトやオシレーター系指標に対する、創意に富んだ斬新なアプローチに出合うと、何週間も分析に夢中になってしまうくらいだ。
しかし、私にとっての掘り出し物は、どちらかというと後者のカテゴリーから見つかることが多い。トレードはあまりにも複雑かつ難しい経験である。したがって、戦いの最中、その諸問題を理解するのは不可能に近い。だからこそ、賢人のもたらす世界共通の見識は貴重な財産となるのだ。
エイドリアン・ラリス・トグライ氏は、そんな賢人の一人である。彼女は、最も高い評価を受けているトレーダーズコーチであり、神経言語プログラミングの権威だ。セミナー講師として世界中を駆け巡り、CNBC(米国の経済専門チャンネル)を含め、多くの経済関連番組に出演している。
もちろん「ウイニングエッジ」シリーズに代表される執筆業でも活躍中だ。実は、ある人から私の著書のテーマに彼女を推薦してもらうまで、トグライ氏の著作をうっかり見落としていた。しかし、電話でインタビューを始めた瞬間から、きわめて重要な情報源にめぐり会ったと分かったのである。
トグライ氏は、次から次へとびっくりするような「認識」を私にもたらしてくれた。例えば、危機に陥っているトレーダーの典型的なケースだ。彼女は「損失は問題の最も目立つ部分にすぎない。その根底には、機能していない身体的、心理的な要素がたくさん潜んでいるのだ」と指摘する。
彼女はそれを「汚水槽」と呼んでいる。それが、あなたを引きずり込み、調子を狂わせるわけだ。しかも悪いことに、それは自己増殖する。
トグライ氏のコーチとしての仕事は、トレーダーがトレードを含む生活全般にわたってバランスを取り戻せるよう手助けすることにある。各人の抱える特定の問題が解消されると、その要素は調和しながら、ほかのすべての面を支えられるようになるからだ。そのため、彼女はストレス対処法から、栄養学にいたるまで、すべてを考慮している。
そしてトグライ氏には、自己規律やリスク管理といった、トレーダーの原則に関して、深い理解がある。心理学によっては、二五万ドルも資産を上昇させた直後に一〇万ドルの損を出す行為を、単に無謀と片づけてしまうかもしれない。しかし、彼女は全体を考慮する。高いリスクを取ることは、最上級の利益を上げることと表裏一体なのだ。
彼女は、病的なギャンブルの問題でさえ、前後関係を重視しており、完全な抑制を主張するだけの伝統的なセラピストと一線を画している。
トグライ氏は強迫観念の方向を変えればよいと提案する。つまり、トレードを成功に導くために、トレーダーはリスク管理と同じくらいな執心さで、自らの習慣に気を配るべきというわけだ。
前向きな条件反射を促すには、日々の選択が大切になってくる。仕事場と人生からガラクタを一掃すれば、相場の「雑音」を取り除きやすくなる。そして自分の悪癖や、育ちの影響を認識することだ。特に何にでもストレスを感じるような場合は要注意である。
「生活態度を改めよう」と、ほかの人間が言うと、単純化されたり、抽象的に描かれたりするかもしれない。しかし、トグライ氏の言葉だと、自分とのつながりが見えてくる。自分個人への応用だ。
「言わせてもらえば、私のセミナーはすべて『自分の現実を造る』ということにつきるのです」と、私とのインタビューで彼女が語ったことがある。
「しかし、そこから得た経験をさらに高い水準の成功につなげていけるくらい意義深いものにするには、それなりのプロセスを経なければなりません」
そのプロセスとはトレーダーとコーチ、読者と著者が共にかじ取りをする手続きだ。
トグライ氏の技術のどれほどが、彼女自身の相場での経験、あるいは心理学研究で費やした年月から生まれたものなのか、あるいは生来の才能なのか、私は知らない。どちらかというと謎めいた女性である。ネコ好きで華やかな服装を好むというのも含めて、彼女についての評判は数々ある。
ただ、トグライ氏についてだれもが同意するのは、彼女が非常にオープンで親切だということだ。私もそう思う。そんな義理はなかったのに、彼女は時間とエネルギーを割いて、本のプロモーションのやり方をいろいろ伝授してくれた。
私は、小著への多大なる貢献はもちろん、彼女のそんな助力にも感謝している。また、彼女のような人物が社会に存在していることにも喜びを隠せない。そして書店にまた新たな宝物が出現したことに。
しかし何にも増して、この献辞を書かせていただくことを名誉に思う。ありがとうエイドリアン、あなたの信念の正しさが証明されることをお祈りする。
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