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ウィザードブックシリーズ Vol.138


トレーディングエッジ入門
――利益を増やしてドローダウンを減らす方法

定価本体3,800円+税/A5判 上製本 238頁
ISBN 978-4-7759-7105-5 C2033/2008年5月15日発売

著者●ボー・ヨーダー
監修者●長尾慎太郎
訳者●井田京子

トレーダーズショップから送料無料でお届け
目次 | 監修者まえがき | 序文 | 第13章 | 第14章 | サンプルシートのダウンロード | 「オススメの一冊」 | 読者のご意見

マーケットの振る舞いを理解し、自分だけの優位性(エッジ)がわかる!
エッジの内容とは、「統計的エッジ」「戦略的エッジ」「自分の性格や個性に合ったエッジ」
「苦労しないで賢明にトレードする」秘密を学ぼう!

優位性を味方につけろ!
トレーディングエッジを最大にする方法が明らかに!

 エッジがなければ、トレーディングはそのコストによって長期的には損失になる。トレーディングのエッジを獲得するためには、マーケットのなかで統計的に優位な「何か」を探さなければならない。そして、最高のエッジは、トレーダー心理が引き起こすマーケットの転換期に現れる。本書では、投資のエキスパートであるボー・ヨーダーがどのマーケットでもエッジ分析を使い、現在使っているトレード戦略を磨き上げるための洞察を披露している。

 本書は、統計的確率の重要性とそれを人間の行動によって予測不可能になっている金融市場に応用する方法を教えてくれる。この本質をついた本書を読めば、特定のトレード戦略の期待利益を査定し、それが持つマーケットエッジを最大限に活用する計画を練り上げるための方法が分かる。成功したトレーダーたちがエッジ分析を通して達成して発見したことを、読者にもぜひ学んでほしい。それは――

 ボー・ヨーダーは、株式、先物、FXなどの市場で、マーケット環境にかかわらず、利益を増やしてエッジを最大にする方法を、世界中の何千人ものトレーダーに教えてきた。統計的確率に基づいてトレード判断を下すことで、これまでよりも自信と管理力と理解力をもってトレードできるようになるからだ。本書を読めば、明快な説明と実例によって「苦労せずに、賢明にトレードする」という価値ある秘密を学ぶことができる。そして、この実績ある手法を読者のトレード戦略に適用するための必要なツールは、付録に掲載されている多様かつ実践的なワークシートにすべて含まれている。

 マーケットの動きと、その原因である非効率を理解することは、投資家として利益を上げるために欠かせないスキルと言える。本物のエッジを得るためには、どのマーケットでもトレーダーは成功確率を見極めなければならない。本書は、トレーディングのための武器庫に欠かすことのできない強力な手法とツールを提供してくれることだろう!


■投資のプロが選ぶ「オススメの一冊」

m3 さん

有名芸能事務所に所属し、アイドルのバックダンサーなどを務めた青春時代を経て、実業界入り。ひょんな縁から商品先物会社に就職し、700万円のボーナスを手にするなど、営業職で大活躍。その後、自分探しの漂流期に突入し、FXと出会う。艱難辛苦を経て現在、FXトレードで生計を立てる個人投資家として、「FX友の会」などの場で切磋琢磨しながら、夢の悠々自適に向けてばくしん中。

「損は小さく、利は大きく」――言葉ではわかっていても、実際にそういうトレードはできていなかった頃、本書に出会いました。 著者であるボー・ヨーダは、プロトレーダー兼金融コンサルタントですが、読後に「それだけでいいの?」と拍子抜けした本。あまりにさらっと書いてあるため、何度も読み直しました。



■目次

監修者まえがき
序文

第1章 「エッジ」とは何か
 ギャンブルのルール
 統計的エッジの力
   確率論の基本
 統計的優位を最大にする
   サンプルとモデル
 期待利益
   ポーカーの教え
   現実とのギャップ

第2章 ペイアウトサイクル・ペイバックサイクル
 損益の周期性
 PPサイクルを予想するには
   転換期のかなめとなる出来事を見極める

第3章 選択的な攻撃性
 10Kルール
 リスク・リワード戦略
   低勝率・高リスク・リワード・レシオの戦略
   高勝率・低リスク・リワード・レシオの戦略
 練習問題

第4章 トレード計画を立てる
 規律とは何か
 ストップロスの水準は慎重に選ぶ
 リスク額の正確なレベルを決める
 トレード計画を立てる
   困難なマーケットに備える
   計画に従う

第5章 自分のエッジを活用する
 内容が乏しいトレード計画
 小さな利益と大きな損失
 ポジションサイズが適当ではない
 価格変動のリスクを受け入れられない
 マーケットに対するアプローチが一貫していない
 自分の戦略のエッジを使いこなす
   レバレッジ
   増し玉をする
 富を生み出すトレードプログラムを開発する

第6章 トレーダーか、投機家か、それとも投資家か
 アキュミュレーション・ディストリビューション・サイクル
   小売業のシナリオ
   金融市場のシナリオ
   損失に対する恐怖
 売る理由
 トレーダーの学習曲線
   神秘のフェーズ
   「ホットポット」フェーズ
   悲観的フェーズ
   迷いのトレーディングフェーズ
   内面的飛躍フェーズ
   マスターフェーズ

第7章 マーケットはなぜ動くのか
  利益を上げるための投機
  大衆が思っている方向を見極める
  株価チャート

第8章 多数派は常に間違っている
 20EMA

第9章 パターン認識のワナ
 ペナントパターン
   モグラトレード
   マグネットトレード
 チャートのストーリーを読む

第10章 高値と安値を観察する
 行動の動機付け
 儲かるトレードは退屈だ
 降伏トレード(もし可能ならば)
 マーケットの高揚期
 ピークリバーサルの心理
 自分のストレス反応を管理する

第11章 自分はどのようなタイプのトレーダーか
 テスト1――力がつくまでの長い期間を生き残る
 テスト2――安定したリターンを達成する
 テスト3――柔軟性を学ぶ(変化を恐れないこと)
 自分の性格に合ったエッジを探す
 逆張りトレード
 1週間の価格動向を利用する
   複数の時間枠のトレンド
   高いリスク・リワード・レシオ
   勝率はひどく過大評価されている
  「安全」なトレードも失敗することがある
   LTCM
   アマランス・アドバイザーズ
   ビクター・ニーダホッファ
 為替市場の魅力

第12章 マネーマネジャーを雇う
 ファイナンシャルプランナーに聞くべきこと
   1.ポジションごとのリスク管理をどうしているか
   2.どのようにして、つもりトレードの利益を本当の利益として実現するか
   3.平均ドローダウンをどの程度と予想しているか
   4.報酬体系はパフォーマンスを基本としているか
   5.すべての資産を現金にしておくことに対してどう思うか
   自分の投資哲学について考える
   ETFへの投資
 ときどき……戦略を少し変更してみる
   リワードはリスクと相関している

第13章 まとめ

第14章 幸運と素晴らしいトレーディングを祈る


付録A 基本のエッジ分析ワークシート
(サンプルシート)
付録B トレード計画用ワークシート
付録C トレーディング・チャレンジ・ワークシート(サンプルシート)
付録D 複合利益ワークシート(サンプルシート)
付録E 執行コストワークシート



原書『Optimize Your Trading Edge:Increase Profits, Reduce Draw-Downs, and Eliminate Leaks in Your Trading Strategy』

■著者/ボー・ヨーダー(Bo Yoder)

プロのトレーダー兼著者で、トレーディングエッジとリスクマネジメントが専門の金融コンサルタントでもある。
トレーディングに関心を持ったのは1990年代初めで、ある冬に行った少額の投資がスキーのインストラクターとして得ていた収入と同じ利益を上げたことがきっかけだった。このことで、仕事を辞めてフルタイムトレーダーに転身したヨーダーは集中的に勉強と調査を行い、独自のトレード戦略を考案した。彼は、今日でもこの一連の戦略を使って、世界中のマーケットでエッジを増やしている。
ペイアウトサイクル・ペイバックサイクルや流動性プールの発案者としても有名で、世界中のセミナーや業界のイベントなどで講演を行っている。また、ライブイベントやウエビナーやDVDシリーズなどでも個人投資家やプロに対してエッジを最大限に生かすためのプログラムを展開している。
講演会や個別の顧客に対するコンサルティングを行う以外は、ネットトレーディングによって可能になる自由を謳歌しながら、自宅のあるメーン州で過ごしたり、金融市場にインターネットでアクセスできる世界中の場所を飛び回ったりしている。テクニカル・アナリシス・オブ・ストックス・アンド・コモディティース誌、トレーダー誌、アクティブトレーダー誌などによく寄稿し、『マスターリング・フューチャース・トレーディング(Mastering Futures Trading)』などの著書がある。



■監修者まえがき

 本書は、ボー・ヨーダーがトレード戦略の最適化について著した“Optimize Your Trading Edge”の邦訳である。ここで定義されているトレード戦略のエッジとは、マーケットの非効率性から発生する確率的に優位なトレードを指す。一般的にはおおざっぱに言って、トレード戦略の用い方には2つの方法があり、長い期間にわたってロバストに効くファクターに一貫してベットするか、もしくはマーケットが変化するのに合わせて常に新しいアノマリーを探し続け、次々とベットするファクターを切り替えていくかである。この観点で見ると、ボー・ヨーダーが述べているのは前者のアプローチである。つまり、個々人がマーケットの観察を経てエッジのあるトレード戦略を見つけ、それを長期にわたって利用していくことを前提としている。

 さて、トレード経験のある方であれば実体験でもって理解されているように、どんなに長期的にロバストであったファクターやアルゴリズムであっても、その効き具合は時間の経過と共に変化するものである。ボー・ヨーダーはこれをペイアウトサイクル・ペイバックサイクルとして定義し、効き具合が悪いときには資金を引き、良いときには資金を投入すればよいとしている。

 だが、こういったタイプのマネーマネジメントは、実用に耐えるレベルのものを編み出すことはなかなか難しいのが現実であり、実際にはある戦略が有効な局面とそうでない局面を判別するためのアルゴリズムを別に持たなくてはならない。しかし、本書でボー・ヨーダーが提示しているようにPLを観察することによって、これを判別することは実用的で一番簡潔な方法であり、それによってレバレッジの調整を行う術(アート)を習得できれば、トレードの累積損益曲線を飛躍的に向上させることになるだろう。

 ところで、もうひとつ本書のなかで注意を引かれるのは、トレーダーが遭遇するストレスに抗するために、エクササイズが推奨されている点である。ボー・ヨーダーはそれに数ページを割いて解説しているが、これはとても重要なことでありながら、あまり語られない事項である。同趣旨のことを公に提唱しているのは、私の知るかぎり『新マーケットの魔術師』(パンローリング)においてインタビューされたトム・バッソだけである。これは私自身がそういったタイプであるゆえに確信を持って断言できるのだが、ボー・ヨーダーの言うように、あるカテゴリーに属するトレーダーにとっては、精神的な平安を維持するためにエクササイズが絶対に不可欠であり、それなくして安定的に一貫してトレードを行っていくことは難しいのである。もし読者自身がその該当者だと思い当たることがあるならば、ぜひ継続的に身体を動かすことをお勧めする。その努力は必ずトレード結果にそれが返ってくるはずである。

 最後に、本書の出版に当たっては、翻訳者の井田京子氏、編集者の阿部達郎氏、パンローリング社の社長である後藤康徳氏に感謝の意を表したい。本書はトレード戦略におけるエッジとは何か、そしてそれを如何に利用すべきかについて簡潔かつ明瞭に解説がなされている。本書が読者の成功の一助になることを願うものである。

 2008年4月

長尾慎太郎



■序文

 初めてトレーディングをしたとき、筆者はファンダメンタルズを基本とした「投資」心理でマーケットに臨んだ。事業の徹底的な分析というきつい労働の割にあまり成果が出ないこの手法で、「バリュー株」や素晴らしい会社を割安で買うチャンスを探していたのだ。そして、筆者が分析した会社の大部分は、株価が膨れ上がって割高だという結果が出た。ところが、この割高で「悪い」はずの銘柄が何度も驚異的な利益を上げる反面、筆者の分析では「良い」はずの銘柄がトレンドを外れて失速していった。この経験から、筆者は「マーケットで儲けるためには、虚偽の前提に基づいたトレンドを探し、それが誤りであると判明する直前まで乗り続ける」という概念に徹することを決心した。

 筆者にも、「認識がいずれ現実になる」という思考に動かされている政治によく似た世界がマーケットだということがだんだん分かってきた。重要なのは客観的に見た株の本当の価値ではなく、群衆が認識した資産の魅力と潜在利益なのだ。もしある銘柄やセクターが「流行」していれば、決算発表という冷たいシャワーで現実に引き戻されるまで、群衆は株価を天文学的なレベルまで押し上げていく。こうなると、欲望と恐怖、心理、注文の流れなどが潜在利益の上限まで株価を押し上げていくと考えざるを得ない。そこで筆者は、株価と出来高を、投資のパフォーマンスを決定する「ファンダメンタルズ」として観察し、マーケットの動きに応じて投資判断を下す反動型のトレーディングモデルを新たに構築した。

 この新しい投資概念を使うとパフォーマンスが上がり始めたため、次はエッジ(優位性)の数学的側面と構造を調べることにした。そして、自分に有利なトレードパターンになったときの潜在利益を大幅に増加させる仕掛けの作戦を考案したことで、筆者はファンダメンタリストからチャーチスト兼エッジアナリストへの転身を完了した。トレードの仕方について書かれたものは数多くあるが、利益が上がるトレーディング戦略の構造を総合的に述べたものはあまりない。本書で紹介したアイデアが、エッジに関する読者の考えを一新し、将来の金融取引を向上させる手助けになればうれしい。本書で紹介しているのは、筆者の長年の調査と、世界のマーケットで何年もかけて数千件に上るトレードを実行してきた経験の集大成と言ってよい。この方法がトレーディングエッジを最大化し、新たな段階の自由と利益を読者にもたらすことを願っている。  幸運とトレーディングの成功を祈る。




■第13章 まとめ

もし、何らかの理由でだれかが宇宙の目的と存在理由を解き明かしたら、宇宙は一瞬にして消滅して、別のもっと奇妙で説明のつかないものが表れるという説がある。その一方で、それはすでにもう起こってしまったという説もある。――ダグラス・アダムス(SF作家)
 ここまで来れば、読者は本書で紹介したアイデアのいくつかをすでに試し始めているかもしれない。マーケットとかかわる理由が楽しみのためでも、生活のためでも、そこで得た知識を使って資産を託す最高のマネジャーを探すためでも、信じられないほどの自由と潜在利益を秘めた世界に踏み込んだことには変わりない。そして、本書で述べてきたことを通して、筆者の考えが有効だと納得してもらえればうれしい。トレーダー、講演者、執筆者、そしてアナリストとしての経験を通じて、筆者はマーケットの原則と行動に関する断固とした見方を持つようになった。ソクラテスはあるときこう言った。

 ほかの人が書いたものを読んで、自分自身を高めれば、ほかの人が苦労して到達した場所に簡単に到達できる。

 筆者も、この業界の人たちから多くを学んだ。今度は、読者が本書から何か価値を見いだしてくれればとてもうれしい。もし、トレードを始めたばかりなら、歓迎する。ここには、トレーダーとして独自の現実を造り上げるまたとないチャンスがある。正しく金融商品や時間枠やトレードスタイルや戦略などを選べば、ほぼすべてのライフスタイルに合うトレーディングが見つかる。マーケットは使うものであって、使われるものではないが、世の中には、マーケットの大小の揺れにとらわれ、振り回されているトレーダーが多すぎる。筆者と一緒に群衆が常に間違っていることを信じ、自分はみんなとどこが違い、なぜ多くのマーケット参加者が失敗するなかで成功できるのかをじっくりと考えてほしい。この仕事は、次に挙げるいくつかの変えることのできない真実を憶えておけば、独立性と創造性を十二分に生かす余地がある。

 独自のエッジを開発して、それを活用するトレード計画を立てれば、群衆やその無益な行動とは距離を置くことができる。また、常識の枠の外でも落ち着いていられるようになれば、客観性を失ったり感情的なトレードミスを犯したりすることはなくなっていく。そして、チャートの価格動向が注文の流れやマーケットの感情を教えてくれる絵コンテのように見えてくる。そうなれば、マーケットは犠牲や痛みが征服や勝利につながる戦場ではなく、探求心を満たす実験や、創造的な問題解決が富と個人の自由をもたらすチャンスの場に変わる。多数の金融メディアが同じ資産クラスのメリットや強さを一様に伝え出したら、それは高揚期のサイン、つまり利食って空売りの利益を模索し始める時期と考えてほしい。思い込みをやめて自由に考えれば、群衆の行動が受容的なものだということが「見えて」くる。そして、もしトレードが失敗して自分が間違っていることが明らかになったときは、自分の資本やエゴに対するリスクを受け入れなくてはならない。また、それぞれのトレードは、巨大なパズルのほんの1ピースでしかない。単独で破綻を招くトレードはひとつもないし、ストップロスに達することが個人的な失敗ではないということもよく理解しておく必要がある。

 失敗を恐れていると、さまざまな強い感情が沸き起こり、それが感情的なトレードミスの原因になる。たくさんの生徒の前で講演するとき、筆者はそのなかのひとりにコイン投げでリスクをとる経験をしてもらう。このとき、もし掛け金が25セントなら、生徒はすぐに投げてくれるし、リラックスした態度で身振りにもストレスは感じられない。ところが、2回目は掛け金を100ドルに上げると、彼はなかなか投げようとしないし、肩に力が入り、身振りには緊張とストレスが感じられる。ゲーム自体はまったく同じで、変わったのは賭け金だけ、勝率も50%で変わっていない。しかし、100ドルという金額は結果が気になるのに十分な額で、コイン投げの結果につい個人的な感情が入ってしまうのだ。そして、コイン投げの結果はコントロールできないのに、負けると失敗した気持ちになってしまう。

 25セントを賭けたときの気楽で無頓着な状態こそが、トレーディングの成功には欠かせない。いつの日かトレーディングで何百万ドルもの儲けを上げたいと思うなら、平静さを失わずに毎日6桁の損益を処理していけるよう慣れる必要がある。筆者の経験では、ほかのだれからよりも、自分自身でかけるプレッシャーが大きい。しかし、投機家として成功するためには、この内面から来るプレッシャーを克服しなければならない。

 疑問を感じることがあれば、トレーディングに関する書物で紹介しているあらゆるフィルターを使って、それを解明してほしい。もちろん、このなかには本書も断固として含まれている。考慮すべきアイデアは伝えたので、今度はその概念に賛同するかどうかを読者が判断してほしい。自分が学んだことを信じ、それを確認すれば、自分のエッジとトレード計画に信念という力が加わる。そうなれば、このエッジに対抗できる人はそうはいない。自動車に貼るバンパースティッカーで「クエスチョン・オーソリティー」(納得いくまで質問する)というのをよく見かけるが、筆者なら「クエスチョン・エブリシング」(すべて質問する)と言いたい。特に、トレードクラスの生徒はそうしてほしい。筆者のコンサルティングでは、アイデアや概念や理論を示したうえで、顧客がその概念を自ら証明できるよう枠組みだけを提供することにしている。

 筆者には、すべてのトレーダーの学習曲線を加速させる自信がある。しかし、筆者が提示した情報を本当に効果的に使うためには、ひとりひとりのトレーダーがその有効性を自分自身で検証しなければならない。マーケットの良い点のひとつは、理論に関して調べさえすれば絶対的な証明が得られることだ。筆者がすでにエッジに関するアイデアを提供しているうえ、代わりに調査を行っているのだから、あとは簡単な作業だけで個別にその有効性を確認できるはずだ。


■第14章 幸運と素晴らしいトレーディングを祈る

無知なトレーダーが数百ドル儲けるより、トレードの仕方を知っているトレーダーが何百万ドルも儲けるほうが簡単だ。――ジェシー・リバモア
 トレーディングは、地球上で最も素晴らしくて珍しい仕事のひとつだ。基本的な接続さえできれば、世界中どこにいてもマーケットからお金を引き出すことができる。しかも、それを自分のライフスタイルやスケジュールに合わせた形でできるように、トレードスタイルを作り上げていくことができる。名もない人が6、7、8桁、ときには10桁の収入を得ていることもある。初期費用もほとんどかからず、やめたければブローカーに電話を一本掛けるだけで精算してもらえる。

 ただ、トレーディングの知識がもたらす素晴らしいメリットも、ときには大きなコストを伴うことがある。本書で紹介したアイデアが読者の学習曲線を加速し、トレードがバランスと調和を(乱すのではなく)もたらすことになればうれしい。

 もちろん、トレーディングは数字とお金の世界だが、皮肉なことに儲けることだけを考えて成功する例はほとんどない。利益を上げることができるのは、トレードの過程や分析を重視して、マーケットとの関係を楽しむ感覚を失わないタイプであり、彼らの利益はスキルと経験と正しい行動の副産物と言える。彼らは、トレード過程に集中していれば、あとはエッジの数字どおりの結果が出る。

 新しいミレニアムを迎え、世界のマーケットへのアクセスがそれまでにはあり得なかったほど広がっているこの時代にトレードしている読者は非常に幸運だと言える。そしてこれからは、どの金融商品をトレードするかが最大の問題になるだろう。金融市場にかかわるサービスがますます共有化していくなかで、トレードの経費はさらに低くなっていく。新しいエッジやトレード戦略がますます安く実行可能になり、これまで存在しなかったような新しい規律やトレード手順が登場してくるだろう。

 自分のなかの創造力を解き放ち、それを客観的なパターン認識に注ぎこんでほしい。将来、とびきり素晴らしいパターンや傾向や予想のためのツールを思いついたとき、本書で紹介した知識で武装していれば、考案した戦略がもたらす最大のリワードを手に入れるための十分な情報と優位性を備えておくことができる。

          * * * * * * * *          

 筆者が今後参加するイベントは、インターネットで検索するか、筆者のウエブサイト(http://www.boyoder.com/)を見れば分かる。読者と直接会い、どのように突破口を見いだし、どのようにして新しいエッジ分析をトレード収入の増加につなげていったかなど、学習曲線に関する経験談をぜひ聞かせてほしい。

 世界中にはたくさんの資金が待っている。自分の取り分を獲得するために、飛び出そう。幸運と素晴らしいトレーディングを祈っている。


■参考書籍


トレーディングシステム入門

究極のトレーディングガイド

アルゴリズムトレーディング入門

マーケットの魔術師[株式編]増補版

新マーケット
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マーケットの魔術師

ゾーン

新版 魔術師たちの心理学

魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門


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