著 者 マイク・B・シロキー
監修者 長岡半太郎
訳 者 井田京子
2023年2月発売/A5判 上製本 264頁
定価 本体 3,800円+税
ISBN978-4-7759-7310-3 C2033
本書は株式のテクニカル分析に関する本だが、読者がこれまで読んできたテクニカル本とはかなり違うのは確実である。テクニカル分析の本は、チャートの形、ローソク足、指標やオシレーター、移動平均線、トレンドラインなど、さまざまなことについて書いているものの、これらのツールをどのように使えばトレードシステムを完成させ、利益を上げることができるのかは教えてくれない。しかし、本書は当て推量や裁量ではなく、確率に基づいた新しいテクニカル分析を使ってトレードの指針を紹介していく。
本書ではトレードの勝率を予測し、期待利益を算出し、トレンドの可能性を判断し、利益率が高い株を選択したうえで仕掛け、そして手仕舞う方法を学んでいく。また、資金管理やリスク管理の重要性についても書いている。さらには、ボラティリティを使ったポジションサイズの決め方についても学んでいく。本書で詳しく紹介していく成功するトレードシステムの要素には、すべてにわたってしっかりとした根拠があることも示している。
本書で紹介する新しいテクニカル指標には、GPI(勝率指数)、ブルベア指数、ランダムウォークオシレーター、価格出来高指数(PVI)、そして、時系列の線形回帰から派生したツールなどが含まれている。ほかにも、ボラティリティの重要性、時系列の線形回帰分析、回帰適応型移動平均線(RAMA)、回帰シャープレシオ(RSR)に関する重要なことも惜しみなく明らかにしている。
実際に使われている高勝率投資のテクニックや資産配分の重要性の実例も多く紹介しているので、初心者にも分かりやすいものになっている!
「本書は、テクニカル分析(時系列データの解析)によるトレードの解説書である。ただ、ここで説かれているテクニカル分析は旧来のクラシカルなものではなく、テクニカル分析2.0とでも言うべき革新的なものだ。……テクニカル分析の歴史はこれまでけっして幸福なものではなかったが、ここ十数年の間に台頭してきた新しいアプローチはそうした評価を一変させ、真摯に仕事に取り組むトレーダーにとって魔法の杖となる可能性が十分にある。」(「監修者まえがき」より)
多くの人にとって、各種分析を行う理由は市場の未来を知ることにあり、その予測の確度を高めようとすれば、経済環境のマクロ分析、投資対象のファンダメンタルズ分析、そして市場参加者の行動や心理を分析することが欠かせない。テクニカル分析は、その鼎の足の1つである売買主体の行動と背景を、価格や出来高の時系列推移を調べることで理解しようとする試みである。
だが、残念ながら古典的なテクニカル分析の大半は、現実の世界ではほとんど無力であった。テクニカルアナリストと称する人たちは、過去の値動きの軌跡については饒舌に解説を行うものの、興味深いことに、将来の出来事についてはその場しのぎの御託を並べるだけで、意味のあることは何も語りはしなかったのである。
すでに故人となられたが、テクニカル分析の大家として知られ、多くの著書もある大手証券会社の方が、かつて私に対して個人的に「テクニカル分析は実務家にとっては何の役にも立たない。私は単に顧客に対する営業手段としてもっともらしい作り話をしているだけだ」と話してくれたことを、今でもときどき思い出す。そのとき私は、彼の奇妙な正直さに驚くとともに、だれも幸せにしないその不毛な仕事で長年糊口をしのいでこざるを得なかった彼の心中を思った。
私が思うに、そうした欺瞞は個人の努力でどうなるものではなく、金融業界の根深い構造から来ている。この業界はいまだに顧客本位とは言いがたく、個人の良心に基づいて真実を口にするには相当の勇気がいる。それゆえ、知的に誠実で本当に価値のあるテクニカル分析の解説書は科学を真剣に学び、そこから派生した技術を実世界で生かすことを職業的使命とする哲学者や工学者や医学者といった金融業界の外にいる人間によって書かれてきた。
そして、金融市場のランダム性を鑑みれば、それは行動科学に基礎を置いたものか、確率統計的なものにならざるを得ない。実際、本書で取り上げられたテーマの多くは、近年、クオンツの世界で注目を浴びてきたアジェンダでもある。著者はそれらを一般の読者にも理解できるように平易に言い換え、さらにだれでもそれを実装し利用できるように、マイクロソフトExcelでの実例を付記したのである。
テクニカル分析の歴史はこれまでけっして幸福なものではなかったが、ここ十数年の間に台頭してきたこれら新しいアプローチはそうした評価を一変させ、真摯に仕事に取り組むトレーダーにとって魔法の杖となる可能性が十分にある。市場参加者の多くがテクニカル分析を軽視している現実があればなおさらである。
2023年1月
分配の問題とはどのようなものだろうか。例えば、野球のワールドシリーズで対戦成績が同じの2つのチームが戦うとする。つまり、各試合の勝率は50:50ということだ。先に4勝したほうが優勝するが、3試合を終えてチームAが2勝、チームBが1勝したところで、ワールドシリーズが急遽中止になった。この時点ではどちらのチームも4勝していないので、正式な勝者はいない。ここで問題となるのが、優勝賞金をどう分配するかだ。もちろん、チームAのほうがチームBよりも多くなるべきだが、どれくらい多くすればよいのだろうか。1つの考え方として、チームAが試合数の3分の2を勝っているので賞金の3分の2を受け取るという方法もある。
しかし、フェルマーとパスカルは、すでに行われた試合ではなく、まだ行われていない試合という観点でこの問題を考えた。つまり、まだ行われていないイベントについての確率を初めて計算したのだ。フェルマーとパスカルの解決策は若干違っていたが、2人とも各チームが4勝する組み合わせを数えた。そして2人とも、もしあと4試合行われれば、16通りの勝敗の組み合わせがあることが分かった。チームAはあと2勝する必要があるが、そうなる方法は16通り中11通りある。そうなると、チームAは16分の11=0.6875、つまり賞金の68.75%を受け取り、チームBは16分の5、つまり31.25%の賞金を受け取るのが妥当ということになる。これは、数学者が過去のデータを使って将来の確率を扱った初めてのケースで、確率論の始まりとされている。ちなみに、パスカルはほかにもさまざまな「運任せのゲーム」とかかわりを持っていた。その1つに、彼が発明したルーレット盤がある(ギャンブル目的ではない)。
今日でも、確率論は運任せのゲーム(別名、ギャンブル)と密接なかかわりがある。確率と「ハウスエッジ」(控除率=胴元の取り分)は、カジノの利益の中核を成すものである。運任せのゲームの勝率や期待利益を理解せずに、ラスベガスのカジノに足を踏み入れてはならないし、踏み入れるべきではない。「ハウスが必ず勝つ」ことはだれでも知っているが、「ハウスエッジ」がゲームごとにどのように組み込まれているのかを、正確に知っている者はほとんどいない。カジノのゲームは、無計画なプレーヤーが長期的に勝ち越せるようにはなっていないが、ゲームによって「多少勝ちやすい」ものはある。例えば、ブラックジャックをうまくプレーすれば、勝率は約49%になる(ハウスエッジは1%以下)。もしかすると、これは規律とスキルを持ってプレーすれば、最も勝ちやすいゲームなのかもしれない。この場合、規律にはカードのさまざまな組み合わせの勝率を知っておくこと、スキルはすでに開いたカードを記憶することなどがかかわってくる。ちなみに、実際のハウスエッジはたいてい1%を上回っている。これは、素人プレーヤーがブラックジャックのテーブルに座っても、すぐに手持ちの資金を失って去って行くからだ。しかし、多少のスキルがあれば、資金を維持して長い時間プレーすることができ、運が良ければ勝って終わる場合もあるかもしれない。
一方、アメリカのカジノでルーレットの赤黒をプレーするときのハウスエッジは5.26%に上る。このゲームのプレーヤーは、どちらにいくら賭けるかのみを判断することになる。また、スロットマシンは乱数発生器のようなものだが、ハウスにバイアスがかかっている。プレーヤーは、いくら賭けるかだけ決めればよい。ハウスエッジは、ゲームや機械メーカーの設定によって5〜15%程度になっている。つまり、スロットマシンで勝つことはカジノのほかのゲームよりもはるかに低い。それでも、込み合うカジノではたくさんのスロットマシンが使用中で、ブラックジャックのテーブルには空席があることが多い。なぜそうなるかは読者の想像に任せるが、事実として、多くのカジノが収益の半分以上を1つのゲーム、つまりスロットマシンで上げているのだ。
株式市場(例えば、「ウォール街」)はカジノのギャンブルと比較されることがよくあるが、これは正確なのだろうか。株式投資もカジノでのギャンブルも、自分の勝率と期待利益を知っておくべきではある。しかし、株式投資の「ハウスエッジ」とは何だろうか。過去には、証券取引所の会員権を持ったメリルリンチなどの証券会社が、顧客の売買注文を執行して高額の手数料を取っていた。例えば、2010年にメリルリンチに注文を出すと、わずか1000ドル分の株を買うのに75ドル、売るのにさらに75ドル、つまり往復で15%の手数料がかかっていた。そうなると、トントンにするだけでも約18%の利益を上げる必要があった。一方、オンライントレードならば25万ドルまでは1回の売買手数料が8.95ドルで、ブローカーや仲介業者を使わないと確実に安くなった。ただ、1000ドルのトレードだとコストは1.79%に上る。大口のトレーダーは手数料が割り引きされているため、このゲームは小口投資家にとって確実に不利だった。しかし、オンライントレードとディスカウントブローカーが大量に増えたことで、現在ではトレードサイズに関係なくほぼすべてのトレードを手数料なしで売買することができるようになった。そのため、小口投資家にとって状況は確実に改善した。
しかし、「ハウスエッジ」には2つ目の構成要素がある。それは、市場がアルゴトレーダー、機関投資家、投資信託、投資銀行、ヘッジファンドなどに支配されていることである。彼らは、これまで平均的な小口投資家よりも、企業情報を早く入手できることや実績のある詳細なトレード計画を持っていることで優位な立場にあった。これが100年以上前にチャールズ・ダウが明らかにした典型的な「スマートマネー」と一般投資家の差である。もちろん、知識のある機関投資家は今日も存在する。しかし、幸いにも平均的な小口投資家の戦いの場はインターネットの出現で改善した。インターネットと検索エンジンを使えば、だれでも政府の経済統計や企業情報や企業分析を入手できる。しかも、株式市場は長期的には強気のバイアスがかかっており、長く保有すれば勝つ可能性は高くなる。一方、カジノはその逆で、長くプレーするほど負ける可能性は高くなる。それでも、株式のプライスアクションは、運任せのゲームの「ハウスエッジ」と同じように分析できる。それをこの先の章で紹介していく。株のトレードは、カジノのように「ハウスエッジ」がゲームの性質によってある程度決まっているのとは違う。株式市場は証券のオークションの場であり、投資家にとってどれだけ有利か不利かは一定ではない。勝率が常に変化していることを知っておくことは、株式市場で知識に基づいた判断を下すうえで必須といえる。
予想どおり、損失のリスクは投資期間を増やしていくと、日単位で保有した場合の47%から、1年保有すると33.5%、20年保有すれば5.62%と下がっていった。つまり、仮に20年保有しても、損失に見舞われる可能性は5%以上ある。このデータを結ぶトレンドライン(曲線)は、下降する指数曲線ではあるが、けっして0%にはならない。この曲線は、もし50年間保有すると、損失のリスクは0.31%になることを示している。これは、小さな数だがゼロではない。
図1.3は、ダウ平均の20年間のCAGRを示している。横の太線は、0%と平均CAGRの5.48%に引いてある。この図1.3を見ると、全体の約半分の期間でリターンが平均を上回っており、残りは下回っている。つまり、5.48%は期待どおりのCAGRということになる。
長期のリターンは9%を超えると思った人もいるかもしれない。実は、このよく耳にする数字はもっと短い92年間(1928〜2020年)、S&P500を配当を含めて保有した場合の数字である。S&P500は1957年に作られ、その前はS&P90だった。1928年に、平均的な投資家はどのようにして部分的に株を買い、配当を受け取っていたのだろうか。実は、それはできなかった。近年、株価指数のETF(上場投信)が登場して初めて株価指数(例えば、S&P500)の配当を含めたパフォーマンスと連動した利益を得ることができるようになった。バンガードを創業したジョン・ボーグルは、長期的な総リターンの95%は配当が担っていると書いている。読み間違いではない。株の債券に対する超過リターンのほぼすべては配当によるものなのである。つまり、株の配当を再投資しないで使ってしまった投資家は、キャピタルゲインのチャンスがほとんどないため、損失の過度のリスクをとっていることになる。それならば、国債や社債を買うほうがリスク調整済みリターンを改善できる。
1896〜2020年のダウ平均に関しては、日々の値上がりの確率は52.93%だが、日々の値下がりの確率は47.07%である。一方、日々のペイオフレシオ(勝ち日の平均利益額÷負け日の平均損失額)は、実際には若干マイナスである0.9653だった。つまり、124年間でキャピタルリターンによるプラスのリターンをもたらしたのは、勝ち日が負け日よりも多かったということである。この期間の株式市場には取引日が3万3970日あり、二項分布の標準偏差は0.2720%になる。しかし、私たちの株式市場のサンプルは、勝率が52.93%になっており、これは期待値の50%を10標準偏差も上回っている。もし株式市場がランダムウォークのようにどちらの方向にも50%の確率で向かうとすれば、今得ている10標準偏差という結果が起こる可能性は実質的に0になる。しかし、実際には起こっている。なぜだろうか。最も簡単な説明は景気拡大のほうが景気後退よりも長く続いているからだ。たとえ、景気後退のほうがより厳しかったとしても。アメリカ株はアメリカの経済活動を表しているため、上げ日のほうが下げ日よりも多いことは理にかなっている。
全体として、投資信託を買っている平均的な投資家のリターンは、S&P500を約5%(加重平均値)下回っていた。皮肉なことに、同じことは30年以上投資をしている人たちについても同じだった。低パフォーマンスの主な理由は、投資家が投資信託を買っても平均4年強しか保有していないことにある。そして、この状況は何十年も変わっていない。
それでは、プロの運用会社はどうだろうか。彼らならば低リスクで高リターンを上げることができるはずではないだろうか。ここでは、高リターンをS&P500(大型株)と連動するインデックスファンドを超えるリターンとする。実は、非常に高い報酬を得ているプロでも、投資信託やそれ以外の多額の運用資金をアクティブ運用してインデックスファンドを超えるリターンを上げるのは極めて難しいという調査結果が一貫して示されている。
スタンダード・アンド・プアーズ社(現S&Pグローバル・レーティング)が毎年行っている調査によると、リターンがそれぞれのベンチマークになっているインデックスファンドを上回った運用会社の割合は表1.2のようになっている(2016年末現在)。
表1.2を見ると、少数(3分の1以下)の運用会社が1年の運用で市場を上回るリターンを上げているが、その割合は5年や15年になると大きく下がり、ベンチマークを安定的に上回ることができたのはほんのわずかだった。もしかすると、運用会社の入れ替わりが激しいのはそのせいかもしれない。そのうえ、2016年までの15年間に、58%(10社中ほぼ6社)のファンドが低パフォーマンスを理由に合併や清算となり消滅している。このS&Pの調査は、生存者バイアスを調整しているが、それでも15年超の時間枠でベンチマークを超えるパフォーマンスを上げたのは、アクティブ運用をしても、あるいはそのせいで20社中1社を若干上回っただけだった。つまり、市場や時間枠に関係なく市場平均という当てずっぽうでも期待できる結果を、アクティブ運用会社の半分も超えることができていないのである。
バンガード・ファンドを創設したジョン・ボーグルは、多くの投資家にとって、インデックスファンドのほうがタイミングやそのほかのツールを使うよりも長期的に高いリターンを上げることができると長年考えてきた。また、バートン・マルキールも1978年に刊行した『ウォール街のランダム・ウォーカー』(日本経済新聞出版)のなかで、同じことを主張している。しかし、前述の投資信託を買った投資家のリターンを見ると、これは言うほど簡単ではないことが分かる。
バイ・アンド・ホールド戦略にも考慮すべき一連のリスクがあることをぜひ知っておく必要がある。まずは、弱気相場で当然起こり得る大きなドローダウンである。「バイ・アンド・ホールド」は、文字どおり良い時も悪い時も保有し続けるということなのだ。2007〜2009年の弱気相場は17カ月間続き、S&P500は50%下落した。ちなみに、50%のドローダウンを被ると、トントンにするだけで2倍に増やさなければならない。バイ・アンド・ホールドは理論としては素晴らしいが、パニックに陥って底近くで手仕舞い、回復途中では怖くて仕掛けられなかったとしたらどうなるだろうか。弱気相場のときに、引退資金や教育資金として一部を取り崩す必要が出てきたらどうなるだろうか。これが頻繁に起こるシナリオだということをデータは示している。
2つ目のリスクは、バイ・アンド・ホールドを完璧に実行したとしても(それだけでも難しいことだが)、平均的な利益以上は望めないということである。株やETFを高パフォーマンスでも低パフォーマンスでも保有し続けることで、良くて平均パフォーマンス、悪ければ保有期間によっては図1.2のような損失を被る可能性がある。
3つ目は、前述のとおり、株式で長期的に年間9%のリターンが上がるとしても、毎年そうなるわけではない。これは何十年ものリターンを平均した値であり、大数の法則(数多く繰り返せば結果が期待値に近づくということ)に投資を委ねているにすぎない。スターウォーズのオビ=ワン・ケノービの言葉をまねすれば、「大数の法則と共にあれ」といったところだろうか。ただ、この法則は長期間我慢しなければ有効にはならない。著名な経済学者のジョン・メイナード・ケインズの「長期的には、われわれみんな死んでいる」という言葉もあるように、市場はあなたを破綻させるのに十分な期間、協力を拒否することができる。
すでに書いたとおり、平均的な投資信託の買い手はポジションを4年強しか保有していない。実際、株の年間平均リターンについて語るのは、シカゴの年間平均気温について語るようなものだ。平均すれば10度と大したことはないが、真冬のシカゴを甘く見てはならない。つまり、バイ・アンド・ホールドの投資家も、実際にはリスクに直面している。だからこそ、投資家は個別株を買わない場合でも、規律とツールとスキルを身に付けて資金をうまく管理する必要がある。もし弱気相場がポートフォリオに与える損害を多少でも軽くすることができれば、それが「マーケットを打ち負かす」第一歩となる。
本書は、もともとは小口投資家の個人資金や小企業の退職基金を数カ月から数年程度管理するための指針として執筆した。つまり、デイトレーダー、スイングトレーダー、投機家、空売りトレーダーのために書いたものではないが、いくつかのテクニックは彼らの役にも立つかもしれないと期待している。どんなスキルにも言えることだが、金融の知識を身に付けるのも簡単ではないし、安上がりにできるものではない。ブローカーの広告が謳っているように、毎週日曜日にコーヒーを飲み、新聞を読みながら5分だけパソコンを操作するだけで身に付けられるものではない。実際には勉強と努力と練習と規律と、おそらくは多少の痛みが必要になる。テクニカル分析は、市場や個別株やETFの現状を特徴づけるさまざまなツールを与えてくれる。これから、高確率で上昇する株や高確率で下落する株を見分けるテクニックを学んでいく。これらはインデックスファンドに投資するだけでも、もしかしたらそのときこそ非常に役に立つし、重要な分析力を与えてくれる。これらの警告読んだうえで、やってみようと思うならば、すぐに始めよう。
次のいくつかの章では、資本市場で勝率を改善するいくつかのツールを検証していく。