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ウィザードブックシリーズ Vol.170

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規律とトレンドフォロー売買法
上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法

トレンドフォロー入門』も好評発売中!

2010年9月発売/A5判 上製本 606頁
ISBN 978-4-7759-7137-6 C2033
定価本体2,800円+税

著者●マイケル・W・コベル
監修者●長尾慎太郎
訳者●山口雅裕


トレーダーズショップから送料無料でお届け 著者紹介 | 目次 | 関連書籍  ◆立ち読みコーナー  日本語版への序文 ・ 監修者まえがき ・ 序文 ・ まえがき (本テキストは再校時のものです)

価格こそがすべて!
だれもが損をしているときに莫大な利益を出す戦略

 トレンドフォローは30年以上にわたって上げ相場でも下げ相場でも並外れた利益を出してきたトレーディング戦略だ。2008年に株式市場が崩壊すると、バイ・アンド・ホールドで身動きがとれなくなった投資家たちは大金を失った。しかし、トレンドフォロワーたちは2008年10月の1カ月だけで巨額の収益を上げ、最大40%という途方もない利益を出した! 証拠は本書のなかにある――自分の目で確認できる最新データに加えて、時代を超えたこの戦略をあなたの運用資産で使うためのあらゆる情報を提供している。

 トレンドフォローに精通したマイケル・コベルはこの全面改訂版で、何十年もこの戦略を使っているトレーダーやファンドマネジャーだけでなく、新しいトレーダーも紹介している。例えばデビッド・ハーディングはロンドンを本拠地にトレンドフォローの手法で100億ドル以上を運用している。人物紹介のあとはトレンドフォローをあなた自身が使うための考え方やテクニックをすべて手ほどきする。一度にひとつずつ単純なチャートを使いながら、どの市場でも一貫して利益を得られるように価格の動きを理解する方法が学べる。

 今日では、これまでにも増してトレンドフォローの手法を必要とする。本書を読んで自分のために役立てていただきたい!

●本物の証拠、本物のデータ、本物の結果 10年以上の詳細な運用成績のグラフは改訂して、2008年秋の株価暴落のものも含めた
●必要なすべての情報をひとつの数字で 上げ相場でも下げ相場でも、なぜ価格はトレードに必要なすべてを現在も将来も変わらず伝えてくれるのか
●チャンスでの到達目標を正確に 何を、いつ、どれくらいの量でトレードすべきか
●今日の代表的トレンドフォロワーとの出会い デビッド・ハーディングからジョン・W・ヘンリー、エド・スィコータまでの並外れたトレーダーを紹介


■本書への賛辞

「この本はトレンドフォロー版『マーケットの魔術師』だ」
――バン・K・タープ博士(『新版 魔術師たちの心理学』の著者)

「マイケル・コベルの本は必読書だ」
――エド・スィコータ(『マーケットの魔術師』に登場した伝説的トレンドフォロワー)

「コベルの書いた本はトレンドフォローの決定版だ。彼は注意深い調査と深い理解によって、あらゆるトレード戦略のうちで最も成功したものの本質をとらえている。彼は何を書くべきかが分かっていて、それを情熱と確信に満ちて熱心に書いている。書き方がうまくて楽しめるこの本は必ず古典になるよ」
――チャールズ・ルボー(『マーケットのテクニカル秘録』[パンローリング]の著者)

「投資市場で積極的なテクニカルトレードを行う原則、落とし穴、トレーダーたちや心理について、夢中になって読めてしかもためになる。トレンドフォローに関する知恵や過去の調査がたっぷりある」
――ジェラルド・アペル(『アペル流テクニカル売買のコツ』『投資家のための投資信託入門』[いずれもパンローリング]の著者)

「昔から、安く買って高く売れと言われている。しかし、あなたの好きな銘柄が――株であれ債券であれ商品先物であれ――今、最高値か最安値だったらどうする? この世界で実際に利益を出している人々からまったく別の展望を得るために、なかをのぞいてみよう。コベルはトレンドフォローがどのように機能するのか、どうやって使うのか、だれが使えるのかについて、ちょうど良い時機に楽しめる本を書いている。万人向きではないが、あなたには向いているかもしれない」
――チャールズ・フォルクナー(『新マーケットの魔術師』[パンローリング]に登場したNLP開発者兼トレーディングコーチ)

「この本は、トレンドフォロー型の運用担当者がどうして資金管理で成功しているのか(どのようにしてリスクや投資心理の管理をしているのか)について、多くのことを書いている。これは、投資家が総合的なポートフォリオ戦略のひとつとして、トレンドフォロー型の運用担当者を使うことを考えたほうがいい理由について、極めて納得のいく説明をするのに役立つ」
――トム・バッソ(『トム・バッソの禅トレード』の著者。『新マーケットの魔術師』でも取り上げられている)

「コベルはトレードの真の秘密を明らかにする――秘密なんてないということを。彼の主張にはこの業界中の専門家の知恵がたくさん入っている」
――ジョン・F・エーラーズ(『ロケット工学投資法』[パンローリング]の著者兼MESAソフトウエア社長)

「コベルはめったにできないことをやってのけた。多くの資料を使って徹底的な調査をしながら、文章がうまく読みやすいトレンドフォローの本を書いた。これはどのレベルのトレーダーにも本当に価値ある1冊だ」
――ジョン・モールディン(『わが子と考えるオンリーワン投資法』[パンローリング]の著者)

「マイケル・コベルの本は、実際に市場を動かすものの正体をとらえた画期的な本だ。広く徹底した調査がなされていて、新しい世代のトレーダーには『マーケットの魔術師』(パンローリング)に代わる必読書になるだろう」
――ジョナサン・ホーニグ(キャピタリストピッグ・ヘッジファンドの運用担当者兼FOXニュースの寄稿者)

「いつまでも魅力がある投資関係の本には、多くの投資家たちの心に響く洞察がある。コベルの本はきっとそういう本になる」
――リチャード・E・クリップス(レッグ・メイソンの市場ストラテジスト主任)

「トレンドフォローに興味があってもなくても読んでほしい……。この本はホームランだ」
――ゲイル・オステン(ストック・フューチャー・アンド・オプション誌の編集長)

「コベルはトレンドフォローに関連した独自の内容を、成功したトレーダー、投資家、社会的指導者の考えや引用と一体化させている。これは貴重な作品であり、私がこれまで手にしたトレンドフォローについての本でも最高の部類に入る」
――ロバート・(バッキー)・アイザックソン(30年以上にわたるマネージドマネーとトレンドフォローの先駆者)

「間違いなく、向上心があるトレーダーの必読書だ」
――デビッド・S・ドルーズ(25年にわたって戦術的投資管理を行ってきたトレンドフォロワー)

「オルターナティブ投資に関して真剣に考えているすべての人が必ず参考にすべき本」
――ジョン・サント(アルテグリス社長兼CEO)

「マイケル・コベルは優れた仕事をした。検証済みの優れたヘッジファンド戦略で、読者の使える知られざる好機を教えている。この本は賢い投資家にとって貴重だ」
――クリスチャン・バハ(スーパーファンドのオーナー)

「コベルの本かい? ぼくは『買い持ち』してるよ」
――ボブ・スピア(トレーディング・レシピズ・ソフトウエアの開発者)

「相場の予測なんかしない。ただ、跳ねる野生の馬に乗るだけだ」――ビル・ダン



原著『Trend Following (Updated Edition): Learn to Make Millions in Up or Down Markets』

■著者 マイケル・W・コベル(Michael W. Covel)

1997年以来、マイケル・W・コベルは個人トレーダーやヘッジファンドや銀行に対してトレンドフォローのコンサルティングを行っている。彼は TurtleTrader.com の生みの親として有名だ。そこでは、トレーディングは生まれつきの才能が必要かそれとも教育できるものかに関して、ウォール街で行われた最も有名な実験のひとつを紹介している。コベルの著作はあらゆるところに転載・掲載され、世界の主要な金融関連メディアの多くで引用され、彼自身もインタビューを受けている。彼はラジオの全米トーク番組にゲストとしてたびたび登場し、お金に関する判断やトレーディングやトレンドフォローについてリスナーに助言をしている。さらに、東京、マカオ、香港、パリ、ウィーン、そして米国の聴衆を前に講演を行っている。2007年から2008年にかけての市場の危機に関して、彼は最近『ブローク――ニューアメリカンドリーム』というドキュメンタリーを監督した。コベルはジョージ・メイソン大学で学士号、フロリダ州立大学の経営学部で修士号を修得している。現在はサンディエゴ在住。


■目次

日本語版への序文
監修者まえがき
序文
まえがき
感謝の言葉
著者について

パート1 第1章 トレンドフォロー  市場  勝つか負けるか  投資家かトレーダーか  ファンダメンタルかテクニカルか  裁量的か機械的か  明らかなこと  変化  運用法――価格  トレンドについていく  損失  結論

第2章 偉大なトレンドフォロワーたち  デビッド・ハーディング  ビル・ダン  ジョン・W・ヘンリー  エド・スィコータ  キース・キャンベル  ジェリー・パーカー  セイラム・アブラハム  リチャード・デニス  リチャード・ドンチャン  ジェシー・リバモアとディクソン・ワッツ パート2 第3章 運用成績  絶対リターン  ボラティリティの恐怖――リスクと混同  ドローダウン  相関関係  市場のゼロサム的性質  ジョージ・ソロスとゼロサム 第4章 大事件、暴落、パニック  大事件1――2008年株式市場のバブルとその崩壊  日次データで収益率を比べる  大事件2――2000年〜2002年の株式市場のバブル  大事件3――LTCMの破たん  大事件4――アジア通貨危機  大事件5――ベアリングス銀行の破たん  大事件6――メタルゲゼルシャフト社の巨額損失  最終的な考え  いつも「新しい」今度の嵐 第5章 野球――バッターボックスの外で考える  ホームラン  マネーボールとビリー・ビーン  ジョン・W・ヘンリー、試合に参加する  レッドソックス 2003年〜2007年 パート3 第6章 人の行動  プロスペクト理論  こころの知能指数――ダニエル・ゴールマン  チャールズ・フォルクナー  エド・スィコータのトレーディング・トライブ  ものをいうのは学歴ではなく好奇心  勝ち続けようという態度 第7章 意思決定  オッカムのかみそり  素早く無駄のない意思決定  革新者のジレンマ  過程か結果か 第8章 トレーディングの科学  批判的思考法  カオス理論――線形か非線形か  複利運用
第9章 聖杯
 バイ・アンド・ホールド戦略
 ウォーレン・バフェット
 負け組は負け組をナンピンする
 暴落とパニック
 当てにならない分析
 最終的な考え


パート4

第10章 トレーディングシステム
 リスク、リターンと不確実性
 トレーディングシステムを作るための5つの質問
 あなたのトレーディングシステム
 よくある質問


第11章 ゲーム
 受け入れるには時間がいる
 他人のせいにする
 ゲームを理解する
 レバレッジを下げればリターンも下がる
 幸運は勇気ある人に味方する


終わりに
 著書が認められて
 非効率的な市場
 トレンドフォローの批判者たち
 ギーテシュ・バードワの批判
 最終的な考え


チャールズ・フォークナーによる初版への序文


付録

この付録について
付録A 株のトレンドフォロー
 トレンドフォローは株でもうまくいくか
 空売り
 税効率
 資本主義における分布――個別普通株のリターンの真実、1983年〜2006年
 チャート


付録B 運用成績ガイド
 トレンドフォローの過去の運用成績データ
 アブラハム・トレーディング・カンパニー
 キャンベル・アンド・カンパニー――金融・貴金属およびエネルギー――大型
 チェサピーク・キャピタル・コーポレーション――分散型
 クラーク・キャピタル・マネジメント――ミレニアムコース
 ドルーリー・キャピタル――分散型トレンドフォロー
 ダン・キャピタル・マネジメント――世界金融資産
 エックハート・トレーディング・カンパニー――スタンダードコース
 ジョン・W・ヘンリー・アンド・カンパニー――金融・貴金属
 ミルバーン・リッジフィールド・コーポレーション――分散型
 ラバール・マーケット・リサーチ――分散型
 サンライズ・キャピタル・パートナーズ――拡大分散型
 スーパーファンド
 トランストレンドB.V.――分散型トレンド――高リスク(米ドル)
 ウイントン・キャピタル・マネジメント――分散型ウイントン先物ファンド
 リスクに関する留意事項


付録C 短期トレード
付録D 成功したトレーダーの性格的な特徴
付録E トレンドフォローのモデル
付録F トレーディングシステムの一例――メカニカの場合
 システムの参考情報
 システムの詳細
 カナダドルのトレード
 システムの運用成績
 要約


付録G トレーディングシステム構築に欠かせない質問
関連ホームページ

注釈
参考文献

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■日本語版への序文

 私は日本が大好きで、幸いにもこれまで四度東京を訪れる機会に恵まれました。日本を訪れて、日本経済がどれほど成功したか理解できました。実際、私は築地市場で『ブローク』というドキュメンタリーの一部を撮影しました。私はアメリカ人ですから、日本の素晴らしい経済成長を理解しているアメリカ人はほとんどいないと言って差し支えないでしょう。それほど素晴らしい成長です。しかし、日本の投資家もアメリカの投資家と同じ人間です。アメリカ人であっても、日本人、ロシア人、インド人であっても、みんな良い時期にも悪い時期にもうまくいく取引戦略を必要とします。相場は必ずしも上がるわけではないので、バイ・アンド・ホールドは長期的に利益を出す戦略としては、ひどくまずいものです!

 それでは日本の投資家は、市場の予測できない上げ下げにどう備えればいいのでしょうか? 私は日本の投資家が大きな利益を出すのに、トレンドフォローが役立つと信じています。トレンドフォローとは何でしょうか? それは一言でいえば考えです。どの市場かは関係なく、売買の判断をするための考えです。トレーダーはある考えを明確なルールにして、厳しい規律でそのルールに従うことでお金を儲けます。良いトレンドフォローの売買システムは、安値で買って高値で売るということはしません。トレンドに乗るのです。

 なぜ「トレンドに乗る」ことが良い考えなのでしょう? 第一に、トレンドフォロワーたちはこの40年にわたって文字どおり何十億ドルも儲けています。それはこれまでに考えられた取引戦略で、最も利益を上げられるもののひとつです。第二に、人間性は変わりません。、市場のバブルは生まれては消えるものです。近いうちにまた必ず新しいバブルが生まれます。問題はこういうことです。政府が毎回、金利をゼロまで引き下げてお金を印刷すれば、市場は暴落から救われるのか? それはいつでもうまくいく解決法だろうか? 私は疑わしいと思っています。2000年のナスダックは5000でした。今はざっと2000ぐらいです。9年前より3000ポイント安い水準です。1989年の日経平均は3万9000円でした。今はざっと1万円です。日本人はバイ・アンド・ホールドがうまくいかないと分かっているでしょう!

 私たちは全員、バイ・アンド・ホールドはやめて、トレンドフォロワーが大金を稼いでいるやり方に従うべきです。結局、投資家は選ばなければなりません。群れに従いたいならば、不利であってもそうすればいい。周りの人よりもより多くのお金を稼ぐチャンスが欲しいのなら、トレンドフォローが最高の選択肢です。

 質問があれば遠慮なく、mcovel@trendfollowing.com にメールをしてください。私は日本の読者全員からの便りを心待ちにしています。また、無料DVDを送ってほしければ、あなたのアドレスで私に電子メールを送ってください。トレンドフォローの紹介DVDを送ります。最後に、あなたかあなたの所属する組織が日本で直接私と面談をお望みなら、いつでもその機会を設けます。

マイケル・W・コベル



■監修者まえがき

 本書はトレンドフォロワーの熱烈的なファンであるマイケル・コベルが著した“Trend Following(Updated Edition) : Learn to Make Millions in Up or Down Markets”の邦訳である。コベルのトレンドフォローに対する入れ込みようは大変なもので、それが本書によく現れている。著者はプロの運用者ではないが、トレンドフォロー手法の良し悪しやそれを取り巻く環境などに関する彼の記述は実に的確であって、本書は一般投資家にとって、最も分かりやすい解説書となっている。

 さて、CTA(商品投資顧問業者)のなかでかなりの割合の運用会社がこの手法をとっているにもかかわらず、資産運用業界にあってトレンドフォロー手法は特異な存在である。その理由は、先物市場がいまだ運用対象としての資産クラスとはみなされていないことにもあるが、トレンドフォロー手法があまりにも単純であることも大きな原因である。実際、私が見たところトレンドフォロー手法をまともに理解できる人は次の二種類しかいない。資産運用に関して多くの知識や高いレベルの技術を持った非常に聡明な人か、もしくは物事を理解するのに邪念がなく、対象をありのままに見ることができる大変素直な人である。過半の人々は、その身に着けた知識や個人的な経験による先入観が邪魔をして真実を受け入れることができないようだ。

 ところで、本書にもあるようにMLBのボストン・レッドソックスのオーナーは代表的なトレンドフォロワーのジョン・ヘンリーで、数年前にレッドソックスが松坂投手と岡島投手を日本から獲得したことがあった。そして特に岡島投手は前評判がそれほど高くなかったにもかかわらず、MLBで大活躍をみせた。当時、ジョン・ヘンリーの資産運用と日本人投手の獲得との関連性について、松坂・岡島両投手の特集番組を企画したNHKのディレクターの方が私に解説を依頼してきたことがあった。その際にジョン・ヘンリーとのインタビュー原稿を見せてもらったが、マーケットにおいて期待値の高いトレードを行う根拠と岡島がMLBで活躍できるとレッドソックスが見込んだ根拠がまったく同じものであることが、そこで見事に語られていた。それらはともにみんなが高校で学ぶレベルの簡単な確率・統計的な考察からくる知見の適用にすぎないのである。

 だが、それにもかかわらず、現実にはほとんどの人がそれらを理解することに困難を感じている。エド・スィコータが言うように、マーケット(やMLB)においてそんなに単純な方法で結果が出せる方法が存在することを認めることは、自分のこれまでの努力や知性の価値を否定することになりはしないかと人は潜在的に恐れるからかもしれない。実にもったいないことである。読者が曇りのない目で本書を読むことで、トレンドフォロー手法の価値を理解されることを願う。

 最後に、翻訳に当たっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏は丁寧な翻訳を実現してくださった。阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が刊行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2010年8月

長尾慎太郎

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■序文

                      ラリー・ハイト

「回転いすに座りながら良い判断が下されたことは一度もない」――ジョージ・S・パットン将軍

 私が35年以上前に商品先物市場でトレーディングを始めたとき、その業界には名前すらなかった。今日、このビジネスは運営するファンドやその多くの投資スタイルに対して、無数の名前を生むまでに成長した。特定の呼び名もないころからすでに私が行っていたトレード方法は、現在では単純かつ適切に「トレンドフォロー」と名づけられている。実のところ私は多くの戦略が移り変わるのを見ているが、私が知っているほかのファンドマネジャーのうちで、過去数十年にわたって世界の先物市場で生き残って成功しているほとんどの人はトレンドフォロワーだ。私はトレンドフォロワーとして生計を立ててきたが、マイケル・コベルのこの本ほど、明らかに本質だけを抜き出して説得力がある研究にはまだ出合っていない。

 私が初めてコベルに会ったのは、彼がこの本に取り組んでいたときだった。私は自分のトレードのかなり単純な秘密を彼と分かち合うことに、初めのうち少しためらっていた。それで、私はコベルがやりやすいようにはしなかった。私は彼の投資や、彼がどのようにリスクを管理しているか、インタビューを始めた。すぐに私は、彼がトレンドフォローを理解しているだけでなく、私と非常に似たとらえ方をしていることに気づいた。2人はトレンドフォローの根本や私の投資戦略を徹底的に調べて、ただその結果を受け入れるだけでなく、なぜそれらが成功するのかを探った。本書を読んだ今、彼がどれほどうまく自分の知識や私の同僚たちの考え方を文章にすることができたかが理解できる。

 1970年代当時は、私の知るほとんどの連中は個別市場でトレードしていた。小麦をトレードしている連中は、砂糖をトレードしている連中には話しかけなかった。そして株に投資する連中はどちらにも話しかけようとしなかった。商品先物は「投資家」向けではなく「投機屋」向けだったからだ。さらに債券の連中は株の連中を荒っぽいやつらだと思っていた。集団それぞれが独自の優越感を持つようになっていて、基本的には自分たちのような業界の専門家だけが市場の微妙な原動力を理解できると信じていた。それが、だれも私のようなトレンドフォロワーにあまり関心を持たなかった理由のひとつだと思う。私はすべての市場を同じように見ていたし、私にとってはどれもトレードのひとつを意味するにすぎなかった。今日ではいろいろと異なる面があるにもかかわらず、だれもが同じ言葉を話すようになった。それはリスクという言葉である。

 交通事故のかなりの割合は「ドライバーは見ていたが、見落とした」というたぐいのものだ。彼らは見通しが良くても歩行者とぶつかるし、すぐ前の車に追突したりもする。電車に突っ込むことさえある。そのとおり――電車に突っ込まれるのではなく、突っ込むのだ。そうした場合、周りの情報はドライバーの目に入っている。しかし運転中のどこかでこの情報が消えてしまい、ドライバーは現実との接点を失う。彼らは見ているのに見えていないのだ。――ロナルド・A・レンシンク

 大切なのは、計画を持つこと、その計画を実行するときに規律を持ち続けること、そして起こると思うことにではなく実際に起こっていることに注意を払うことだ。私たちはできるだけ客観的に分析をしようとしている……。時には不運に見舞われるのに、かかわっている人たちが毎日計画どおりにやるのは必ずしも簡単ではない。人は常に予想もしていないことに出合う。そういうときには、分別という名の下に規律がどこかに押しやられることがある。しかし分別はたいてい、あなたが成功したやり方を続けるようにと言うのだ。私は、それが私の主な役割のひとつだと思っている。私は難しい時期に、我慢し続けるようにとみんなを励ますことがよくある。私は予想しないことが起こったからといって人を責めたりしない。――ジョン・W・ヘンリー(CME誌創刊号)

 若いころ、私の知り合いでどの年も勝っているように見えた男が一人だけいた。この男は名前をジャック・ボイドといった。さらにボイドは、私の知り合いのうち異なる市場で多くのトレードをしているただ一人の男でもあった。彼のトレードのどれかひとつを追いかけても、次にどうやればいいのかけっして分からないだろう。しかし、私のように彼のトレードすべてを実際に計算していたら、年率約20%の利益を上げていただろう。それで、先物市場で「全面的に」トレードするという考えに私は少なからず興味を抱いた。個々の市場はどれもリスクが高そうに見えたが、全部を合わせると市場同士で補い合う傾向があり、ボラティリティ(変動率)が小さくなってけっこうなリターンが得られた。

 私がウォール街へやってきて以来いつも目にさせられたのは、混乱もあるにしろ、市場は人や人の感情で動いているということだった。つまり、これら市場のすべてに共通するのは人だった。そして人はまったく変わらない。それで私は各市場の動きで似たところを理解しようとし始めた。ボイドのトレードを集計してみると、彼はほんの少数の大きなトレードだけですべてを稼いでいた。彼がそういう大きな勝ちを収めたときには、私はいつもそこにいて、「専門家」が彼に向かって、この銘柄がもう上がるわけはないと言うのを聞いた。しかし実際には上がった。それから彼の損を見ると、比較的少ないことが多かった。それがどうしてなのか理解できるまでに何年もかかった。忘れないでほしいが、その当時にこの本のようなものはなかったのだ。そんな一見すると小さな観察が、私にとって2つの重要で絡み合った投資テーマ――トレンドフォローとリスク管理――の根拠になった。ボイドはあまりトレンドフォローはしなかったが、トレンドフォローの第1原則――負け組は切れ、勝ち組はそっとしておけ――は確かに実行した。

 私の知り合いで大損をしたほとんどの連中は、実は判断が間違っている場合よりも合っている場合のほうが多かった。彼らはいくつかの大きな負け組で大損をしていただけなのだ。私は、正しいということを人は高く評価しすぎていると思う。それはある意味で、一流の学校に通っていつも全優の成績だった人の欠点だ。彼らは常に正しいということに慣れ切っている。それは人にはね返ってくるのだ。だれでもちょっとした勝ち組をたくさん手にすればうれしい。それで気分も良くなる。一方、自分のトレードがうまくいっていないときには、それにしがみつく。自分が間違っていることを認めたくないからだ。確かにこれらのトレードで値が戻り、彼らがちょっとした利益を得られることも珍しくない。だが私に言わせれば、その種のトレードは地ならし用ローラーの前に落ちている小銭を拾うのにちょっと似ている。

 思慮深い投資家がリスクから身を守る最も良い手段は、退くことではなく分散化することである。しかし、単にさまざまな株(あるいは異なる証券投資ファンド)に投資を分けるだけでは分散化を本当に達成するのは難しいし、株と債券を組み合わせても達成は難しい。なぜなら両方が補い合っていないからだ。――デビッド・ハーディング(ウィントン・キャピタル)

 幸いなことに、市場は私にも、あなたにも、あなたの通った学校にも関心がない。あなたの背が低かろうと高かろうと、市場にはどうでもいいことだ。私は学校ではいつも成績があまり良くなかったし、スポーツも得意ではなかった。そうした背景もあって、自分が間違っているかもしれないと考えることに、私は何の問題もなかった。だから何をするにも、私は常に間違うことを前提に計画を組み立てた。私たちは今こういう習慣を丁寧にリスク管理と呼んでいる。しかし、私はただ問いに答えたかっただけだ――「私の身に降り掛かるかもしれない最悪のことは何なのか」という問いに。私は、自分が死ぬかもしれないようなことは何であれ絶対にしたくなかった。私はよく間違えると分かっていたので、正しい場合にはたくさん儲かり、間違っている場合にはあまり損をしないようなやり方でトレードしなければならなかった。それでも十分でなければ、さらにトレードは自分で理解できるほど単純でなければならなかった。

 何年間も苦労を重ねていろいろ調べたり学んだりして、私は自分流のトレンドフォローを少しずつ発展させた。その考えは筋が通っていたし、いくつか見習う手本もあった。それでも私は実際にお金を使わずに、それがうまくいくか確かめたかった。もし過去にそのようなトレードをしていたら私がどうなっていたか、分析しなければならなかった。このころはコンピューターが出回り始めた時期で、私たちの理論を試して証明するためには、大学のコンピューターの時間を「借り」なければならなかった。それは骨の折れる仕事だったが、私にとって必要な安心感を与えてくれた。今この本を読むとき、手作りが好きな人は、この同じ基本原理を実例で説明する本を手にしたら楽しみが奪われると主張するかもしれない。

 実際には、ほかの優れたトレンドフォロワーと同じように、コベルもただ最終地点だけに注目しているわけではない。彼は最も重要な部分――そこまでの道のり――に対する深い理解を与えてくれる。投資に関して書かれたほかの非常に多くの本とは異なり、本書は結果を超えて、このずば抜けた一群のトレーダーたちがたどった道のりを調べている。  ハイト・キャピタルの私のスタッフにとって、コベルのこの本は必読書だ。家にいる私の娘にとっては、私が今まで一度も自分ではっきりと答えられなかった質問――「パパは何の仕事をしてるの?」――についに答えてくれた本だ。本書は、非常に多くのトレーダーが生涯をかけ大きな損失のなかで学んだことをとらえて伝えている。また私たちにとって幸運なことに、それを理解するのに優等学生友愛会の会員である必要もない。

 私たちは、もはや小麦屋や砂糖屋や株屋の世界に住んではいない。トレンドフォローはあらゆる市場で重要な力であり、幅広い投資ポートフォリオの一部であるべきだ。私にとって、トレンドフォローの規律はトレードや資金管理を超えるものだ。私たちはだれもうまくいっていることは続け、うまくいかない活動はやめることが多いので、トレンドフォローは生活の多くの場面で使える考え方だ。

 私の見るところでは、あなたには2つの選択肢がある。私がやったように30年以上を費やして細切れの情報をつぎはぎし、金儲けの戦略を作ろうと努力することもできる。あるいは、そんな30年の学習曲線は飛ばして、数日をかけてコベルのこの本を読むこともできるのだ。

 トレンドフォロー型のヘッジファンドであるアスペクト・キャピタルは、この企業にふさわしい名前だ。物理学専攻の経営陣はこの企業名を飛行機設計のアスペクト比から採った。飛行機は両翼の端から端までが広いほど安定する。そしてアスペクト社は設立時から行っている先物のトレードだけでなく、ヨーロッパの株式、債券、通貨もさまざまな形でトレードしていて、いわば翼を大きく広げている。ロンドンに事務所を置くこのヘッジファンドは、マーチン・リューク、ユージン・ランバート、アンソニー・トッドの考えが基になって生まれた。設立は1997年で、その代表社員たちは1983年以来の実績があるAHL社(現在はマン社の所有)の発展にかかわった。難しい市場環境のなかで、アスペクト社は規律ある投資手法によりロングからもショートからもリターンを生むことに成功した。――フューチャーズ・マガジン(アスペクト・キャピタルより)

 ラリー・ハイトについて

 ラリー・ハイトは1983年にミント・インベストメントを設立した。1990年までに、ミント・インベストメントは運用資産では世界最大の商品取引顧問業者になった。ミント社の業績によって、ハイトと彼の仲間は業界中からかっさいを浴びた。そして1990年にジャック・シュワッガーは、ベストセラーになった『マーケットの魔術師』(パンローリング)の1章すべてをハイトのトレーディングとリスク管理の哲学に費やした。



■まえがき

 「求む、危険な旅の同行者たち。低賃金。極寒。何カ月も続く真っ暗やみ。絶え間ない危険。安全な帰還は保証せず。成功の場合、名誉と表彰あり1」

 金のこととなると、だれでも同じ宗教を信じる。――ボルテール

 この本はトレンドフォローの真実に向かって14年間「危険な旅」を続けた結果、生まれた。書店には安く買って高く売ることやインデックス投資やほかのあらゆるたぐいのファンダメンタル分析に関する本はあふれているが、市場で常に利益を出す唯一最良の戦略だと私が信じていることに関する情報はないし、実際のところ参考書はないに等しい。本書はその空白部分を埋めるものだ。その戦略はトレンドフォローと言われる。それについてバン・タープは簡潔にこう述べている。

 「トレンドフォローという言葉を2つに分けてみよう。前半はトレンドだ。トレーダーはだれでも利益を出すためにトレンドを必要とする。しかしどんなテクニックを使って利益を上げようとしても、買ったあとにトレンドがなければ買値より高く売ることはできないだろう……。後半はフォローだ。トレンドフォロワーはいつでもトレンドがまず変わるのを待ち、次にそれをフォローする(ついていく)。だからこの言葉を使うのだ2」

 教育は学んだことを伝えたり、見習ったり、型どおりの仕事をする人を育てるのであって、新しい考えの先駆者や創造的な天才を育てるわけではない。学校は進歩や改良をはぐくむところではなく、伝統や変わらない考え方を守るところだ。――ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス

 トレンドフォローは、上昇相場であれ下降相場であれトレンドの大部分をとらえて利益を得ようとする。それは株式、債券、通貨、商品先物という主要な資産すべてにおいて利益を上げることを目指している。残念なことに、トレンドフォローの基本的な考えは非常に単純でありながら、一般の人からは大きな誤解を受けている。この状況を正したいというのが、私が調査を始めた理由のひとつだ。私はできるだけ客観的でありたかった。それで本書のデータはすべてだれにでも利用可能なものを使っている。

●トレンドフォロワーのこれまでの月次運用成績
●トレンドフォロワーの過去30年の公表文書やコメント
●金融関係の大事件についての記事
●それらの大事件で損失を出した企業の記事
●トレンドフォロワーが実際にトレードしたときのチャート
●それらの大事件で損失を出した企業がトレードしたときのチャート

 トレンドフォローの運用成績データに関する数字やチャートやグラフだけで本を書くことができるなら、私はそうしていただろう。しかし何の説明もなしに、データが示していることだけから何が起こったかを理解できる読者はほとんどいない。したがって、私はジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー2』(日経BP社)と似た手法を使った。そこでは調査チームが疑問点を洗い出し、答えを自由に捜しながらデータを蓄積し、そのあとで精力的な議論をしている。

 コリンズは全体として有名な上場企業について書いた。しかし、トレンドフォロワーたちはあまり知られていないトレーダーの地下組織のようであり、時に記事にされるにしろ、主要メディアは事実上無視してきた。これらの大成功をしたトレーダーとはだれなのか、彼らはどのようなトレードをするのか、また彼らのトレード手法で私たちみんなが自分のポートフォリオでも使えることがあれば、何を学べるのか。私はこれらについて初めて真相を明らかにしようとした。

 トレンドフォローは成功したトレードやトレーダーについて、世間一般の考えの多くとは異なる考え方をする。私は世間一般の考えからの影響を避けるために、ウォール街が決めて世間に広まっている知識に影響されないようにしようと決心し、「地球は平ら」といった古い考えには頑として闘った。調査に際して、まず仮説を作って次にそれを裏づけるデータを探すということはしなかった。そうではなく、まず疑問を出したあとで、客観的に、粘り強く、ゆっくりと答えを明らかにしていった。

 私がこのようなやり方をする気になった理由がひとつあるとすれば、それは単純な好奇心だった。トレンドフォロワーについて知れば知るほど、もっと知りたくなった。例えば、一番初めのころの疑問のひとつ(当時まだ答えは分からなかった)は、ベアリングス銀行が破たんしたときに儲かったのはだれなのかということだった。私の調査で、ベアリングス銀行とトレンドフォロワーであるジョン・ヘンリー(現在のボストン・レッドソックスの支配株主)の関係が明らかになった。ヘンリーの実績が分かると、「そもそも彼はどうやってトレンドフォローを発見したのか?」とか、「彼の手法は過去30年で大きく変わったのか?」といった新たな疑問がわいてきた。

 また私は、1998年の夏にヘッッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメントが失った19億ドルを手にしたのはだれなのかも知りたかった。なぜウォール街の大手銀行はこれほど大きな固有のリスクがあるオプション価格モデルに、合わせて1000億ドルも投資したのだろうか。さらに、2008年10月にどの投資信託やヘッジファンドが損失を出し、どのトレンドフォロワーが同じ時期にうまく稼いだかを考えると、なぜ投資家たちがトレンドフォロワーの存在さえ気に留めなかったのか理解できなかった。ほかの疑問もすぐに出てきた。

●トレンドフォロワーはゼロサムゲームでどうやって勝つのか。
●なぜトレンドフォローは最も儲かるトレーディング方法であり続けるのか。
●トレンドフォロワーは成功に対して基本的にどう考えているのか。
●トレンドフォローの変わることのない法則は何か。
●トレンドフォロワーの相場観はどういうものか。
●トレンドフォローが揺るぎない理由は何か。

 私が調べたトレンドフォロワーの多くは人目を避けていて、非常に地味だ。中にはトレンドフォローを独力で発見し、自宅兼オフィスでそれを使って、ひと財産を造った人もいる。ビル・ダンは成功したトレンドフォロワーで30年以上勝ち続けているのだが、フロリダの海岸沿いの町にある静かで質素なオフィスで仕事をしている。ウォール街にとって、こうしたトレードのやり方はおきて破りだ。それはウォール街で成功につれて慣れ親しむ、あらゆる習わしや儀式や地位の象徴であるぜいたく品や神話に反するのだ。成功したトレーダーの一般的イメージは、いつもいらついている極端な仕事中毒で、ウォール街のトレーディング企業の入り組んだ建物の中でモニターに囲まれ、電話で叫びながら1日24時間、週7日を過ごすというものだ。本書で紹介したトレンドフォロワーによって、そうした誤ったイメージがぬぐわれることを私は望んでいる。

 本書の初版が2004年4月に出たとき、私はこれがトレンドフォローを総合的に見た最初の仕事になっていればいいと思っていた。最初の出版から5年近くたち、その目標は達成された。どうして分かるかって? 本書の初版が出たあと、合計で何兆ドルも管理するトレンドフォロワーたちに私は文字どおり何十人も会った。彼らの反応が何よりの証拠だ。5年前にまとめ上げた目立たない本のおかげで、ノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコビッツ博士と話したり、ヘッジファンドマネジャーのブーン・ピケンズやデビッド・ハーディングのような人と話したりする機会を持つとは思いもしなかった。しかし、実際にはそうなったのだ。

 科学で重要なことは、新事実を見つけるより、新しい考え方を発見することだ。――サー・ウィリアム・ブラッグ

 証拠のことはいいとして、2008年の10月と11月のことで、私は禁断の木の実をもう一度かじりたい、この本にもう一度「取り組む」チャンスが欲しいと思った。私にとっては幸運なことに、2008年の市場の混乱で私にその機会が巡ってきた。2008年10月と11月は間違いなく、市場にとって1929年の大恐慌以来最も歴史的な月だ。ほとんどの人や投資信託やヘッジファンドが、想像を絶する大金を失った。「天才は上昇相場をてこにする」と昔から言われるが、2008年にバブルがはじけたときに天才のポジションをずっと取っていた人々は、結局あまり賢くはなかった。この暴言で、私がどこに向かっているかすでに想像がついただろうか? そのとおり、2008年に世間の連中が打ちのめされているとき、トレンドフォロワーは大金を稼いだのだ。トップクラスのトレンドフォロワーの運用成績は、2008年10月だけで5%〜40%に及んだ。世間の多くが大損しているときに1カ月でそれだけの利益を出しているというのは、控えめに言っても注目すべきことだ。私の本を出してくれた出版社のジム・ボイドも同じ意見だった。

 魚はえさを見て、釣り針を見ない。人は利益を見て、危険を見ない。――中国のことわざ

 この新版では初版からの時代を超えた教訓を核にして、多くの新しい項目や洞察を加えた。私は本をすっかり改訂して資料を分かりやすく、また面白くし、時に「ほう」と言わせる体験ができるようにした。しかし、あなたがトレードの「秘密」を捜しているのなら、ほかを当たる必要がある。そんなものはここにはない。典型的なウォール街の企業(少なくとも2008年につぶれてしまう前の企業!)の内情とか、欲の深いトレーダーがどのようにして自分の破滅の種をまいたのかという話を読みたい気分なら、私の本は期待に添えない。だが、探しているのは別のもので、実際に毎年どれほどのリターンがあるか分かるものを探しているが、公平な情報がどこで手に入るか分からないというのなら、私の洞察によって自信が得られ、それが最終的には大金を稼ぐのに役立つだろう。

 愉快でいることがどれくらい実り多いかに気づいていると、怒りを利用して物事を達成しようとする疎外された者の宣伝に惑わされなくなる。――エリック・ホッファー

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