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ウィザードブックシリーズ Vol.227

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ウォール街のモメンタムウォーカー ウォール街のモメンタムウォーカー

2015年7月発売/A5判 270頁
ISBN978-4-7759-7194-9 C2033
定価 本体4,800円+税

著 者 ゲイリー・アントナッチ
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子


目次

「効率的市場仮説」を支持したサミュエルソンはなぜ投資先をバークシャーにしたのか

モメンタムは持続する!
効率的市場仮説は経済理論の歴史のなかで最も重大な誤ちの1つである
市場状態の変化をとらえ、低リスクで高リターンを上げ続ける戦略

200年以上にわたるさまざまな市場や資産クラスを調べた結果、1つの事実が明らかになった。それは、「モメンタムは常にアウトパフォームする」ということである。しかし、ほとんどの投資家はモメンタム投資のメリットを見いだし、十分に活用する方法を分かっていない。今まではそうだったが、これからは違う! 個人投資家だろうが、プロの投資家だろうが、あるいはマネーマネジャーだろうが、デュアルモメンタム投資は、レラティブストレングスと市場トレンドの大きな変化のなかで常に利益を上げ続けることを可能にしてくれるものだ。

近代ポートフォリオ理論と最適化の専門家であるゲイリー・アントナッチは、素晴らしい研究に基づいて、モメンタムという概念をグローバル・エクイティー・モメンタム(GEM)という投資戦略に結実させた。レラティブストレングス・モメンタムと絶対モメンタムを組み合わせたGEMは、大きなドローダウンを避けながら、市場間のトレンドをつかんで利用するという画期的なモデルである。この戦略を規律に従って導入することで、各トレーダーには次のことが可能になるだろう。

本書ではGEMを、裏づけとなる理論、これまでの分析、理解しやすいデータを使って、簡単かつ明確に解説する。この実用的なテクニックは現実世界とも一致する。デュアルモメンタムトレードがなぜうまくいくのかについての理解を深め、あなたの投資にぜひ活用してもらいたい。コストの安いブローカーの選び方から、資産の選択、定年退職に向けてあなたの戦略をカスタマイズする方法まで、あらゆることを網羅している本書を読めば、投資に対する自信が向上ことだろう。

これまで富を稼ぐのに多大な努力をしてきたあなた。今こそ、次のステップに進むときだ。築いてきた富を守りながら、さらにそれを増やすように本書を活用してもらいたい。


■著者紹介

ゲイリー・アントナッチ(Gary Antonacci)
ハーバード大学でMBAを修得。あまり活用されていない投資機会に焦点を当てた投資のプロとして35年以上の実績を持つ。投資の世界に、レラティブストレングス価格モメンタムとトレンドフォローの絶対モメンタムを組み合わせたデュアルモメンタムを紹介したモメンタム投資の第一人者。ベトナムで米陸軍衛生兵として従事した経験も持つ。長年にわたり犬の救済と里親探しにも熱心に取り組んでいる。ブログとウェブサイト(http://www.optimalmomentum.com/)は高い人気を誇る。


■本書への賛辞

「さまざまな投資手法の長所・短所をこれほど包括的に解説してくれる本はほかにはないだろう。特に、絶対モメンタムと相対モメンタムを組み合わせたGEMという強力なモデルは圧巻だ。システム設計者、マネーマネジャー、投資家にとっての必読書だ」――エド・スィコータ(『マーケットの魔術師』で取り上げられた伝説的なトレーダー)

「エド・ソープの『ディーラーをやっつけろ!』とセス・クラーマンの『マージン・オブ・セイフティー(Margin of Safety)』が出合ったらどういう本になるだろうか。本書はまさにそんな本だ。非常に野心的で、ぜひとも手元に置きたい本だ」――クロード・エルブ(TCWグループの元社長)

「何十年にもわたって隠されてきたモメンタム投資の威力という秘密の世界の扉を、アントナッチはついに開けてくれた」――カート・ブラウワー(ブラウワー&ジャナチョースキーLLCの会長)

「本書はデュアルモメンタム投資の価値ある考え方を伝授してくれるものだ。すべての投資家にとって得るところが多く、しっかりした内容で読みやすい。学術的側面と応用のバランスの取れた本だ」――ビクター・リッチアーディ(『Investor Behavior』の共著者)

「価格モメンタムのいろいろな形態を解説した素晴らしい本だ。モメンタムがなぜ機能するのかだけでなく、その使い方についても分かりやすく解説している。投資家にぜひともお勧めしたい1冊だ」――ジェームズ・P・オショーネシー(『ウォール街で勝つ法則』の著者)

「本書はモメンタムをベースにしたシンプルな戦略を明確に学術的に解説したものだ。これは試してみるべき価値のある戦略だ。きっととりこになるはずだ」――ジョン・ノフシンガー博士(アラスカ大学のファイナンス学部長、『最新行動ファイナンス入門』[ピアソン桐原]の著者)

「個人投資家にとっても、投資顧問業者にとっても必読の書だ。投資戦略とアセットアロケーション戦略の開発についての考え方を一変させてくれる本だ」――ボブ・フレーリッヒ博士(ダッチ・アセット・マネジメントの元副会長)

「私が長を務めた2012年のNAAIMワグナー・ペーパー・コンテストで、アントナッチの論文が1位を獲得したとき、私は彼のたぐいまれな文才に感動した。本書はまさによくリサーチされたモメンタムベースの投資プロセスの宝庫と言ってもよいだろう。これまでに書かれたモメンタムの本や論文を徹底的に調べ上げ、現代ポートフォリオ理論を批判的に見直しながら、長期戦略に真剣に取り組みたい人にとって簡単に実行できるさまざまな手法を紹介している。論理的で理解しやすく、5つ星の1冊に入る本だ」――ゴレゴリー・L・モリス(スタディオン・マネー・マネジメントの主任テクニカルアナリスト兼投資委員会委員長、『インベスティング・ウィズ・ザ・トレンド』の著者)

「競合する投資理論と実践をこれほど深く調査できる著者は少ない。投資の世界に貢献できる著者はもっと少ない。本書はそのどちらも達成している」――ジェリー・ウォルドロン博士(メンフィス大学の元ファイナンス準教授、ニューヨーク大学スターンビジネススクールのマネジメント準教授)


■目次

(本テキストは再校時のものです)
監修者まえがき
序文
謝辞
はじめに

第1章 世界初のインデックスファンド
それはなぜうまくいったのか
この話から得られる教訓
効率的市場
パッシブ投資に取って代わるもの
形勢の変化
モメンタムアノマリー

第2章 上昇するものは……上昇し続ける
古典的アイデア
20世紀初期のモメンタム
20世紀中盤におけるモメンタム
近代のモメンタム
独創性に富んだモメンタムの研究
モメンタムのさらなる研究
現在におけるモメンタムの応用

第3章 近代ポートフォリオ理論の原理と応用
マーコウィッツの平均分散最適化
資本資産価格モデル
ブラック・ショールズ・オプション価格付けモデル
ポートフォリオインシュランス――ノー!
投資で豊かな生活

第4章 モメンタムの合理的説明とそれほど合理的ではない説明
モメンタムはなぜ機能するのか
モメンタムの合理的基盤
リスクベースのモメンタムモデル
モメンタムの行動経済学的基盤
初期の行動モデル
アンカリングと過小反応
確証バイアス
群れ行動、フィードバックトレーディング、過剰反応
ディスポジション効果
まとめ

第5章 資産の選択――良い選択、悪い選択、醜い選択
債券? お粗末な債券はいらない
リスクパリティ? まさか!
57種類の分散化
海外分散投資
新興市場
コモディティのパッシブ運用
マネージドフューチャーズ
ヘッジファンド
プライベートエクイティ
アクティブ運用の投資信託
そのほかのアクティブ運用投資
個人によるファンド以外の投資
風に吹かれて

第6章 スマートベータと都会伝説
スマートベータの性質
スマートベータの複製方法
スマートベータのもっと賢い使い方
サイズは本当に価値があるのか
バリューは本当に価値があるのか
モメンタムは本当に価値があるのか

第7章 リスクの測定と制御
絶対モメンタム
絶対モメンタムの特徴
デュアルモメンタム――相対モメンタムと絶対モメンタムの長所を引き出す
アルファとシャープレシオ
テールリスクと最大ドローダウン
統合アプローチ

第8章 グローバル・エクイティ・モメンタム
動的な資産配分
ルックバック期間
絶対モメンタムの適用
相対モメンタムの適用
相対モメンタムと絶対モメンタム
デュアルモメンタムの適用
ドローダウンの比較
ファクターモデルの結果
シンプルで効果的
GEMの使い方
異なるリスク選好への対応

第9章 モメンタムのさらに効果的な使い方
モメンタムの改善に潜む危険性
絶対モメンタムの再考
移動平均を使ったトレンドフォロー
企業価値評価によるマーケットタイミング
相対モメンタムの再考
52週高値への近接
価格モメンタム、利益モメンタム、収益モメンタム
モメンタムの加速
フレッシュモメンタム
グローバル・バランスト・モメンタム
デュアルモメンタム・セクターローテーション
今やらなければならないこと

第10章 最終的考察
古い投資パラダイム
新しい投資パラダイム
モメンタム効果の持続
課題と機会
ご乗車の方はお急ぎください!

付録A――グローバル・エクイティ・モメンタムの月次パフォーマンス
付録B――「絶対モメンタム」

用語集
参考文献
推薦図書


■監修者まえがき

 本書はゲイリー・アントナッチによる“Dual Momentum Investing : An Innovative Strategy for Higher Returns with Lower Risk”の邦訳である。株式投資において有効なリスクファクターとしては、「バリュー(企業価値評価)」や「サイズ(時価総額の大きさ)」などが従来知られていたが、アントナッチは、それらと独立したファクターとして「モメンタム(運動量)」があり、自己時系列に対する絶対モメンタムならびにクロスセクションでの相対モメンタムを使うことで、長期的に安定した収益が得られることをここで示している。実際、タイミングモデルになじみがない人たちにとっては、第8章に示された簡単なフローチャートに従うことで高いパフォーマンスが得られるとはにわかには信じられないかもしれないが、これは事実である。なお、この「モメンタム」の効果については、著者が批判的に書いているように、今でも学術(academic)の世界ではほとんど顧みられていない。しかし、実務(practitioner)の世界、特にヘッジファンドをはじめとした代替的投資の関係者の間では、それはずっと以前から知られており、私がこの世界に入った1990年代初めにはすでに枯れた常識であった。

 ところで、一般に創発を伴うシステムについて新たな知識を創造するためには、自身の豊富な実務経験に基づいて生成された暗黙知を形式知に変換していく循環的なプロセスが不可欠である(そこに組織的な相互作用があればなお良い)。このため、複雑系の一種である金融市場においても、イノベーティブな発見は、そのためのリソースを持たない学究ではなく、投資活動の現場の人間によってもたらされてきた。だが、今も昔も実務家は、「本当に収益を稼げる知識や技術」については信頼できる仲間内だけで共有し、うかつに他人に話したりはしない。このため、研究者がマーケットについて見当違いな議論や主張をしていても、心優しい実務家はそれを温かく見守るだけであって、わざわざ間違いを指摘するような野暮なことはしない。ゆえに、教科書に書かれている理論的パラダイムがいつまでも旧態依然としていてリアリティを帯びないのはやむを得ないことなのだ。

 一方で、私たち投資家は、自分が使う投資手法が、再現性、妥当性、客観性を備えた科学的なものであることを確認する必要がある。もし不必要な損をしたくなければ、発展途上の未成熟な教義が現実世界に追いつき適切なものに更新されるのを待っている時間的余裕はない。昨今、テーマやストーリーだけが売りの、反証可能性に欠ける非科学的な投資商品が蔓延するなかにあって、アントナッチが紹介したデュアルモメンタム投資は、例外的に再現性や論理的整合性を備えた科学的な投資手法である。実務家として、沈黙を破ってこれを世に知らしめた彼の功績は非常に大きい。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山下恵美子氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2015年6月
長尾慎太郎


■序文

 2014年のノーベル経済学賞の共同受賞者で、効率的市場仮説の父とも呼ばれるユージン・ファーマは、モメンタムを短い言葉で言い表している――「モメンタムは持続する」。これはモメンタムに対するファーマ博士からの大きな褒め言葉だ。しかしモメンタムが持続すると言っても、モメンタムは依然として投資家たちに誤解されている概念の1つだ。しかしありがたいことに、この空白を埋めてくれる人物が登場した。ゲイリー・アントナッチだ。本書は、難解な学術誌においてモメンタムアノマリーの微妙な論理的メカニズムを探究してきた学術研究者と、超過リターンを生みだすためにモメンタムの漠然とした知識をその場その場で使ってきた実践家たちの間のギャップを埋める最高傑作だ。アントナッチは学術・実践の両分野で彼の専門知識を駆使し、堅牢でシンプルで実行可能で大きなリスク調整済みリターンを生みだしてきた、モメンタムベースのアセットアロケーション戦略を構築した。

 アントナッチのデュアルモメンタム投資のどこにメリットがあるのだろうと疑う人もいるはずだ。私もかつてはそうだった。モメンタムとは何なのかをとらえようと、これまでどれだけ無駄な努力がなされてきたことだろう。経験主義のリサーチャーが教えてくれるように、それは「信用しても、自分で確かめる以外にない」。しかし、私たちがどんなに努力して理解しようと努めても、アントナッチのシンプルで直観的で包括的なモデルにかなうものはない。

 巨大な新興デットプレーヤーの元マーケットメーカーで、熟年と言われる40歳ですでに引退してマイアミに移り住んだ私の親友の一人は私によくこう言う――「価格が上昇すれば買い手を引きつけ、価格が下落すれば売り手を引きつける」。これは明らかにモメンタムの効果を言い表したものだ。アントナッチは、すべてのトレーダーが直観的に理解して使っているモメンタムという現象を、あらゆる種類の投資家が利用できるさらに高いレベルに引き上げてくれた。

 ところで、本書のような本が出版されるまでになぜこんなに時間がかかったのだろうか。答えは簡単だ。本書のような本には風変りな著者が必要で、それはアントナッチだけだからである。アントナッチはモメンタムの世界ではちょっと変わった人物だ。私とアントナッチは素敵な仲間たちに出会える場所を通じて知り合った。つまり、ブログロマンスというやつだ。それは私が http://www.alphaarchitect.com/ というクオンツ投資を民主化するためのブログに投稿するモメンタムの話を考えていたときのことだった。そのときに見つけたのが、アントナッチの「Absolute Momentum : A Simple Rule-Based Strategy and Universal Trend-following Overlay」という論文だった。「あー、またかよ〜。また実践家が真面目な学術研究者になりすまして投稿してきてるぜ」と私はとっさに思った。でも、とにかく私はアントナッチの論文を読んでみた。読めば読むほど、強く印象づけられる内容だった。論文はとてもよく書かれていた。明快で、構成が科学的で、学術誌の論文のようだった。これだったら大学で教えていても当然なのに、なぜ大学の教授じゃないんだ? もっと調べてみよう。

 メールや電話で何度も話しているうちに、実際にアントナッチに会ってみたくなった。会ったのは――ブログロマンスってだいたいこんなところから進展していくもんなんだけど――、タホ湖で開催された2013年ウエスタン・ファイナンス・アソシエーション年次総会だった。私たちは「オタクデート」をすることになった。有名な、そしてあまり有名でない学術研究者の群れがいろいろなセッションへ慌ただしく行き来するのを見ながら、ハイアットリージェンシーホテルのロビーで彼を待っていた。すると、カーリーヘアで地味な男がジーンズに半袖の襟付きシャツといういでたちで、自信たっぷりに、しゃれた両開きのドアを通ってぶらぶらと歩いてきた。コカ・コーラのビンの底のような眼鏡をかけ、ツイードを着た学術者たちとは明らかに違っていた。私は彼のほうを指差して、「もしかして、ゲイリー?」って聞いてみた。すると、彼はワイルドに笑って、「もしかして、ウェス? 急いで! 『リターンの相関関係から裁定資産を推定する』セッションに出ようよ」。こうして私たちの奇妙なブログ関係は相思相愛の関係へと発展した。

 そのセッションが始まる時間はとうに過ぎていたので、ドアを出て金融セッションが行われている湖のほうに急いだ。着いたときには汗びっしょりで、息切れしていた。とてもじゃないが、進行中のプレゼンのドアを開けて、50人強の金融学の教授から殺人的なまなざしを向けられるという状態ではなかった。「ちょっとコーヒーでも飲んで落ち着こう。次のプレゼンに出ればいいよ」と私は提案した。閉じられた多くのドアの向こうで繰り広げられているプレゼンよりもはるかに素晴らしいプレゼンをそこで受けるとは夢にも思っていなかった。

 アントナッチと私はコーヒーを飲みながらぶらぶらと歩いた。そして彼のバックグラウンドが次第に明らかになった。「私は軍隊にいてね、衛生兵として戦闘に参加していたとき……」とアントナッチが言いかけたとき、私は思わず口をはさんだ。「ちょっと待って。あなたはベトナム帰還兵なんですか? ぼくはアメリカ海兵隊の大尉だったんです。そしてイラク戦争の帰還兵なんですよ!」。私たちはお互いに顔を見合わせ、この思いがけない偶然に驚いた。軍隊の経験は投資の世界で役立つことは知っていた。アントナッチは彼の変わったバックグラウンドを話し続けた。「ぼくはとてもクールなことをやってきた。インドに数年住んだり、しばらくコメディーマジシャンとしてツアーに出たり。それにアーティストとして賞ももらったことがある。ハーバードビジネススクールのMBA(経営学修士)も持っているんだ」。私は何が何だか分からなくなって、「もう1回言って?」と言った。

 アントナッチが長年にわたって行ってきた偉業の話を1時間ほど聞いていると私の頭は思考停止に陥った。そこで私は彼に質問した。「ゲイリー、あなたはちゃんとした仕事に就きたくないように思えるけど、なぜ学術研究者にならなかったんですか? あなただったら素晴らしい学術研究者になれたと思うのに」。彼の答えは予想どおりだった。「ウェス、ちょうどそれを話そうと思っていたところだったんだ。ぼくがちょうどきみと同じ年のころ、きみと同じ道を進むはずだったんだ。シカゴ大学の金融博士号に出願して、合格したんだ。本当は学術研究者になりたかったんだ」。話がだんだん見えてきた。それで私はまた質問した。「で、何があったんですか?」。アントナッチは常に正しい答えを用意しているかのように答えた。「博士課程に進もうと思っていたとき、オプションのトレードで大金を稼いでしまったんだ。それに効率的市場仮説ってやつも信じられなかった。もし博士課程に入れば、お金儲けをあきらめなければならなくなってしまう。だって、彼らは市場を打ち負かすことはできないって言うんだよ!」。私は彼の返答をしばらく考えて思った。彼と同じ境遇だったら、私もおそらくは彼と同じことをやっただろうと。

 この話の教訓は何だろう。私はなぜアントナッチとの関係や経験をこんなに長々と説明したのだろうか。それは、私がそうだったように、アントナッチがたぐいまれな才能を持ったたぐいまれな人物だということをあなたに分かってもらいたかったからだ。アントナッチには、さまざまな分野の莫大な調査資料を集め、私のような悩めるモメンタムバカでも何が起こっているのかが理解できるようにまとめる力を持っている。これは確かだ。アントナッチのやったことは非常にチャレンジングなことだ。これには幅広い知識といろいろな分野にまたがって点を結び全容を明らかにする力を必要とする。これは実際にやったことのある私が一番よく知っている。私はバリュー投資と行動経済学を研究し、バリュー投資についての共著『クオンティタティブ・バリュー(Quantitative Value)』を書いた。論点はアントナッチのものとほぼ同じだ。私の本は次のことに気づかせてくれる――〇笋魯丱侫Д奪箸砲呂覆譴覆い海函↓富を増やす効果的な方法はシステマティックな意思決定プロセスと健全な投資哲学を組み合わせること。アントナッチの本もいくつかのことに気づかせてくれる――〇笋魯▲鵐肇淵奪舛曚斌棲里砲禄颪韻覆い海函↓▲皀瓮鵐織狹蟷颪魯丱螢紂璽▲離泪蝓爾茲蠅睛イ譴討い襪箸聾世┐覆い泙任癲同じくらいにトップレベルのアノマリーだということ。私は少しジェラシーを感じた。

 人々はアントナッチのこの素晴らしい本を読んでどう思うだろうか。今からワクワクしている。「古典」でいっぱいのバリュー投資に比べると、モメンタム投資には古典はないが、アントナッチの本は古典になるにふさわしい風格がある。本書はだれのモメンタムの棚にも最初に置くべき本だ。私と同じように本書を楽しんでもらいたい。そして、最も重要なことは、本書から何かを学び取って、より良い投資家になってもらいたい。

    ウェスリー・R・グレイ博士
    (エンピリトラージ取締役兼『クオンティタティブ・バリュー』の共著者)


本書の内容を的確に表したと思われるフレーズ・警句・箴言の抜粋(編集部)


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