パンローリング トップバー パンローリング Top 相場データCD-ROM オプション倶楽部 トレーダーズショップ/書籍、DVD販売 株式コーナー Pan発行書籍 セミナー 相場アプリケーション パンレポート 掲示板 相場リンク集
メールはこちらまで

ウィザードブックシリーズ Vol.40

パンローリング発行書籍indexへ  ウィザードブックシリーズ一覧へ


テクニカル投資の基礎講座
チャートの読み方から仕掛け・手仕舞いまで

『ウエンスタインのテクニカル分析入門』改題

2008年3月上旬発売
ISBN 978-4-7759-7103-1 C2033
定価本体2,800円+税
A5判 ソフトカバー 472頁
著 者 スタン・ウエンスタイン(Stan Weinstein)
監 修 長尾慎太郎
訳 者 中村正人

トレーダーズショップから送料無料でお届け 書籍に紹介されてるユニークな指標をチャートギャラリーエキスパート・プロに組み込むことができます。無料サンプル公開中


目次

監修者まえがき
謝辞

第1章 すべてはここから始まる!
 わたしの投資哲学
 なぜテクニカルアプローチなのか?
 同じ言葉で話そう
 レジスタンス=抵抗線
 クイズ
 解答
 チャート――すべての形をとって現れる
 マンスフィールド・チャートを読む

第2章 チャートを見ることは数千の業績見通しを見る以上の価値がある
 第1ステージ――底値圏
 第2ステージ――上昇局面
 第3ステージ――天井
 第4ステージ――下降局面
 4つのステージを再確認する
 次はあなたの番だ
 クイズ
 解答
 実際のケース

第3章 理想的な買い時
 どのようにして、いつ、何を買うべきか
 投資家の手法
 トレーダーの手法
 微細に観察する
 買いのストップオーダーを利用する
 リミット以下での買い
 意識しておくべき買いのパターンと売りのパターン
 買ってはならないもの
 何を買うべきか
  “森から木へ”アプローチ
 この戦略の実践方法
 セクターを選ぶ
 いかに利用するか
 クイズ
 解答

第4章 買いのプロセスを磨く
 レジスタンスが少ないほうがよい
 出来高の重要性
 すべては相対的である
 買いに関する簡易ガイダンス
 買いに関するさらなるヒント
 ダブル・ボトム・パターン
 大きいほどよい
 スタンの禁止令
 クイズ
 解答
 すべての卵をひとつのバスケットに入れるな

第5章 例外的に強い銘柄を発掘する
 トリプル・コンファメーション・パターン
 クイズ
 解答

第6章 売り時
 売りに関する禁止事項
 適切に売る――投資家の売り方
 売りのストップオーダー
 売りのストップオーダーの実際
 トレーダーの売り方
 トレンドラインの利用
 値動きを計測する
 損失の対処法を学ぶことで勝つ
 売りの哲学――不要に利益を縮小させない
 クイズ
 解答

第7章 空売り――歩む人が少ない利益への道
 空売りはなぜそれほどまで怖がられているのか?
 空売りで犯しやすい間違い
 空売りに関するその他の間違い
 空売りに関する禁止事項の概要
 正しい空売り
 空売りを仕掛けるタイミング
 利益確保のステップ
 注文を出す
 遅すぎることはない?
 特に利益を得やすいフォーメーション
 目標株価を推計する
 ショートポジションを買いのストップオーダーで防御する
 買いストップのトレーダー的活用法
 下降トレンドライン
 リスクを減らすもうひとつの手段
 クイズ
 解答

第8章 最良の長期指標を利用して強気相場と弱気相場を見分ける
 市場平均のステージ分析
 騰落ライン
 マーケットのモメンタムを測る
 単純だが有効な指標
 世界とつながっている
 GMのように……
 割安か割高か?
 大衆の逆を行く

第9章 オッズ、目的、利益
 ファンドを買う
 ファンドの短期トレーディング
 少しひねりを加えた同じゲーム
 オプション――刺激的だがリスキーなゲーム
 幾つかの実例
 先物について
第10章 まとめ
 最後の提案

どんなファンダメンタルズ指標よりもまずチャート見よ!
チャートは仕掛けも手仕舞いもすべてを教えてくれる!
上げ相場でも、下げ相場でも一貫して利益を上げるため方法を伝授!
きつい下げはチャンス到来!



著者紹介

スタン・ウエンスタイン(Stan Weinstein)
フロリダ州ハリウッド在住。プロフェッショナル・テープ・リーダーの編集長で発行人。ウォール・ストリート・ジャーナル、バロンズ、ニューヨーク・タイムズ、ビジネス・ウィーク、USAトゥデー、インベスターズ・デイリーなどの主要な金融新聞・雑誌に寄稿している。また、CNBCの「マネー・トーク」「マーケット・ラップ」、CNNの「マネーライン」「ナイトリー・ビジネス・レポート」などの番組のゲストとしてよくテレビ出演している。

原書タイトル

Stan Weinstein's Secrets For Profiting in Bull and Bear Markets


監修者紹介
長尾慎太郎(ながお・しんたろう)

東京大学工学部原子力工学科卒。米系銀行でのオルタナティブ投資業務、および金ス ワップ取引、CTA(商品投資顧問)での資金運用を経て、現在は株式ファンドマネジ ャーとしてオルタナティブ運用を行う。マーケットに関連した時系列データをもとに したシステム・トレードを専門とする。訳書に『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』『タートルズの秘密』『新マーケットの魔術師』『マーケットの魔術師【株式編】』(いずれもパンローリング刊、共訳)など、多数。

翻訳者紹介
中村正人(なかむら・まさと)

中央大学法学部政治学科卒業。東京都財務局主計部公債課主査(外債担当)、旧・新 日本証券(現・新光証券)国際金融部課長、ロンドン現地法人引受営業部長、ソシエ テジェネラル証券企業金融部長などを経て、証券金融専門の翻訳業を営む。訳書に 『カウンターゲーム』(共訳)、『ツバイク ウォール街を行く』(いずれもパンローリング刊)など。


本書への賛辞

全米のトップトレーダートニ・ターナー女史もオススメ!

スタン・ウエンスタインは、今日活躍してる最高のマーケット・テクニシャンのひとりである。完全無欠な人間などいないように、彼のマーケット分析もけっして100%正しいわけではない。にもかかわらず、わたしが彼を称賛する理由は、彼が学究的アプローチを試みつつ、同時に売買推奨では完全な明瞭性を保っていることだ。多くの同業者たちとは異なり――正しい場合でも間違った場合でも――彼は後知恵による言い訳などしない。つまり「単にあなたはわたしの言葉を理解していなかった」ということだ。
ルイス・ルーカイザー

博識かつ経験豊富――スタン・ウエンスタインは、無視できない実力を持っている。
ダン・ドーフマン(USAトゥデー紙)

スタン・ウエンスタインのプロフェッショナル・テープ・リーダーと、その指標群“ ウエート・オブ・ザ・エビデンス”は、わたしが1987年10月の暴落に先立って株式保有を大きく減らす決断に至った最大の要因である。
ポール・カンガス(金融コメンテーター)

スタン・ウエンスタインは、自身が有するテクニカル分析の英知を、すべての個人投資家がそれを理解して利益にできる形に変容させた。
マイロン・カンデル(ケーブル・ニュース・ネットワークのフィナンシャルエディタ―)

平易な文章で書かれているが、本書は、わたしが今まで読んだなかで最も精読する価値があると感じたテクニカル分析の秀作だ。投資関連書籍の基本書として、だれもが蔵書に加えるべき1冊である。
ピーター・ドュボワ(バロンズ誌)

スタン・ウエンスタインの冷静なアプローチは、金融市場が大きな困難に突入しそうな時期に、そこから利益を上げようとする投資家にとっては大変役立つものだ。スタンと彼が発行するプロフェッショナル・テープ・リーダーは、本当に素晴らしい。テクニカル分析について、ほかのいかなる投資顧問サービスよりも多くのことを、彼らから学んだ。
ビル・グリフィス(CNBC)



 監修者まえがき

 本書は長年にわたり投資家やトレーダー向けにアドバイザリー・サービスを行い、自らも売買を実践してきた投資家であるスタン・ウエンスタインが、自らの考え方や利用しているツールを明らかにした“Stan Weinstein's Secrets For Profiting in Bull and Bear Markets”の邦訳である。一読して分かるとおり、本書で紹介されている手法はファンダメンタルではなくテクニカルなアプローチを取っており、それを構成する要素はすべてオーソドックスなものである。また、対象としている売買の時間枠も比較的長く、その意味では、初心者、初級者の方が読んで無理なく取り組める内容と言えるだろう。
 ここで経験のある方からは当然のごとく次のような疑問が発せられるだろう。「もし、ウエンスタインの手法がごく基本的なものであり、ビギナーにも無理なく使えるものならば、いったいエッジ(優位性)はどこにあるのか?」と。その答えは、彼独特のストップ(仕切り注文)の置き方や潜在リスクと期待収益の比率のコントロールにある。まさに、これこそが投資、トレードにおいて一見他人と同じ道具を使っていながらも、ゲームを自分に有利に運ぶためのカギであり、本書の手法がテクニカルなアプローチを取っているなかで、個人の定性判断の技量が生かせる場所である。読者は、著者のアドバイスに基づいてこのポイントに工夫を加えることによって、損益の行方が劇的に変わってくることに驚かれることと思う。
 最後になったが、本書の翻訳にあたってくださった中村正人氏や関係各位に心から感謝の意を表したい。本書が読者の投資、トレード活動の役に立つことができれば、関係者一同それ以上の喜びはない。

2002年7月  

長尾慎太郎


第1章 すべてはここから始まる!

It All Starts Here!

 安きを買って高きを売れ! これこそが、一財産を築くための近道である。そうだ ろうか? いや、実はそうではない! この考え方は、毎年毎年損を重ねる大衆がよ く口にする損失の原因となる月並みな考え方のひとつである。
 本当はやるべきではない“やるべきこと”が、ウォール街にはまだまだある。例え ば、「経済の重要な動きと主要産業の動向に通じておくために、金融記事を読み、夜 のテレビでビジネスニュースを見る必要がある」とか、「三つ揃いのスーツに身を包 んだいわゆるウォール街の鬼才からのアドバイスを得る必要がある」といったことだ。
 しかし、これらは本当の答えではないし、人々に利益をもたらしてくれるものでも ない。多くの投資家がこのような考え方を経済的に豊かになるための秘訣として受け 入れているのは、不幸なことである。
 安く買って高く売れというのは月並みな考えにすぎず、けっして行動のための青写 真にはならない。また、熟達者の手法である「高値を買って、さらにそれよりも高値 を売る」というわたしが首尾一貫して皆さんにお教えするつもりでいるアプローチへ の理解を阻むものだ。

 金融と経済に関するニュースのすべてに通じているからといって、その人の行った 投資がすべて儲けとなるということはない。コンピューターと瞬時のコミュニケーシ ョンの世界においては、一般投資家がそれを新聞などで見聞きするよりかなり前に、 金融市場が最新のニュースに反応する。それに加え、マーケットでは、現在の利益よ りも将来の利益に基づいて売買される。成功するためには、マーケットの動きが与え てくれる多くの手掛かりを活用できるようになる必要があるのだ。本書では、そのよ うな手掛かりをいかに発見し、いかにして利益につなげるかということについて読者 に示すつもりである。

 最後に、ウォール街のプロ――ブローカーやアナリスト――のアドバイスに頼って も、結果はさほど変わらないであろう。彼らのアドバイスは、新聞の株式欄に向けて 投げられた1セットのダーツから得られるアドバイスよりも劣っているということを 示す、歴然たる証拠がある。彼らの大多数は、自分たち以外のブローカーやアナリス トとのおしゃべりに時間を費やしている。彼らは、フォーチュン500社の経営幹部がチ キンキエフと会社の最新業績に関する情報でもてなしてくれる昼食会に行く。こうし た催しにほんの数回参加すれば、もてなしに供されるチキンとこれらの情報が、実は 長いこと温め皿の上にあったということに気づくであろう。

 本当のマーケットのプロである証券取引所のスペシャリストは、このような誤った アプローチを信奉することはない。彼らは、決断の根拠を市場の動きに置き、ニュー スに置くことはない。そして、真のマーケットのプロは、他人が月並みな考えに従っ て損失を被る間に、大きく儲けているのである。平均的な投資家は、自分が株式市場 において不運であったと強調する。しかし、それはナンセンスである。株式市場にお ける勝敗には、運など関係ない。彼らは誤ったルールに従ってゲームをしているので あり、勝つためのルールを学ぶまでは、お粗末な結果を招き続けることであろう。彼 らにとって勝利の道にたどり着くために必要なものとは、マーケットの適切なタイミ ングを計り、マーケットに関する2つの敵――貪欲と恐怖心――を制御するという、 一貫した方法なのである。

 これが本書で言わんとすること、勝利への道のすべてだ。わたしは非常に多くの間 違いを犯したあと、マーケットが与えてくれる非常に明らかな手掛かりをどのように して判読するか、そして、所与の状況でどのように戦術的に反応するかということに ついて学んだ。わたしは皆さんに、マーケットをより緊張の少ないものにし、また、 より多くの利益をもたらすものにするための、株式市場に関する新しいルールを教え るつもりである。これらのルールでは、バランスシート(貸借対照表)を熟読する必 要はないし、企業スポークスマンの、自社が株主資本利益率の向上に向けていかに前 進しているかなどといった単調な話を聞く必要はない。これらのルールを守るために 必要なのは、ー分自身の貪欲と恐怖心を制御し、▲沺璽吋奪箸投げかけてくれる 明らかな手掛かりを見つけ出し、判読する――という2つである。

 これが本書においてわたしが教示しようとする事柄であり、それを学ぶことによっ て読者は、マーケットの勝者になることができる。最大のポイントは、ひとたび要領 を飲み込んでしまえば、この勝利のためのアプローチを実行するのに、毎週およそ1 時間を費やすだけでよいことだ。

 過去25年かけて、わたしは何が役に立ち、何が役に立たないかを学んだ。そして、 この知識と経験を、マーケットで継続的に勝者の側にとどまり続けるためのアプロー チへと磨き上げてきた。この方法により、プロフェッショナル・テープリーダーは、 すべての強気相場と弱気相場を過去15年間にわたって予測することが可能であった。 これらのテクニックは、株式、ミューチュアルファンド、オプション、株式指数先物、あるいは商品取引のいずれであっても、いかなるマーケットにも利用できる。これらマーケットのそれぞれに関しては以下のページで取り上げるが、主たる力点は株式市場に置かれることになる。

 ここから先に進む前に、本書は「手早く金持ちになる」ことを狙った本ではないと いうことを強調しておきたい。毎年、一獲千金をうたった多くの本がわたしの机の上 を通り過ぎる。そしてそのほとんどは、文字どおり、その内容が印刷されている紙代 にも値しない。それらの多くは非常に単純で、実際、ほとんど価値がない。あるい は、あまりに格式主義的かつ理論的すぎて、得られるものは頭痛のみである。さらに 悪いことに、できそうにないことを約束する本さえある。もしもあなたが、来週の火 曜日の午後4時までに1万ドルを100万ドルにしてくれるような本を望んでいるのな ら、今すぐ本書を読むことをやめるべきである。しかし、あなたが真剣で、また、常 に継続的に――すなわち強気相場においても弱気相場においても――利益を上げる方 法を学びたいと望み、少なからぬ金額を今後数年間で築きたいと考えているならば、 この本はあなたのための一冊だ!

 それ以外のことについても理解してほしい。われわれはチームだ。あなたが、わた しの方法を習得することに注力すればするほど、より多くのチップをテーブルからか き集めることができる。プロからテニスのレッスンを受けることと何ら違いはない。 1時間のレッスンは、単なる学習体験のスタートにすぎない。次の、そして同様に重 要なステップは、学んだことを練習することだ。わたしとしては、学習を非常に簡単 なものにするつもりである。わたしは、プロフェッショナル・テープリーダーを数年 間にわたり書いてきたことや、全国でセミナーを行うことによって、それを実際に成 し遂げてきた。したがって、たとえ読者がこれまでまったくチャートを見たことがな い、あるいは何らかの指標の計算をしたことがなくても、心配する必要はない。自分 のすべきことを適正に行っていれば、わたしの方法を理解し、どのように利用するか をすぐに学び取ることができるだろう。

 非常に難解なために、著者以外には数少ない学究タイプの人たちのみが理解できる ようなテクニカル分析に関する本とは違い、本書は、利益を上げるうえでの重要性において、わたしが最も高く評価している要素だけを扱い、重要度の低いものには触れていない。それに加え、本書の主題は論理的に章を追って展開され、読者のお金儲け に関する能力をゆっくりと高めていく。さらに、読者がわたしの方法をいかに速く把握しているかを判断できるように、幾つかの章においては最後に短いクイズを出題する。もし、ある章に関して100%理解できていないと感じたときは、次の章に移る前に、手早く読み返して内容をマスターしてほしい。


わたしの投資哲学

 次章以下では、わたしがどのようにマーケットを分析して打ち負かすかということ について説明する。これは確かに容易なものではないが、多くの投資家とトレーダー が感じるほどに難しいものでもない。
 レッスン1は、「一貫性」ということである。25年以上にわたり、わたしは自分の アプローチと規律に関して一貫性を保ってきた。これは非常に重要である。ある週に おいてはファンダメンタリスト、そして次の週にはテクニシャン――などということ があってはならない(これらの用語をあまりよく知らなければ、以下だけを理解して ほしい。ファンダメンタリストとは、経済や特定産業のパフォーマンスおよび特定企 業の業績のトレンドをベースに、売買決定を行う。一方テクニシャンは、需要と供給 の方程式を解読するうえで役立つ価格・出来高の関係に着目し、マーケットの動きそ のものに目を向ける)。また、ある月はAという指標に従い、翌月はBという指標に 切り替えるということをしてはならない。良い方法を発見したら、規律を守り、それ を貫くのだ。もしもある方法によって常にマーケットを打ち負かすことができないな らば、新しい方法を手に入れるべきである。しかし、絶対的に規律を守るべきだ。今 回は状況が違うと考えて、成功する方法を中途で放棄することはけっしてすべきでは ない。
 レッスン2としては、ほとんどの投資家がけっして理解しないことを学ぶ。つま り、新聞で今日のファンダメンタルズを読み、その情報に基づいて行動をするので は、マーケットにおいて継続的にお金を儲けることはできないということを学習す る。こうしたやり方は、災難に至る処方箋であり、ほとんどの未熟な投資家が飲むち ょっとした毒である。マーケットは織り込むメカニズムを持っているということ、ま た、株式は現在のファンダメンタルズではなく、将来のファンダメンタルズに基づい て売買されるということを学ばなければならない。よってわたしは、現在知られてい る材料と将来の期待のすべてについてのマーケットの解釈を判読するテクニカルアプ ローチを用いる。奇抜な名称に驚いてはいけない。実際、テクニカル分析というのは 要するに、価格と出来高との関連性を研究することで将来のトレンドに対する洞察を 得ることである。
 本書では、マーケットを読者にとってより予測しやすく、より利益を上げやすくし、また楽しめるものとする新しいルール集と新しいマーケット用語を読者に教示する。不幸なことに、多くのトレーダーと投資家は、テクニカル分析は黒魔術あるいは占星術のようなものであるとみなしている(そして一部テクニシャンの技法には、確かにそれらと大差ないものもある)。テクニカル分析は、科学というよりは一種のアートである。そして、絵筆を執る人がすべてピカソになれるわけではないように、チャートブックを開く人がすべてジョン・マギーになれるわけではない(ジョン・マギーは1948年に『テクニカル・アナリシス・オブ・ストック・トレンド(Technical Analysis of Stock Trends)』を著した、テクニカル分析の父の異名を持つ人物だ)。わたしは皆さんに、このテクニカル分析というアプローチを教えるつもりだ。 それは皆さんにとって、新しいルール集となるであろう。だが、マーケットに対するこのアプローチは、適切に用いた場合、勝利をこれまで以上に容易なものとしてくれるであろう。あなたは完璧な人間だろうか? もちろん違う! NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のどんなクオーターバックも、すべてのパスを完璧にやってのけることはできない。
 常に正しくあるという必要はない。わたしの方法に首尾一貫して従うことにより、あなたは非常に高い割合で正しいということになろう。ほとんどのプロが知っているひとつの秘密がある。50%以下の割合でしか正しい判断を下せないとしても、儲けるときは大きく儲け、損失を素早く切ることにより、マーケットで一財産を蓄えられるということだ。あとの章で、負け相場にどのように正しく対処すべきかを教えるが、それこそが読者がこれまでけっして学ぶことのできなかった、最も利益を大きくする秘密のひとつなのである。



なぜテクニカルアプローチなのか?

 それでは、具体的に検討していこう。まずは、マーケットに関する先入観をすべて 脇に置いて、新たにスタートを切る準備を整えてほしい。最初に自己流のやり方を変 えることを迫る減量プログラムに着手するときと同じで、出発点はこれまでの考えを 脇に置いて、段階的にゆっくりと築いていくことである。たとえあなたが筋金入りの ファンダメンタルズ中毒症であっても、心配する必要はない。禁断症状にかかること はないだろうし、ましてや幻覚を体験することなどはないだろう! この新しいアプ ローチを習得すれば、ファンダメンタル分析とテクニカル分析という2つのアプロー チを統合し、ファンダメンタルズに基づいた売買について、さらに優れたタイミング を計ることができるようになるだろう(ファンダメンタルズ志向の機関投資家マネー マネジャーの多くがプロフェッショナル・テープリーダーの購読者であるが、彼らは テクニカルアプローチが彼らの売買タイミングを改善したことを認めている)。
 一方で、もしあなたがこのテクニカル手法に本当に熟達すれば、わたしと同様のこ とをやり、テープの発するメッセージに強い注意を払いつつも、新聞の見出しを無視 することができるようになる公算が大きい。プロフェッショナル・テープリーダーの 各号の冒頭に掲載されているモットーが「テープはすべてを語る」であることは、単 なる偶然ではない。それは、気の利いたスローガン以上のものであり、実際に役立つ マーケット哲学なのである。この言葉が単純に意味していることは、現在人々に知ら れ、関心が集まっているある企業の業績、新製品、経営陣など――つまりファンダメ ンタルズ――に関する情報のすべては、すでにその株価に織り込まれているというこ とである。それは、現在仕掛けられている公開買い付けのようなファンダメンタルズ に関する重要な材料について、わたしには関心がないということではない。そうでは なく、「一般の投資家はおいしい材料がティッカーテープに織り込まれる前にその材 料を入手することはできず、手に入れたときにはすでに手遅れである」ということを、わたしはずいぶん前に学んだのだ。確かに、事前にうわさになることはあっても、耳にする100のうわさのうち、本当に正しいのは1つか2つでしかない。マーケットで勝率を上げるためには役立たないのだ。したがって、インサイダー取引という法律違反をあえて犯すつもりがなければ、そのような重要な材料を事前に入手することはできない。そして、その材料を新聞で知ったあとでは、それに基づいて行動を起こしても利益を得るには遅すぎるのだ。注目すべきことは、テープ上やチャート上の変化を適切に読み取ることができるようになると、そうとは知らずにしばしばインサイダーと同じタイミングで売買をすることになるということである。
 XYZ株は、過去数カ月間にわたり平均週間出来高が2万〜3万株で、8から10のトレーディングレンジで平凡な値動きを続けていたとしよう。そして突然、大きな出来高(例えば、その週だけで25万〜30万株)を伴ってその上値、つまりわれわれテクニシャンがいうところのレジスタンス(抵抗線)を上にブレイクアウトしたとしても、この銘柄に何かが起こっていることを知るために、シャーロック・ホームズになる必要はないのだ(本書を読むうえで知らなければならないテクニカルに関する用語については、まもなく解説する)。

 さて、ピードモント・アビエーションとスペクトラダインのチャート(図1.1、1.2)を見てほしい。これから本書を読み進むにつれて会得することになる訓練された目をまだ持っていない人が見ても、1987年初めにピードモントによる発表が、また 1987年半ばにスペクトラダインによる発表が行われる数カ月前に、幾つかの非常に異 常かつ興味をそそる動きが始まっていたことが見て取れるだろう。わたしはインサイ ダー情報に通じていたわけではないが、公開買い付けの材料が出て大きな値上がりが 起こる前に、テープが発するメッセージをよく聴き、両銘柄をプロフェッショナル・ テープリーダーにおいて推奨した(図1.1と図1.2の矢印の先に注目)。明らかに、か なりのインサイダーによる買いが生じていた。本書を読み終えたら、もう一度この ページに戻ってほしい。そうすると、これらの銘柄がだんだんと上昇しているなかで毎日多くの投資家が売却したが、あなたはそれら投資家と同じようにこれら銘柄の売却について考慮することはけっしてなかったであろうということをより明確に理解できるだろう。さらには、ブローカーに買い注文の電話をかけるべきであった理由を知 ることができるだろう。

 テープのメッセージをよく聴くことのメリットを理解するために、必ずしも公開買 い付けなどのようにセンセーショナルなファンダメンタル材料がある必要はない。図 1.3と図1.4のハラスとTSインダストリーズを見てほしい。あとから見ると、ハラスは 1978年の大きな買い銘柄であったし、TSインダストリーズは1986年においてはそれ以 上の買い銘柄であった。しかしここに、テクニカルアプローチをさらに受け入れやす くさせる2つの興味深い事実がある。まず、両銘柄はプロフェッショナル・テープ リーダーにおいて買い推奨された(矢印参照)こと。次に、両銘柄とも、買い推奨し たときにファンダメンタルズはあまり感心させるものではなかったのに、株価は高く 上昇していたことだ。ハラスの12カ月間の確定1株当たり利益は2.41ドルから2.38ド ルに低下したところであった。その後、続く6カ月間において株価は2倍以上に上昇 したが、1株当たり利益はさらに2.16ドルに低下した。

 TSインダストリーズの値動きは、ファンダメンタルズがさらに悪いにもかかわら ず、より見事なものであった。同銘柄を1986年に買い推奨したとき、直近の12カ月間 の確定1株当たり利益は37セントで、まあまあであるが、さほど感心するほどのもの ではなかった。15カ月後に株価が200%上昇したとき、1株当たり利益はさらに悪化 し、9セントであった。クレージーな話? けっしてそうではない! 現実から乖離 した教科書がどれほど役立たないかということについて学ぶより、マーケットが実際 にいかに動いているかをいったん学んでしまえば、こうした動きは日常的に起こって いるということが分かるだろう。そして、わたしのテクニックを習得するにつれて、 困惑するのではなく、そのような不均衡から利益を生み出せるようになるだろう。

 われわれの目でマーケット全体を検討すると、同様のパターンがより大きなスケー ルで、極めて明確に姿を現しているのを見ることができる。1974年の終わり、ダウ平 均は、1050ポイントから570ポイントまで暴落した。悲観的観測一色となり、新聞の見 出しはぞっとさせるものであった(図1.5)。ある有名経済紙は「世界大恐慌」という タイトルのトップニュースを掲載しており、これはグッドニュースであった! つい には、ベア(熊)がウォール街の柱を倒している絵を有力誌が大きく掲載した。ダウ はさらに暴落し、おそらく250〜300ポイントまで下がるのではないかという恐怖が広 がった。これらすべての悲観主義と恐怖の真っただ中、われわれのテクニカル指標は 「買い」を声高に叫んでいた。そして新たな強気相場が生まれ、まもなくダウは1000 ポイント以上まで戻した。

 さて、考え方を理解してもらえただろうか? 抜け目のないマーケットのプロが悪 い材料で買い、良い材料で売るには、理由があるのだ。株式は、直近の材料が悪いと きに底を形成し、素晴らしい業績報告書や株式分割、その他に大衆が歓喜していると きに天井をつける。よって、典型的な投資家とトレーダーが、素晴らしい材料が出た ときに天井付近で買い、その後メディアが悪い材料を流したときに底値近辺で大きな 損失を出して投げ売ることになるのは、驚くべきことではない。大衆が継続的に損失 を出し、真のプロが継続的に利益を出すのは、幸運や不運が理由ではない。それは、 これら2つのグループが基準にするルールが異なっているからである。ポーカーの素 人は直感や感情のおもむくままにプレーして負けを重ねる一方で、プロのプレーヤー はオッズを理解し、インサイドストレートになるまで場札を引こうとしない。マーケ ットのプロとアマにも、同様のことが言える。

 ゆえに、われわれの原理は単純だ。

 1.チャートを検討しないで売買をしてはいけない。
 2.良い材料がでたときにけっしてその銘柄を買ってはならない。特に、その材料 の発表前にチャートが大きな上昇を示している場合。
 3.大きく下げたあとで安く見えるからといって、けっしてその銘柄を買ってはな らない。さらに売り込まれれば、安値がさらに安くなることに気づくことになろう!
 4.チャート上で下降トレンドにある銘柄をけっして買ってはならない(下降トレ ンドをどのように見極めるかについては、のちほど解説する)。
 5.いかにPER(株価収益率)が低くても、下降トレンドにある銘柄をけっして持ち 続けるべきではない。数週間後、そして数ポイント下げたとき、なぜその銘柄が下降 していたかを理解するだろう。
 6.常に首尾一貫すること。実質的にまったく同一の状況下において、時には買い、時には売っているならば、あなたの規律には何かとんでもない問題があるということだ。

 チャート・リーディングとテクニカル分析は難解な秘学などではないということを 理解してほしい。黒魔術や占星術ではないのである。非常に単純化すれば、それは、 マーケットの健康を測る心電図を読む方法を学ぶことだ。医者は、診断をする前にレ ントゲン、血液検査、そして心電図による検査を行う。有能なテクニカル・アナリス トは、マーケットに対して同じことをする。この世には魔法使いなど存在しない。も っとも、わたしの知っている数人の医師については例外としたい者もいるが……。そ れでは、さらに前進しよう。読者を株式市場のインターンに変えてみせよう。



同じ言葉で話そう

 読者をお金儲けのできる将来へ道案内する前に、知っておかなければならない幾つ かの基本的な用語がある。図1.6はそれらの用語が何を意味するかを理解するうえで役 立ててほしい。もしあなたがテクニカル分析に関心がなかったとしても、おそらくこ れらの用語をすでに見たり聞いたりしたことがあるかもしれないが、その正確な意味 については不確かであるかもしれない。すでに熟練したテクニシャンのあなたも、そ れぞれの用語をわたしがどのように定義するかを確認してほしい。そうすることによ って、われわれはすべて同じ考え方のうえに立てるからだ。これらの用語はわたしの テクニカル手法の基本的構成要素であり、本書全体において何度も繰り返して使われ るため、このことは非常に重要である。したがって、各定義に関して1、2分間の時 間をかけて慎重に考え、それぞれの用語の意味をはっきりと理解するようにしてほし い。ここ第1章のポイントをきっちり押さえておけば、本書は理解しやすくなり、読 者にとって有益なものとなろう。もし少しでも意味のおぼつかない用語が出てきたら、あとでこの部分を再読してほしい。

 以下の専門用語はアルファベット順で紹介していない。それは、一定の定義を理解してからのほうが容易に理解できる用語も幾つかあるからだ。用語の定義に入る前に、まずは、XYZ株のチャート(図1.6)をじっくり見てほしい。このチャートをよく観察し、自分が理解できるものすべてをつかみ取るようにしてほしい。次に、用語の定義をひとつ読み、それについてよく考え、定義と関連させてその言葉についてだけ、チャート上で学んでほしい。あまり無理をせず、一度にすべての意味を記憶しようとすべきではない。そんなことは本当に必要ない。読者の多くにとって、学ぼうとしている言葉は耳慣れない言葉であろうが、時間をかけてマスターすることによって、だんだんと理解できるようになる。数章先に進んだころには、自分がベテランのテクニシャンであるとさえ感じるであろう。では始めよう。



サポート=支持線

 下降している株が安定したあと、反発してその上に上昇する可能性がある領域。床 のようなもの。しかし、あまりにも多くのテクニシャンが考えるように、サポートが ある一定のポイント(線)であると狂信してはいけない。実際にはそれは、一定の領 域つまりゾーン(帯)なのだ。図1.6においては、サポートは最初、26ドルから261/2ドルのゾーンにある。最初の安値は26ドルで、次は26 1/2ドル。3番目の下げは26 1/4ドルで止まり、次の下げは26ドルで止まった。

 サポートゾーンの絶対的な安値を下にブレイクすることは、株価にとって非常に否定的な意味があることに注意してほしい。所与のサポート水準が試される回数が多ければ多いほど、そしてその時間が長ければ長いほど、そのゾーンが最終的に破られたとき、発せられる否定的なシグナルがより重要なものとなる。また、ひとたび大きな下降あるいは上昇が進行した場合、その途中で新たなサポート水準が形成されるということに注意してほしい。XYZ社の場合、新たなサポートは8ドルから8 1/2ドルの領域に形成されている(図1.6参照)。

レジスタンス=抵抗線

(サプライとも言う。2つの用語は交換可能)
 上昇中の株が(少なくとも一時的に)トラブルに遭遇し、そこから下に押し戻され る可能性があるゾーン。レジスタンスゾーンが試される回数が多ければ多いほど、ま た、その時間が長ければ長いほど、最終的にそのゾーンが破られたときの強気のシグ ナルは重要になる。われわれのチャートの例では、最初のレジスタンスは30ドルの近 辺にある。大きく下降したあとの次の有効なレジスタンスゾーンは、11 1/2ドルから 12ドルになる。XYZ株は、そのレンジの高値を上方へとブレイクする前に、最初の上昇 は12ドル、次は11 1/2ドル、そしてその次は11 3/4ドルとブレイクを試みて失敗して いる。レジスタンス・レンジの高値を上抜く値動きは、その株が非常に強気なことを 示唆していることを常に心にとめておいてほしい。ここでもまた、大きな動きが生じ ると、新たなレジスタンス(サプライ)が上昇途中で生じることを理解しておく必要 がある。XYZの場合、最初のレジスタンスは29 1/2ドルから30ドルのゾーンにあり、のちに11 1/2ドルから12ドルのゾーンに移っている。

トレーディングレンジ

 買い方と売り方との勢力が拮抗している中立的ゾーン。株価の上昇トレンドにおい ては当然、売り方より買い方の勢力が強く、その結果として株価が上昇する。対して 下降トレンドはコインの裏側であり、売り方は買い方よりはるかに強力である。しか し、トレーディングレンジにおいては、買い方と売り方の力が拮抗し、その戦いはサ ポートゾーン(この場合、8ドルから8 1/2ドル)とレジスタンスゾーン(チャート上 では、11 1/2ドルから12ドル)との間での綱引きとなる。チャート上にはトレーディ ングレンジがもうひとつあることにも注目してほしい(26ドルから30ドルのゾーン)。

移動平均線

 短気的および長期的な値動きの双方について警戒するうえで役に立つ、非常に重要なテクニカル・ツール。移動平均線が持つ意味合いとは、主たるマーケットのトレンドを平滑化することである。そうすることで、新たなプログラム・トレーディングによってさらに激化される日々の価格変動がマーケットの大局観を見失わせることを防いでくれる。ここ数年間かけてわたしは、長期投資家にとっては30週移動平均線が、トレーダーが利用するには10週移動平均線が最適であるということを発見した。30週移動平均では、今週の金曜日の終値に、過去29週の金曜日の週間終値を加える。その数字を30で割った値を今週のチャートに記入する(言うまでもなく10週移動平均は、今週の金曜の終値をその前の9週の週間終値に加え、10で割ったもの)。30週移動平均線の下で推移している銘柄は、絶対に買いの対象としてはならない。その移動平均線が下降しているときは、特にそうである。また、30週移動平均線より上で売買されている銘柄を空売りの対象としてはならない。移動平均線が上昇しているときは、特にそうである。長期投資家にとっての理想的な株式の購入タイミングは、その銘柄がレジスタンスを上方にブレイクし、かつ30週移動平均線を超えて上昇している、もはや下降しないであろうと考えられる時だ。激しい値動きを好むトレーダーにとっては、株式を購入すべき理想的なタイミングは、10週移動平均線が上昇しつつあり、株価がすでに移動平均線より上にあるときである。トレーダーにとっての理想的な仕掛けのポイントは、新しいトレーディングレンジで株価が揉み合い、移動平均線近くまで押した(プルバック)あと、再びレジスタンスを上方にブレイクしたときである。

ブレイクアウト

 株価がレジスタンスゾーンの高値(XYZチャート上では12ドル)を超えて上昇するとき。この例におけるブレイクアウトは、レジスタンスゾーンの高値が破られた12 1/8ドルで発生する。卵に等級があるのと同様に、ブレイクアウトにも質の違いがある。 常に記憶しておくべき2つのヒントとは、ヽ価がレジスタンスの下にあった時間が長ければ長いほど、最終的にブレイクアウトが生じたときの重要性は大きい、▲屮譽ぅアウトに際して出来高の増加が大きければ大きいほど、より強気を示唆することになる――というものである(心配は不要だ。次章以下でさらに詳細に説明する。差し当たってはこれら2つのルールを覚えておくことによって、利益を大きく増やすことができるだろう)。

ブレイクダウン

 ブレイクアウトの反対。つまり、株価がサポートゾーンの安値(XYZチャートでは26ドル)よりも下に動いたとき。この例の場合、ブレイクダウンはサポートゾーンの安値が突き破られた25 7/8ドルで生じる。ブレイクアウトと異なり、ブレイクダウンはそれが有効となるために出来高が非常に大きくなる必要はない。株価はそれ自体の重さで文字どおり下落するが、ある程度の出来高の増加も伴うだろう。

プルバック(押し/戻り)

 株価がそのトレーディングレンジをブレイクアウトして上昇したあと、通常は利食 いによる価格修正が少なくとも1回は生じて、株価は元のブレイクアウト・ポイント (チャート上では12 1/8ドル)近くまで下落する。このプルバックは、買い増しをす るための第2の理想的なチャンス(特に、非常に少ない出来高で生じたとき)とな る。一方で、株価がサポート以下にブレイクダウンして下降したあとに、ブレイクダ ウン時の水準(チャートでは25 7/8ドル)まで戻ろうとするプルバックが、通常少な くとも1回は生じる。もしもこれが非常に少ない出来高で生じたなら、それが空売り を仕掛ける理想的なポイントになる。

トレンドライン

 あるチャート上の2つの安値を直線で結ぶと、トレンドラインを引いたことにな る。しかし、(単なる)トレンドラインと“重要な”トレンドラインとには大きな違 いがある! 重要なトレンドラインは、3つ以上の接点がある。図1.7(スカイライン 社)に描かれているのは重要なトレンドラインだ。このチャート上でトレンドライン は、5回目の挑戦によってブレイクされるまでに、4回試されている。このようなト レンドラインは、もしブレイクされた場合には警告を発するであろうラインだ。なぜ なら、ブレイクはトレンドの方向が大きく変わったことを示すシグナルとなるからで ある。上昇トレンドラインよりも下方にブレイクすることは弱気、下降トレンドライ ンより上方にブレイクすることは強気を意味する(スカイラインの株価は上昇トレン ドラインを下方にブレイクした直後、文字どおり崩落したことに注目されたい)。ま た、あるトレンドラインの傾斜が急であればあるほど、それが下方にブレイクされた ときの意味は小さいということも、知っておくべき重要ポイントである。上昇トレン ドラインの角度が非常に急なケース(図1.8)における下方へのブレイクダウンは、そ れまでの上昇ペースが単に持続できなくなったため、株価(あるいは市場平均)が今 やそれまでよりもゆっくりしたペースで上昇しているにすぎないかもしれないという ことだ。トレンドラインが水平に近いもの(図1.9)であればあるだけ、それが下方に ブレイクしたときの否定的意味合いは強くなる。逆に、下降トレンドラインの下降の 傾斜が急であればあるほど(図1.10)、それがブレイクされたときの強気の意味合い は小さくなる。要するに――その株価が長期的な移動平均線よりも下にある場合は特 に――その株価は、今やそれまでよりゆっくりしたペースで下降しているにすぎない かもしれないということだ。

 しかし、トレンドラインが水平に近ければ近いほど、それが上方にブレイクされた とき(図1.11)には、その意味合いはそれだけより強気となる。最も強気のシグナル は、非常に重要なトレンドラインが上方にブレイクされ、その後数日間のうちに株価 が長期的な移動平均線を上に突き抜けたときに発せられる。逆に、最も弱気のシグナ ルは、重要なトレンドラインが下方にブレイクされ、その後の数日間のうちに長期的 な移動平均線も下方にブレイクされるときに発せられる。

上昇トレンド

 ある銘柄(あるいは市場平均)に関して、最低数週間から最大数年間持続する、よ り高い高値とより高い安値が連続するトレンド(図1.6参照)。

下降トレンド

 ある銘柄(あるいは市場平均)に関して、数週間から数年間続く、より低い高値と より低い安値が連続するトレンド(図1.6参照)。

 トレーダー、投資家、短期、長期などの用語は、かなり主観的である。読者の皆さ んにとって、わたしがこれらの言葉を使うときにどのような意味で用いているのかを 知っておくのは重要だ。ある人にとって投資を意味することが、ほかの人にとっては トレーディングかもしれないからだ。

トレーダー

 本書においてトレーダーというとき、午前中に買ったものを午後には売る人につい て語っているのではない。わたしのトレーダーについての定義は、それぞれ重要な2 〜4カ月の動きをとらえようとしている人を指す。これはわたしが賢明なトレーディ ングと考えているものである。月曜日に買って火曜日に売却するのは、ブローカーを 金持ちにしたいと考えているのであれば別だが、けっして賢いやり方ではない。

投資家

 わたしが考える投資の時間枠は12カ月までである。これは、それ以上を超えて株式 を保有することはできないという意味ではないが、わたしは、マーケット(あるいは 株式)を3年、4年、あるいは5年という期間で議論することは適切でないと感じて いる。そのような長い時間枠においては、実際に影響を及ぼす要因やサイクルがあま りにも多すぎる。

短期

 わたしの定義では、短期的な動きは1週間から約6週間続くサイクル。

中期

 6週間からおよそ4カ月間までのサイクル。

長期

 わたしの定義では4カ月から12カ月を意味する。主たるトレンドは長期トレンドで あり、常に意識しておくべき最も重要なパターンである。長期的トレンドとうまくか み合っていれば、短期的なタイミングを間違えた場合でも問題はない。

レラティブ・ストレングス(相対株価)

 ある銘柄(あるいは銘柄群)がマーケット全体との関連でどのように動くかという こと。例えば、マーケットが20%上昇しているときに、XYZという銘柄が10%上昇した とする。株価は上昇したが、そのレラティブ・ストレングスは貧弱であると言わざる を得ない。その反対に、市場平均が20%下落したとき、XYZは10%下落した場合、株価 は下げたが、そのレラティブ・ストレングスは良好であったと言える。レラティブ・ ストレングスの値を計算するには、株価(あるいは銘柄群の平均値)を市場平均価格 で割る。

空売り

 これは最も誤解されており、また利用法が間違えられている技法である。プロは空 売りをするが、個人投資家の9割は未経験者だ。空売りとは、将来株価が下がること を期待して、現在保有していない株の売り注文を出すことである。XYZ株を20ドルで空 売りした場合、買い手に引き渡すためにブローカーからその株を借りることになる。 もし期待どおりにXYZ株が10ドルに下落すれば、XYZ株をマーケットから買い、ブロー カーに返却する。その過程で、1株につき10ドルの利益を上げる。このように、弱気 相場においてもお金を儲けることはできるのである。
 のちほど、ひとつの章全部を空売りの説明に充てるつもりである!
 さて、用語の定義をひと通り読み終えて少なくとも基礎的な知識を身につけたとこ ろで、図1.6に戻り、もう一度学習してほしい。今やそのチャートは、あなたにとって 意味が前より理解できるものになっているはずである。あとの章に読み進んだときに ある用語の意味を忘れてしまった場合、あるいは100%確実でない場合には、本章の用 語の定義を再読してほしい。

 次に移るべき興味深い概念は、チャートそれ自体である。しかしその前に、基本的 な構成要素となる用語についていかによく理解したかをテストするためのクイズがあ る。解答はクイズのあとにある。



第10章 まとめ  Putting It All Together

 これまで9つの章を歩んできた過程で、読者は「千里の道も一歩から」という中国 の有名なことわざが真理であることを認識したはずだ。第2章でわたしが最初に典型 的なステージチャート(図10.1)を示したとき、おそらくあなたにはロールシャッハ・テストか何かのように思えたであろう。だが、しっかりと学ぶべきことを学んだとすれば、徐々に全貌が見え始め、今や読者にとってテクニカル分析は非常に身近な ものになっているはずだ。さらに、本書の冒頭でわたしが述べた言葉(例えば「高値 を買って、さらにそれよりも高値を売る」)を異端と感じたかもしれないが、今では もっと異なった読み方ができるだろう。

 どのように素晴らしい話があったとしても、第4ステージにある銘柄を二度と再び 買うことのないよう、自分自身に誓ってほしい。また、どのようなうわさ話が聞こえ ようとも、下降過程の第4ステージにある銘柄は絶対に持ち続けないと固く誓うべき である。また、好業績を伝える収益報告書が出たとしても、決心を変えることのない ようにすべきだ。売買の判断は、けっしてプレスリリースではなく、チャートパター ンに基づいてタイミングを決めること。そうすれば、シアーズが、業績が下向いてい た1985年に上昇し、業績が回復した1987年に暴落をしたのを見ても、もはや驚かなく なるだろう(図10.2)。

 読者には今や、ゲームプランがある。その重要性を過小評価してはならない。わた しの戦術に規律ある方法で従うなら、多くの投資家やトレーダーが陥るような不利な 状況には、けっして陥らないであろう。連続的なダマシが発生することもしばしばあ るだろうが、あるポジションが反転することでマーケット資金を失ってしまうかもし れないなどと思い悩む必要は、今後は生じないだろう。

 銘柄やマーケット・セクターを分散化し、そして同時に売りのプロテクティブ・ス トップを適切に設定すれば、うまくいっていないポジションはあなたにとって、経済 的危機というよりは悩みの種程度にすぎないものとなるに違いない。もっと重要なの は、勝利銘柄は単なるシングルヒットではなくホームランとなり、最終的な結果にお いて非常に満足できるものになることだ。

 最後に、ほとんどのマーケットプレーヤーが抱える上昇局面での混乱は、あなたに とっては無縁のものだ。彼らは、最終的には判断が正しかったときでさえ、不安感に 襲われ、通常あまりにも早く売却し、上昇による利益の大きな部分をつかみ損ねてし まう。さらに彼らは、もしポジションを持ち続けた場合、その値動きに長く乗りすぎ るために株価が第4ステージへ突入することによって、すべての利益を失ってしまう というパターンにしばしば陥る。このようなことは、断じて避けなければならない。 今後は、投資家であれ、トレーダーであれ、自らのシステムに一貫して従うことを誓 うべきである。例外を作ってはならない! 今回は特別だなどとけっして考えてはな らない。常に以下のステップに従ってほしい。

  1. マーケット指標をチェックして全体的な方向を把握する。
  2. 狙いを絞るために、マーケット・セクターを詳細に検討する。
  3. 最も好ましいセクターに属し、最も利益を上げやすいチャートの形状をした、数少ない銘柄を選び出す。

これらのステップを経たあとに従うべきルールは以下のとおりだ。

 これらの重要なプラス要因がすべて、読者のマーケットにおける成績を劇的に向上させるはずである。




最後の提案

 マーケットついて書かれた本の多くは、実際にマーケットに資金を投じてリスクに さらす前に、まずはつもり売買をすることを勧めている。わたしはその考えに反対 だ! 予行演習では信じられないほど素晴らしい成績を上げながら、本番ではしくじ るスポーツ選手は多い。マーケットでもそれは同じである。プレッシャーのない状況 下では、適切な章を見つけてそのとおりにやるのはとても簡単だ。だが、マーケット の不安定さから生じる実世界のストレスに対処しつつ、自らのマーケットプランに従 うというのは、まったく別の話だ! したがって、つもり売買をする代わりに、テク ニカルの技量を磨き、自信と習熟度が高度な水準に達するまでは、資金の一部だけで 売買するべきだ。

 わたしがマーケットに参加し始めたときに使った戦術とは、日誌をつけることであ った。皆さんにもそれを強く勧めたい。この日誌には、損をした取引だけをつける。 勝った取引については、そのままにしておいて構わない。札入れとエゴが膨らむのは 心地よいことであるが、勝った取引は何も教えてはくれないからだ。負けた取引は、 もしそれを正しく分析するなら、最良の教師となり得る。究極のところ、負け取引は 実際、はるかに多くの勝ち取引へと導いてくれるのである。負けたポジションを買っ た日付、買った理由を記録して、そして、なぜ結果が思ったとおりにならなかったの かを正直に書くのだ。もしその理由が単なるウィップソウであったのなら、そう記入 する。しかし、あとに検討した結果、出来高が不十分であった、あるいはレラティ ブ・ストレングスをが弱かった、あるいは属するセクターが弱かった、あるいはうわ さに左右されたなどという理由を認識したときは、その過ちを書いておく。数カ月後 に、自分の損失に共通する点をしてみよう。人間だれしも心理的なパターンを持って いる。自分に特有の破壊的なパターンが分かれば、自分自身を抑えてそれに対処する ことは容易になり、投資によってさらに利益を上げられるようになるだろう。

 ほかにも強調しておきたいことがある。莫大な資金を持った機関投資家を絶対に畏 怖してはいけないということだ。あまりにも多くの投資家が、今日のマーケットにお いて「金融界の巨人」には太刀打ちできないと感じている。これはナンセンスだ! 実際、個人投資家は、大規模な機関投資家に対して優位性がある。ほとんどの投資家 がそれを自覚していないだけだ。機関投資家は恐竜のようなものだ。図体が大きく、 動作は鈍い。しかし、個人投資家は小回りがきき、非常に素早く行動することができ る。それに加え、ほとんどの有能なマネーマネジャーは、実際には、長期的に見ると 大した実績を残していない。だから、他力本願でだれかに自分の資金を運用させるよ りは(あるいは誤った運用をさせるよりは)、自分の投資に自分で責任を持つべきで ある。

 最後に避けて通るべきもうひとつの誤信は、マーケットで成功するためには巨額の 資金が必要だという考え方である。多額の資金を持っているほうが資金の分散は容易 ではあるが、数千ドルの少額資金であっても、ほとんどの人が見失ってしまっている 「常識」を働かせることができれば、マーケットにおいて非常にうまくやることが可 能である。元手資金が少額である場合には、ノーロードのミューチュアルファンドを 利用しよう。分散投資が可能なうえに、手数料が無料だ。マーケットに投入できる資 金が増加するにしたがって、個別銘柄へと投資を拡大すればよい。

 本書を締めくくるに当たり、再度、コントラリー・オピニオンを述べたい。これで 終わりと考えずに、新たな始まりだと考えるべきだ。何年も昔、わたしがテクニカル 分析に関する本である、エドワーズとマギーの共著の『テクニカル・アナリシス・オ ブ・ストック・トレンド(Technical Analysis of Stock Trends)』を初めて読んだ とき、その画期的なアプローチに目からうろこが落ちる思いだった。長年かけて徐々 にチャートに習熟してきたが、その間に幾度となくその本に立ち戻り、読み直した。 年を経るごとにマーケットに関するわたしの洗練度が高まり経験も深まっていったの で、新たに読み直すたび、新しい発見があった。だから、実世界に飛び出して、わた しが教えたことを実践してみてほしい。そして、1年半か2年たったら本書に立ち返 り、最初よりもより深く意味を読み取ることができるかどうかを確認してほしい。

 次にあなたが本書のページをめくるときまで、プロフェッショナル・テープリー ダーのモットーは真理であることを忘れてはならない――「テープはすべてを語る」。


トレーダーズショップから送料無料でお届け
ウィザードブックシリーズ - 現代の錬金術師シリーズ - パンローリングライブラリ -
ウィザードコミックス
- 電子書籍 - 投資セミナーDVD - オーディオブック -
トレーダーズショップ 日本最大の投資家向け専門店
-
Copyright (C) Pan Rolling, Inc. All Rights Reserved.