羽根英樹
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1993年からサヤ取りを始める。現在でもサヤ取りを主力にトレードする個人トレーダー。
サヤ取りの秘密を暴露しすぎと一部の投資家から怒られた話題の本『サヤ取り入門』のリニューアル版『
サヤ取り入門 [増補版] 』は、発売以来ベストヒットを続けている。そのほか、著書に『
マンガ サヤ取り入門の入門』、『
マンガ 商品先物取引入門の入門』(全てパンローリング)などがある。
着実に利益を積み重ねるそのトレード手法の解説を、パンレポート「サヤ取りの実践」に連載している。
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『羽根英樹のイベントドリブントレードブログ』
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やはり増えてきたMBO 08月22日
先日の投資戦略フェアでは、市場再編に伴うイベントを紹介しました。その中でMBOや親子上場の解消が増えそうだと述べました。これは市場存続のルールが厳しくなることによって上位市場に残れなくなる会社が、それならばと上場廃止という選択をする可能性がある。というお話だったのですが、実際にいくつかのMBOがでてきています。紳士服販売のオンリー(3376)は、公開買い付け価格765円でMBOを発表しました。この価格は一株あたり純資産を下回っており、安値でのMBOを目論んでいることになります。これがある程度時価総額が大きい会社であれば、ファンドがMBOに待ったをかけて敵対的TOBもありうるのですが、時価総額が小さい会社の場合は買収コストに対するうまみが少ないのか、そのまま成立するケースが多いです。今回の場合、時価総額が小さいことに加えて、株主構成をみても過半数が身内で占められており、敵対的TOBは困難だと思われます。しかし、以前には個人投資家が株を買い集めて、TOB価格の引き上げに成功した事例はありますので、可能性は0ではないと思います。
それにしても純資産割れMBOは、アンフェアだと思います。経営側のさじ加減一つで安値MBOを行うというのは、投資家を蔑ろにしています。会計上、買収した会社は、買収完了後「のれん代」を計上します。純資産割れMBOではこれが、「負ののれん代」となり利益計上されます。つまり棚ぼたの利益です。以前に、新興企業が安値MBOを連発した際に、東証の社長から異例の苦言メッセージが出たこともあります。近年でも時価総額が低く、ディープバリュの株は安値MBOされるケースが散見されます。
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投資戦略フェア2021の捕捉 08月03日
投資戦略フェアのご視聴ありがとうございました。
ここでは当日ご視聴いただいた方のために、補足をしたいと思います。
まず、市場再編について。再編後までポジションを持ってエグジットする為のロングショート戦略のアイデアをセミナーでお話ししました。この戦略の難しいところは、まず今回の市場再編では、経過処置として一定の猶予期間が与えられていることです。これは「当面の間」各市場の基準を保っていなくても、改善計画を東証に提出することを条件に市場に留まれるというものです。この為、基準を満たしていない企業がいつ降格するのか、その時期がまったくわかりません。それでなくも、以下の理由で、いつポジションを組んでいつ手仕舞うのかが難しいのです。
これが例えばTOPIXや日経225などの指数のルール変更に絡むものであるならば、過去のデータを検証することで、少なくともデータ上最適なエントリーとエグジットのポイントがわかります。
しかし今回のような再編は過去事例が無い為、どこでポジションを動かすのか大変難しい問題となります。過去に例のないイベントは「理詰め」で考えるしかないとセミナーでも述べましたが、売買タイミングについては理詰めが通用しません。そこで現実的なやり方は、「値動き」を利用する方法で、具体的には値動きについていくやり方をします。ここでは順張りに徹して逆張りは慎むべきだと考えます。サヤ取りの戦略では往往にして逆張りする人が多いのですが、ここでのロングショートは、純粋はサヤ取りとは異なり、値段差(サヤ)を取りにいっているわけではなく、2つ(あるいはそれ以上)の銘柄で別々の売りと買いをしているにすぎません。見た目のポジションはサヤ取りですが、サヤ取りとは似て異なるものです。
次に業界再編のTOB狙いについて補足します。再編が進んでいる業界の一つとして地銀セクターを挙げました。地銀はビジネスモデル自体に苦しんでいるところが多くあり、再編真っ最中です。しかしながら苦しんでいる業界であるがゆえに、M&Aがあってもプレミアムが低い案件が多いですし、これからもそうなる可能性が高いです。ただし、地銀はこれまで散散売り込まれてきた為、株価が低くなっています。従って下値があまりなく、仮に相場全体が売り込まれても、このセクターは下げ余地があまりない状態にあります。反面例えば相場全体の上昇局面で過剰に上げてきた成長株は下げ局面では下げがきつくなります。地銀に限らずTOBされそうな資産バリュ株は、相場全体の下げには相対的には強いと言えます。
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