個人投資家である著者は、2008年1月に刊行した『グローバル化時代の資産運用』(パンローリング)のなかで、中長期運用の考え方、注目するセクター(業種)、海外の金融商品、海外口座の開設ポイントについて紹介した。そこで伝えた投資方針は、今も変わっていないという。
ただし、当時から大きく変わったことがあると指摘する。それが本書のテーマ「ETF」の活用だ。とにかく使い勝手が良いのだ。何よりも「流動性」に優れている点が魅力だという。
日本では、ETFというと日経平均やTOPIXなど、株価指数に連動するものが想像される。しかし海外では、あらゆる資産クラス(株式、債券、不動産、通貨、商品など)でETFが登場しており、しかもテーマが膨大なのだ。
例えば、高い利回りに注目したもの、VIX(ボラティリティ指数)に連動するもの、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)に連動するもの、石炭価格に連動するもの……。さらに、レバレッジやショート(空売り)をするETFや、市場平均を上回ろうと「構成銘柄を積極的に入れ替える」ETF、複数のETFをひとつのETFに組み込んだファンド・オブ・ファンズ型ETF、ヘッジファンド指数への連動を目標とするETFなども、米欧の先進的な取引所には上場されている。
2008年は、世界経済を急激に悪化へと陥れた「世界金融危機」が吹き荒れた年である。筆者のポートフォリオ(さまざまな金融商品の組み合わせ)も、この危機の前に無傷だったわけでなく、一時期はその存在をあまり思い出したくないものもあったという。
しかし、新興国など長期有望銘柄への投資方針は基本的に積立であり、こうした乱高下は、むしろ口数を増やすチャンスだったという。また、世界的混乱で社債の魅力が高まり、すばらしい購入機会があり、さらには前著でも紹介した、ショート(空売り)ETFのおかげで、株価下落のリスクをいくらか回避できたという。
ETFは、わたしたち個人投資家にとって“転ばぬ先の杖”になるだけでなく、今まで手を出すことが難しかった企業、債券、不動産、商品などに「小額」で投資機会を開いてくれる夢の商品である。しかも、売買が手軽で、組入銘柄も価格も明確で、情報公開がされている。だからこそ、投資家の支持を受けて急成長を遂げているわけだ。
ただし、あまりにも種類が多すぎて、どれを選べばよいか分からないかもしれない。またETFにもデメリットはある。そこで本書では、筆者がETFを実際にどのように選び、どのように活用しているか、そしてどのような点について注意をしているかについても紹介されている。
■本書索引
ADR 12, 60
AMEX 16
BOOM証券 50, 204
BRICs 53
CBOE 71, 72
CDM 149
CDS 109-111, 216
CER 149, 151
CFD 36, 103, 130, 178
CFE 72
CPI 87, 106
CTA 162
EAFE 52
ECN 4
ECX 149, 151
ETFセキュリティーズ 22, 138
ETN 14, 38-42, 70-75, 78, 123, 125, 128-132, 135, 137, 140, 141, 149-151 EUA 149, 151
FOF型ETF 152, 153, 165-168
FOHF 152, 166
FRB 95, 97, 102, 107
HSBC 83, 136, 172, 179, 180, 202, 210
iシェアーズ 60, 148
iパス 40, 128
KGI証券 204
MBS 99, 100, 101, 102
NAREIT 144
NYSEアーカ 4, 16, 28, 41, 103, 119, 136, 151, 166
NYSEユーロネクスト 4, 16, 22
REIT 41, 143, 144, 145
RICI 123, 125, 128, 140
SHIBOR 88
SPDR 14, 19, 39, 71
TIPS 106, 107
Tビル 141
USコモディティーズ 21
VIX 40, 70, 72, 74
【あ】
アーキペラーゴ 4
アービトラージ 161-163, 174
アクティブファンド 3
アグリカルチャー 139
アグリビジネス 81, 82, 124, 140, 198, 199, 241, 242
アセットアロケーション 175, 176, 184
イールド 13, 91-95, 99, 191, 192
イールドカーブ 93
イールドスプレッド 93, 99
一任勘定 171, 172, 207
一括投資 136, 184, 194, 197
インカム型 31
インターコンチネンタル取引所 149
インタラクティブブローカーズ 204
インデックスIQ 164
インデックスファンド 3, 19
インプライド・ボラティリティ 70, 71
インフレ連動債 13, 105-108, 188, 191, 192
ウィズダムツリー 78, 79, 118
運用アドバイザー 113, 168,-175, 207, 212
エクストラッカーズ 22, 119, 147
エクスマッチ 22
エマージング債 13, 188
追証 38, 70, 129
大型株 34, 60-64, 75-78, 98, 182, 186, 191, 192, 239-242
オープンエンド 2
オヒギンズ(マイケル・B・) 75
オプション 16, 21, 36, 70-72, 110, 163, 174, 204, 206, 244
オルタナティブ 159, 160, 161, 175, 188, 190, 191, 192, 242
【か】
外国為替証拠金取引 112, 116
格付け 33, 39, 42, 90, 94-101, 176, 177, 217
株式バスケット 27, 41, 62, 65
貨幣供給量 131
カレンシーシェアーズ 117, 118
カントリーリスク 32, 197
期近 45
逆イールド 93
キャッシュ 29, 31, 43, 74, 75, 95, 146, 164, 185
キャッシュフロー 31, 95, 146
京都メカニズム 149
恐怖指数 71
金準備高 133
金本位制 134
クーポン 13, 31, 91, 176, 184
クセトラ 22
グレアム 40, 78
グローバルマクロ 165
景気サイクル 171
景気循環 60-62, 182
ゲート条項 34
限月 45, 70, 72, 73, 128
小型株 16, 34, 62-65, 78, 176, 186, 191, 192, 195, 198, 199, 238, 239, 242
コムステージ 22
【さ】
債券アービトラージ 161-163
再調整 1, 107
裁定取引 27, 162
再投資型 31
債務不履行 93, 94, 109, 110
先物 34, 36, 40, 44, 66, 69-73, 103, 110, 119, 123, 128-132, 140, 149-151, 161-163, 178, 198, 204, 244
先渡し 119-121
時価総額 32, 53, 54, 62-65, 144, 177, 179, 183, 243
シクリカル 60
実質実行為替レート 134, 135
指定参加者 25-30, 42
シティバンク香港 202, 203
ジニーメイ 101
ジャンク債 95, 99
ジャンクボンド 83
上海A株市場 85, 86
受益証券 3, 25, 26, 27, 29, 41, 44
順イールド 92, 93
証拠金 37, 38, 44, 72, 112-116, 128, 129, 141, 178, 205, 206
消費者物価指数 87, 106
商品(コモディティ) 13, 113, 175, 176, 195
ショート 3, 34-36, 44, 65-70, 73, 74, 83-86, 102-104, 111, 122, 129, 130, 141, 146, 161-164, 170-175, 178, 184, 185, 188, 201, 220-228, 231-235, 238-243
信託財産留保額 28
信託報酬 28, 29, 43, 46, 153
スタイル 62, 64, 65, 113, 159, 160, 161
ステート・ストリート 17, 241
スパイダーズ 17
成長株 62, 64, 65, 77, 78, 159, 179, 191
セクターローテーション 62
【た】
代替エネルギー 80, 81, 198, 199, 241, 243
ダウの犬 40, 75
建玉 45
中型株 62, 63, 191, 192
通貨供給量 106
積立効果 1
ディストレスド 147
ディフェンシブ銘柄 75, 182
ディレクション 21, 122
デフォルト 83, 93-95, 109
デューデリジェンス 146
デリバティブ 109, 110, 164, 175
トータル・リターン 141
特別目的会社 34
トラスト 2, 41, 208
ドルコスト平均法 66, 195
トレンドフォロー 163
【な】
ナスダックOMXグループ 4
ナンピン 35, 65, 66
【は】
ハードカレンシー 32
バイアウト 146, 147
バイアス 162, 174
ハイイールド債 13, 95, 191, 192
バイオエタノール 199
配当利回り 7, 12, 74-78, 83, 102, 144, 146, 172, 179, 180, 241
パッシブファンド 3
パワーシェアーズ 19, 21, 119, 141, 153
バンガード 19, 153, 167
販売手数料 28, 46
ビッグマック指数 121
ピムコ 101
ビル・グロス 101, 102
ファニーメイ 76, 84, 100, 101, 102, 106
ファンド・オブ・ファンズ 9, 14, 44, 152, 153, 168, 226
フィーダーファンド 29
フィッチ 94
プライベート・エクイティ 143, 146-148, 188
プライベートバンキング部門 207
プライベートバンク 207
フレディマック 76, 84, 100,-102, 106
プレミアム 109, 110
プロシェアーズ 19, 21, 35, 68, 70, 103
プロパティファンド 32, 83, 84, 184, 185
フロンティア市場 53
ベアファンド 35
米国債バブル 102
米投資信託協会 14, 15, 16
ヘッジファンド 2, 3, 14, 24, 32, 34, 43, 72, 83, 95, 113, 152, 161-166, 170-175, 184, 188, 191, 195, 208-210, 244
ベビーファンド 29
ベンチマーク 3, 43, 74, 176
ベンチャーキャピタル 80, 147
ポートフォリオ 1, 2, 14, 51, 77, 107, 112, 134, 143, 153, 161-176, 180-194, 209-212
ボラティリティ 66, 71, 73, 78, 83, 113, 123, 125, 136, 140, 164, 184, 193-195, 212
【ま】
マークイット 110
マーケットニュートラル 162, 174
マーケットベクターズ 141
マザーファンド 29, 210
マネーサプライ 106
マネージド・フューチャーズ 34, 161-163, 184, 188
マルチストラテジー 164, 165, 174
ミラーファンド 210
ムーディーズ 83, 94
【や】
ユニット数 25, 66, 178, 194, 195, 196, 197
【ら】
ライデックス 117
ラッセル 63, 65, 150
ラップ口座 10, 200, 207-212
リクソー 22
リタイアメントプログラム 166, 167
流動性 4, 6, 13, 27, 31-34, 46, 71, 81, 86, 97, 106, 110, 136, 141, 147, 151, 152, 166, 168, 170, 174, 217
リレーションシップ・マネジャー 202
レバレッジ 14, 21, 36-38, 44, 66, 69, 72, 109, 112-116, 122, 125, 128, 130, 141, 178, 201, 216, 217, 242
ロールオーバー 37, 45
ロジャーズ(ジム・) 40, 123
ロングショート 161-163, 174
【わ】
割安株 62-65, 78, 159