『デイリートレード入門
――デイトレードをあきらめた人の敗者復活戦』
著者セミナーDVD |
2008年10月10日発売
ISBN 978-4-7759-7111-6 C2033
定価本体3,800円+税
A5判 横組み 上製本 334ページ 帯一体
著 者 ジョン・D・マークマン
監修者 長尾慎太郎
訳 者 井田京子
今日の市場は、新しく生まれ変わったデイトレーダーの登場に騒然としている。鋭い反射神経に頼ってマニアックにボラティリティの大きい銘柄を1日に何度もトレードする代わりに、新時代のアクティブトレーダー(本書では「デイリートレーダー」と呼んでいる)は計画と忍耐を頼りに少し長めにトレードする。本書は、より慎重で、抜け目のないアクティブトレーディングによって、確実に利益を生み出すテクニックを紹介している。このテクニックは、忙しいプロのトレーダーも個人トレーダーも、最低限のストレスで最大限の利益を上げて投資のゴールを達成する助けとなってくれる。
ベテランの投資顧問で、MSNマネーのコラムニストでもあるジョン・マークマンが執筆した本書は、あらゆる経済状況において最高のセクターの最強の企業を探し出し、監視し、売買して、利益をもたらすための戦略を教えてくれる。この実践ガイドは、トレーディングの手法ごとに説得力のある実例を挙げて、その効果を示しながら、実際のトレードを最初から最後まで細かく説明している。本書では次のようなことを学ぶことができる。
「私がまだヘッジファンドマネジャーだったころに読みたかった本がやっと登場した。ただし、これは一般の投資家向けに書かれている。明快で、簡単に使えて、楽しく読める本書は、毎日利益を上げたければ、ぜひ読むべきだろう」
――ジム・クレーマー(『全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦』の著者)「さまざまなアプローチとたくさんの例を紹介している本書は、情報あふれる便利なツールとして、だれにとっても自分の武器庫や本棚に加えるべき1冊だ。トレードの現場において価値ある内容がほぼ全ページにわたって載っている」
――ビクター・ニーダホッファ(『実践的スペキュレーション』の著者)「トレードにおける本当に重要な掟のひとつは、自分のスタイルを現在のマーケットに適応させる能力だ。マークマンは、それをするための滑らかな作戦を立ててくれた」
――トッド・ハリソン(ミニアビル・パブリッシング&マルチメディアCEO)「お金の民主主義という新時代において、トレーディングと資産管理は経済的に自立するための重要な一部分になっている。マークマンはこのトレンドを予想し、進むべき方向を示してくれた。本書は、トレーダーが困難に直面したときの装備となる実践的なヒントと洞察を与えてくれる」
――サタジット・ダス(『Traders, Guns & Money』の著者)
著者/ジョン・D・マークマン(Jon D. Markman)
ベテランのマネーマネジャー兼ジャーナリストで、投資リサーチに関するニュースレ
ターの『トレーダーズ・アドバンテージ・アンド・ストラテジック・アドバンテー
ジ』の編集長兼創設者。全米各地やテレビ、ラジオで投資に関して多数講演するかた
わら、MSNマネーに毎週コラムを掲載し、「ザ・ストリート・ドット・コム」にも寄稿
している。
第1章 日曜日
サイクルを探す
新しい上昇トレンドの始まり
底をピンポイントで当てる
トレンドに反する上昇
メジャートレンド
譲れない一線
第2章 月曜日
レラティブストレングスとスイングトレード
パターン認識によって銘柄を選ぶ
第3章 火曜日
歴史的なエッジ
第4章 水曜日
スピンオフ、株式分割、破産株、IPO
スピンオフ
株式併合
倒産企業
IPO
IPOを探し、観察する
第5章 木曜日
モデルのふるまい
コアセレクト――継続性の王者
第6章 金曜日
Nパワーと生態系
結論
付録A ダウ・ジョーンズのセクターと業種別指数
付録B 上場投資信託
本書は、ジョン・D・マークマンが株式トレーダーにとって最も適した最新の手法を著した“The New Day Trader Advantage”の邦訳である。タイトルに「デイトレーダー」という文字が含まれてはいるものの、実際にはもっと長期の観点からの投資に適した銘柄を手際よく抽出するための考え方や技術を解説した書籍である。さて、競争原理が働く分野一般に言えることだが、外的な環境が変わる、あるいは革新的な技術が開発されて、エッジのある手法が新規に発見されると、それを人に先んじて採用した人には先行者メリットがあり、彼らは容易に利益を手にすることになる。今から10年ほど前から数年前くらいまでの「デイトレード」はまさにそんな状態であった。それまでだれにも見向きもされなかった短い時間枠のトレードが手数料の低下と通信インフラの整備のおかげで可能になったせいで、いまから考えるとほとんど根拠の薄弱な手法であっても、嘘のように儲かった時期があったのである。
しかし、どんなものにも終わりがあるように、これらの手法も人口に膾炙してしまえばその有効性を失う。かつて非常に輝いていたデイトレードも、現在ではかなり落ち着いたものになったようだ。今後もデイトレードそのものが消滅することはないであろうが、以前のようにその収益性において他を圧倒するだけのエッジが簡単に得られるということはないであろう。
だがデイトレードの衰退は、一方でこれまであまり日の目を見なかった手法、そこに存在してはいたが、比較的地味であったがために取り上げられることのほとんどなかった手法に光が当たるきっかけとなった。本書はそれらの代表的な手法のいくつかを取り上げ丁寧に解説することで、デイトレードしかやったことのないトレーダーにも別の世界に対する目を見開かせることに成功している。
順番に見ていこう。季節性を用いたトレードと旬なテーマに沿った銘柄選択に関しては、これらが従来から多く用いられている手法であり、その効果に関してはあまり異論がないであろう。そして、分割、併合、スピンオフの銘柄を対象とした考察も面白い。本書の記述はこういった銘柄群に特化した投資手法を日本の株式市場でも行ってみる価値があると思わせる内容だ。そして、もっとも目を引くのがマルチファクターモデルを使った銘柄選択ツールである。著者によると、これは何年もの間一貫して優れたパフォーマンスを示してきた実績のあるモデルであり、読者が米国株投資をしているのであれば、そのまま使っても良いだろうし、日本株の投資家であれば、昨今の情報ツールを用いれば自作することも容易であると思われる。いずれにせよ、本書はこれまで多かった「デイトレード本」とは一線を画す面白い内容に仕上がっていると言える。
最後に、本書の出版に当たって次の方々に感謝の意を表したい。井田京子氏には丁寧で分かりやすい翻訳を実現していただいた。阿部達郎氏にはいつもながら迅速で正確な編集を行っていただいた。また、本書をはじめとして、優れた相場書が翻訳され日本で出版され続けている背景には、パンローリング社の社長である後藤康徳氏の熱意がある。本書はデイトレーダーのみならず、株式市場における投資家一般にとって、新たな視点を提供してくれるきっかけになる。本書が読者の成功の一助になることを願うものである。
2008年9月長尾慎太郎
土曜日になった。さあ休もう。それにしても、なんという1週間だったろう。疲れたことは間違いないが、儲けが上がったし、満足感もあった。資本市場は、企業が拡大したり、雇用したり、生産したり、成長したりするための資金を提供するために存在していることはみんな知っている。しかし、トレーダーにとってマーケットはこれまで発明されたなかで最高のお金儲けマシンだ。ただし、それにはレバーの動かし方を知っておかなければならない。これまでの6章で、アクティブトレーダーとしてこのマシンを毎日動かすための単純かつ系統的な手法を紹介してきた。これらの手法はどれもものすごく簡単というわけではないが、かといって上級の学位が必要というわけでもない。成功するために必要なのは、好奇心とエネルギーと勝ちたいという確固たる思いと直感を大事にしながらも感情を抑える能力と絶対にあきらめないねばり強さだけだ。優れたトレーダーは生まれつきであって、訓練でなれるものではない。これは優れたバイオリニストやスポーツ選手も同じことだ。しかし、もし学習と実践に熱意を持って時間を割けば、ほぼだれでもかなり良いトレーダー、つまり確実に成功するトレーダーになることはできる。
学習体験の良いところは途方もなく興味深くて、楽しいと感じることさえあることなのだが、ここまで読んで同意してもらえるだろうか。月曜日の午後にマーケットのレラティブストレングスを調べて、鉄や銅、特殊科学、肥料などがすべてマーケット全体において活気あるシケモクだということが分かれば、本当の意味で、その時点のトレードにおける独自の知識を得たことになる。これは、タカが風の臭いを嗅ぎ、数マイルの範囲を見渡し、環境と一体化する様子と似ている。金融の賭けをするために業界や政治や文化を掘り下げて調べるということは世界中の出来事の流れのなかに直接身を置くということで、こんな仕事や趣味はほかにはあまりない。
ここで、最高の攻撃計画がはっきりと分かっているかどうかを確認するために、本書をざっとおさらいしておこう。
まず最初に、新しいスタイルのデイトレーディングとは毎日積極的に株式市場でトレードして、数日、数週間、または数カ月保有すべき銘柄を探すことだと思い出してほしい。積極的なデイトレーダーは、もうオーバーナイトのポジションや、何日間かにまたがるポジションを恐れない。これは、彼らが長めに保有するメリットがある株やオプションを探し出す能力に自信を持っているからだ。現代の積極的なデイトレーダーは、トレード回数が多ければ成功するわけではないことを理解している。成功するために必要なのは、これまで以上の質と量の調査と信念と自己認識だけだ。今日のデイトレーディングとは、日中たくさんある静かな時間を使って、正しいタイミングで正しいポジションを立てるために、業界や企業やマーケットに関する異なった視点をみんなよりも少しだけ早く見つけだすことを意味している。
日曜日には、タイミングに集中するよう勧めた。1日、1週間、1カ月といった時間枠で、アメリカ、ヨーロッパ、新興市場の主要な指標を観察し、それぞれのメジャートレンドを読み取る。余計なことを考えず、判断を下したらそれを書きとめ、記録に残す。日曜日には、これから主に買いでいくのか、それとも空売りでいくのかをはっきりと決め、週の途中で特別にランダムな状況に陥ったとしても、最初の決定を順守してほしい。また、マーケットの支持基盤と出来高が、ブルに傾いているのか、それともベアかということも確認しておく必要がある。さらに、20週と40週サイクルをカレンダーに書き込んで、転換期の十分前から準備を整えておく。トレーディングにおいて、タイミングは大きな大きな部分を占める。必ず、すべてを掌握しておくようにしておいてほしい。
月曜日には、第2章で紹介したレラティブストレングスチャートを、少なくとも1時間はチェックしてほしい。ここでも、1日、1週間、1カ月という時間枠で、どのセクターやどの時価総額のグループやどのスタイル(グロースかバリューか)やどの地域などに人気があるのかをしっかりと理解しておいてほしい。これは、勝ち組でのみ戦うということを自分に誓うということだ。ときには、弱気から強気への転換期に思え、逆張りであえて負け組に飛び込みたくなるときもあるかもしれないが、そこはぐっと我慢しなければならない。勝ち組にはその理由があり、筆者の指示に従ってそのエッジを利用すれば、十分持続してメリットを得ることができる。生活をかけて戦っているグループのなかで利益を上げるのはとても大変なことで、それにかける時間と努力にはおそらく見合わないだろう。苦難にあえぐのは敗者に任せて、権力の側に参加しよう。
火曜日は、最低1時間はかけてマーケットヒストリー・ドット・コムを調べ、どのセクターやどの取引所やどの商品やどの銘柄が次の1〜2カ月間に成功する確率が高いのかを、歴史や、市場間や、株価と出来高の傾向などに基づいて考える。この情報がどれほど価値が高く、機関投資家でなくても適正な手数料を支払えば入手できることがどれほど幸運なことかは何度強調してもし足りない。もし勝率を上げるためにひとつできることがあるとすれば、それはカレンダーとマーケットのイベント(決算発表や経済報告書など)とトレーディング商品の確固たる関係に注目することだろう。この関係を無視するなら、危険を覚悟しなければならない。火曜日にマーケットヒストリーを開けば、今後、流れに逆らって無駄に泳ぐようなことをマーケットで経験することは二度となくなる。これらのことは筆者の意見ではなく、事実であり、希望的観測に惑わされないで、現実にしっかりと目を向けることができるようになる。
水曜日は、チャートと決算資料と最近(過去18カ月)のIPOやスピンオフや破産株の再公開、株式併合などについて、最低1時間はかけて調べてほしい。マーケットは買いでも空売りでも、新鮮で活気があるものが好まれるため、これらの銘柄はアクティブトレーダーにとって絶対に金脈となる。毎週、気に入った銘柄をトレード手帳にメモして、トレードしたものも、トレードしなかったものも、その後の経過を追跡しておく。そして、これらを比較し、対比させ、成功ケースからも失敗ケースからも学んでほしい。マーケットは何度も何度もチャンスをくれるのだから、毎週コツコツとトレードを積み重ねながら、勝てば驚き、ミスしてもあまり気にしないようにすることができるはずだ。
木曜日は、第5章で紹介した手順を使ってMSNマネーのストックスカウターで上位10銘柄を表示するか、筆者が毎週発行しているニュースレターの『ストラテジックアドバンテージ』のなかで毎月更新しているリストをチェックする。ここに表示される銘柄は、ファンダメンタルズ、株価、所有者、テクニカル、ボラティリティーの低さなどに基づいて、過去7年間に何度も何度も成功してきた。筆者が紹介したような「バスケット」のトレードがしたくなくても、それぞれの銘柄を長期、中期、短期の視点で観察し、そのなかのどれが次の1週間〜6カ月の間に成功する可能性が高いかを判断してほしい。実は、筆者もこれと同じことを、短期に主眼を置いた『トレーダーズアドバンテージ』というニュースレターの読者のために行っている。最強の株が高値を更新したときや、横ばいで動きがないマーケットでも買うことを恐れてはいけない。そういう銘柄はあと数カ月たたないと明らかにならない理由で、最大の需要があるケースも多い。
そして最後に、金曜日はニュースやセクターの研究、IPOの観察、ストックスカウターのリスト、自分自身で観察したことなどについて時間をかけて考えてみる。そして、どのイベントが組み合わさると、持続するトレードチャンスを生み出すアノマリーになるのかを判断する。それが戦争でも、平和でも、遺伝子研究の飛躍的な進歩でも、新しい種類のメディア、宗教、政治的な変化でも、本当に重要な変化はわれわれの周りで起こっている。そして、これらの新しいトレンドを頭のなかから引き出すには毎週、ほんの少し静かに考える時間をとるだけでよい。あとは自分の考えをトレード手帳にメモして、見込みのありそうなトレード計画を立て、実行したあとで、必ずそれを定期的に見直してほしい。
積極的なデイトレードにおいて最も重要な要素は最後の部分で、情報を活用しつつも、自分の直感やランダムな逸話を恐れることなく、体系的かつ事実に基づいた判断を毎日下してほしい。来る日も来る日も意図的に成功するための計画を立てていれば、本当に成功できる。
《 使い方 》
http://www.panrolling.com/pansoft/samples/の「サンプルページ」から、「レラティブストレングス(rs.exe)」をダウンロードします。
1)rs.exeをデスクトップなどに保存したら、ダブルクリックで実行する。
2)「IPRS.dll」を適当なディレクトリに保存する。
3)次に、チャートギャラリーエキスパートを起動して、「ツール」メニューの設定を実行する。「IndicatorPlug」タブをクリックしたら、「DLL追加...」ボタンを押して保存した「IPRS.dll」を選択して「開く」ボタンを押す。
4)チャートを作り、指標の一番最後に指標が追加されたか確認する。