西原宏一
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青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。
1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在、株式会社CKキャピタル 代表取締役・CEO。
ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。
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西原宏一の「シンプルFXトレード日記」
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今年の注目通貨ペア〜ドル円 03月31日
こんにちは。
今回は今年の注目通貨ペアについて。
例年クリスマス前までには、各銀行・証券会社ストラテジストによる翌年の相場予想が出ます。政策金利や株価、オイル・ゴールドといった商品の見通しや各通貨間の相関関係などから翌年の相場を探るわけですが、相場予測は様々でも注目される通貨ペアというのは意外と共通しています。
過去数年間注目された通貨は、時代を反映してか新興国通貨が目立ちました。ブラジルレアルやメキシコペソですね。加えて南アランドや豪ドルなどの資源国通貨もピックアップされました。ところが、われわれ日本人にとって身近なドル円を取り上げたストラテジストはほとんどいませんでした。
理由は、テーマ性に欠けるからです。
日米ともに景気は大きく後退し、短期金利はともにほぼゼロであったため、強弱感が明確ではありませんでした。そのため、マーケットの値幅も徐々に狭まることになり、海外の友人達もドル円のポジションを取る機会が徐々に減っていったようでした。
ところが、2010年の相場予測においては、ドル円が一躍脚光を浴びることに。海外の多数のストラテジストがドル円に注目しています。
その理由について探ってみましょう。
① 米金利の上昇
2010年初頭のキーワードは「出口戦略」。
市場が注目しているのはアメリカの「出口戦略」、つまり量的緩和政策からの脱却です。
景気後退を受けてバーナンキさん率いるFRBは量的緩和政策に踏み切り、それに呼応しドルは広範に下落しました。ところが、昨年の年末辺りから米経済指標に改善の兆しが見え始め、今年アメリカは「出口戦略」へと向かう、すなわち米金利は上昇するのではないかいう予測が台頭してきました。これを受けてドル円上昇予測が強まってきたわけです。また、対円のみならず対ユーロでもドル高予測が増えてきています。
② 長引く日本の不況と閉塞感
アメリカ経済が持ち直しの兆しを見せているのとは裏腹に、長引く不況からなかなか抜け出せず、ある種の閉塞感が漂う日本。アメリカの景気後退が始まったのは2007年12月からですが、日本はバブル経済が崩壊してから20年たっています。
今から10年前、日本の1990年代は「失われた10年」と表現されましたが、海外勢の多くは2000年以降の日本の復活を信じていました。
シンガポールの友人達も「あの日本が10年も不況で苦しむのはおかしい」という見方が大半で、日本の株や不動産への投資相談をよく受けたものです。それから10年経った今、彼らの考えも大きく変わりました。
復活を信じて何度も裏切られた結果、今では「日本は失われた10年ではなく、失われ30年になるのではないか」という論調が多数出てくるようなりました。こうした日本経済の長期低迷も円売りの背景になっているようです。
③ Yes, He Kan 菅財務相の誕生
今年の1月に菅財務相が誕生しました。彼は、就任直後「円は90円の半ばが望ましい」と発言し市場を驚かせました。
発言に対する批判が強かったことから、新財務相は自らの発言を若干修正しましたが、「円安誘導はしない」というスタンスを示した藤井前財務相との違いを市場関係者にはっきりと見せつけました。この菅新財務相の誕生を、有名ワシントン情報筋は「Yes, He Kan」と題する市場レポートを配信し、海外勢の円安見通しを強めることになりました。
以上のことから、2010年は海外勢を中心にドル円が注目されています。
ただFRBが早期利上げに踏み切るという予測にはバラつきがあります。今年の後半に利上げという見方が大勢ですが、某米大手G証券は2011年まで利上げなしの予想です(しかしながら、彼らは一番極端な円安支持者ですが)。
本当に利上げに踏み切るためには、超えなければならないハードルが沢山あります。まず何と言っても、彼ら自身の巨大なバランスシートを整理する必要があります。そうしなければ、彼ら自身が自らの利上げによって損失をこうむることになるからです。また、金融システムにはまだ脆弱性が残っています。様々な簿外の不動産関連商品が隠れています。それらが解消するためには、不動産価格が十分上昇しなければなりません。そのため、FRBの本音としては、低金利政策を出来るだけ長く続けたいものと思われます。
しかしながら、金融市場の期待は金利上昇方向に大きく傾いており、そうした傾向は続くでしょう。昨年は見事に円高を予想した某米M証券は、今年1ドル100円を予想しています。
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期末のドル円 03月29日
おはようございます。
Twitter はじめました。
http://twitter.com/Nishi_gogo
まだ、使いこなしてませんが、よろしければフォローしてください。
まず、先週のドル円に関して。
以下は先週の「シンプルFXトレード」のコメント(No.79)の抜粋。
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invisible hand(見えざる手)
民主党政権になって、初めての期末レートが90円以下というのは好ましいものではなく、ドル円の下落局面では本邦の公的機関がドル円を買い支えるのではないかという意見。
こうした考え方が大手のHF(ヘッジファンド)の間では浸透しているといわれています。
公的機関のドル買いについては噂の域をでませんが、確かに今月に入ってのドル円は底堅く推移。
ドル円も引き続き押し目買い継続。
ターゲットは92円の前半といったところでしょうか?
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実際に先週のドル円は堅調に推移。
今週もドル円は依然押し目買い。
ただ既報の通り多くの海外勢は今年ロング志向で、すでに93円〜95円のオプションを仕込んでいますので、93円台は彼らの利益確定のドル売りにより、上抜けするのに少々時間を要するでしょうか?
最初のサポートは、200日線の91.52円。
加えて今週のハイライトは金曜日のNFP(米雇用統計)。
他通貨については、「シンプルFXトレード」にて。
では、今週もよろしくお願いします。
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ドル円始動 03月25日
こんにちは。
本日の東京市場は昨晩のNY市場の流れを受けドル全面高。
NY市場後場のユーロドルは1.3350 のバリアを粉砕し、一時1.3313まで急落。
ユーロドルは、Fitchがポルトガルを格下げしたことにより、更に上値が重たくなった形。
ただマーケットはユーロショートであるためユーロドルは、大崩れするわけでもなく
市場の利益確定の買戻しと、節目節目にあるバリアをこなしつつ下落するといった形。
いきなり値を上げたのがドル円。
NY市場で米2年債利回りが急騰したことにより、ドル円の上昇が収まらず、引け際にはstop lossを巻き込み92円台まで回復。
NY市場は ドル高値圏の92.30 円でクローズ。
東京市場では、久しぶりの92円台ということで本邦の輸出企業が断続的にドル売りを持ち込み、現在91.83 円まで下落。
今朝方市場で話題になっていたのが、ドル円の200日移動平均線。
現在の200日線は、91.52円近辺。
1月と2月のドル円の上昇はこの200日線で止められていたのですが、昨晩の上昇で、このラインを突破した形。
自分の回りのトレーダーはこの200日線あたりでのドル円の押し目買いを考えているといったところ。
流れは引き続きドル買い。
本日のポイントは今日から開催されるEU首脳会議。
(EU首脳会議に関してははシンプルFXトレードにて)
では、本日もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします。 03月25日
初めまして。
CKキャピタルの西原です。
今回パンローリングさんのこちらのページで為替情報を配信させていただくことになりました。
既存のブログとはまたちがった視点で為替市場の取引のポイントをご紹介させていただこうと思います。
では、よろしくお願いします。
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