2007年7月18日発売
ISBN 978-4-7759-7086-7 C2033
定価本体7,800円+税
A5判 上製本 598頁
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アレキサンダー・エルダー |
彼らはなぜそこで仕掛け、なぜそこで手仕舞いをしたのか――
これから皆さんを、16人のトレーディングルームへご案内しよう。住んでいる国も、取引しているマーケットも、その手法もさまざまだが、彼らには共通の特徴がある。なかでも注目すべきはトレードに身を捧げているという点だ。利益をどんどんつぎ込むアマチュアトレーダーはアドレナリンの刺激を求めるが、本書で紹介するトレーダーは真摯な態度で仕事に臨んでいる。
黙って静かに利益を生み出していればよいものを、彼らはなぜトレードの仕方を教えようとするのか? トレードで成功する要因は、「秘密」を知っているからではない。なぜならトレードには秘密などないからだ。成功者はただ真面目に集中して取り組み、細部に注目し、長期的な視野で臨み、そしてちょっとしたセンスを持っている。
トレードは非常に奥の深い分野だ。医者に専門分野があるように、トレーダーも専門分野を持つ必要がある。初心者の多くは、投資、デイトレード、株式、先物、オプションなど、いろいろな分野に手を広げすぎてしまう。本書で紹介するトレーダーは、ブレイクアウトで買う、プットを売る、揉み合いからブレイクしそうな銘柄を探すなどさまざまだが、皆自分に合った専門分野を絞り込んでいる。
自分の好きな分野で仕事をする人が成功を収めることができるのだ。本書を通して、皆さんも、自分に合ったトレード方法や魅力的なコンセプトに出合えるだろう。それを見つけたら継続して取り組み、豊かな埋蔵物を求めてその土地を掘るとよい。
トレーダーの成熟度によって、その行動も異なる。初級者は面白そうなヒントを奪うようにして集め、中級者は指標や変数について質問し、上級者は他人の判断やその根拠の説明を知りたがる。本書で紹介するトレーダーたちは豊富な情報を提供してくれているが、何を学ぶかは皆さん次第だ。
トレードからはお金を得ることができ、そしてたくさんのものを手に入れることができる。上司から解放され、好きなときに好きなところに旅行することができる。それでもいざというときには、生活の質を決めるのはお金ではない。皆さんの目標は、でき得るかぎりの最高のトレーダーになることだ。
16人のトレーダーたちがトレーディングルームに案内し、より優秀なトレーダーになるためのヒントを紹介し、優しさ、寛大さ、活力のある良きモデルとなってくれたことに、感謝の意を表したい。人生にはお金では買えないものが存在することを教えてくれた――たとえトレーダーであっても。本書の目的は、皆さんが孤独から脱し、他人から学び、各自のスタイルに合ったアイデアを見つけ、自信にあふれたトレーダーとしてトレーディングルームに帰ることができるようにサポートすることである。
本書の特徴は、今まではほとんど知ることができなかったほかのトレーダーたちがどのような判断を下して、そのトレードを行ったかについての一部始終を垣間見ることができることだ。それに加えて、そのときの心理状態から、分析方法、マネーマネジメント、トレード日誌に至るまで、トレードで成功を収めるのに欠かせないすべての要素を知ることができることである。さまざまなコンセプトや手法だけでなく、成功を収めているトレーダーたちの考えに触れ、ワンランク上を目指すきっかけとしてほしい。
■投資苑シリーズ
電子書籍 | 電子書籍 |
利食いと損切りのテクニック |
投資苑 |
投資苑がわかる203問 |
投資苑2 |
投資苑2 Q&A |
投資苑3 |
投資苑3 スタディガイド |
レニングラードに生まれ、エストニアで青年期を過ごす。16歳の若さで医学部に進学し、23歳のとき、船医としてアフリカに立ち寄った際に逃亡を企て、アメリカに政治亡命。亡命後も精神分析医としてニューヨークで開業し、コロンビア大学で教鞭をとる。精神分析医としての経験を生かし、トレードの心理学について独自の見解を持つ。エルダー博士の書籍、論文、ソフトウエアを利用したトレーダーからは、現代のプロトレーダーのリーダーのひとりであると称賛されている。
トレーダーズキャンプを開催し、トレーダーを集めて1週間の講習を提供している。またスパイクグループの創設者でもあり、そのメンバーはプロやセミプロのトレーダーで構成されている。メンバーは毎週ひとつずつ銘柄を選び、賞をかけてコンテストを行っている。エルダー博士自身もトレードを続け、トレーダー向けのウエブセミナーを開き、アメリカやその他の国々の多数の会議で講演している。本書の読者はエルダー博士のeメールニュースレターの無料購読が可能であり、また下記のオフィスに連絡をすればトレーダーズダイアリーのテンプレートを入手することもできる。
「Japan and the World: Trading after the Disaster」
(日本と世界:震災後のトレーディング) /アレキサンダー・エルダー
※本セミナーは、 2011年8月中旬よりオンデマンド放映(日本語字幕つき)しました。
第1章 シェリ・ハスケル | 物事を見る論理的な目 |
第2章 フレッド・シュツマン | コンピューターを自在に操るトレード術 |
第3章 アンドレア・ペローロ | チャートの奥義とは、簡潔、明瞭、整頓 |
第4章 ソハイル・ラバニ | 規律正しい損失管理 |
第5章 レイ・テスタ・ジュニア | 一貫したアプローチをとる |
第6章 ジェームズ・(マイク)・マクマホン | 不利をバネにする優秀なエンジニア |
第7章 ジェラルド・アペル | 好機を探る確かな目 |
第8章 マイケル・ブレンケ | 正しい行動を繰り返す |
第9章 ケリー・ラボーン | スクイーズプレー |
第10章 ダイアン・バファリン | ハイヒールを履いて後ろを向いたまま、フレッド・アステアと同じように踊る |
第11章 デビッド・ワイス | 現実に即した価格・数量モデル |
第12章 ウィリアム・ドーン | 土台が大きいほど、ビルが高くなる |
第13章 ピーター・タタルニコフ | マーケットを分析する人を分析する |
第14章 ダミール・マフムードフ | ファンダメンタルズからテクニカルなシグナルを読み取る |
第15章 パスカル・ウィレイン | エフェクティブボリューム |
第16章 マーティン・ナップ | 次回は成功させよう |
結び トレードを始めよう | |
参考書籍 推薦図書 謝辞 著者について |
シェリ・ハスケル
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・推薦図書
『マーケットの魔術師』 これもトレーダーへのインタビューをまとめた1冊。 いろいろなトレーダーの手法と不屈の精神を学ぶことができる。 |
『投資苑2』 貴重な情報、革新的なトレード概念、そして機知にあふれた本。 |
●『欲望と幻想の市場――伝説の投機王リバモア』エドウィン・ルフェーブル著(東洋経済新報社)
――お気に入りの1冊。実際のトレーダーが話を進めているため、現実に即している。数年に一度、不変の教訓を読み返すことをお薦めする。
●「The Visual Investor : How to Spot Market Trends」 by John J. Murphy.
――テクニカル分析の名著。包括的でありながら、ポイントを抑えている。
●「The Candlestick Course」by Steve Nison.
――ローソク足チャートを欧米トレーダーに紹介した書籍。
フレッド・シュツマン
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・推薦図書
『投資苑』 | 『マーケットの魔術師』 | 『新マーケットの魔術師』 |
●『欲望と幻想の市場――伝説の投機王リバモア』エドウィン・ルフェーブル著(東洋経済新報社)
●「Technical Analysis of the Financial Markets : A Compre-hensive Guide to Trading Methods and Applications」 by John J. Murphy.(パンローリングより翻訳刊行予定)
●「Elements of Successful Trading : Developing Your Compre-hensive Strategy through Psychology, Money Management, and Trading Methods」 by Robert Rotella.
アンドレア・ペローロ
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・推薦図書
『投資苑』
古典的名著であるジョン・マーフィー著『先物市場のテクニカル分析』(きんざい)と、マーティン・プリング著『Technical Analysis Explained』に加え、本書もマネーマネジメントの2つの黄金律(2%ルールと6%ルール)について明瞭かつ詳細に説明している。
『マーケットのテクニカル秘録』
これもテクニカル分析について詳しく説明している。75ページと138〜139ページの「セットアップ・パターン」は実際のトレードに役立つはずだ。著者は、このパターンはスロー・ストキャスティックスに適していると述べているが、私の考えではRSIに適している。
『ゾーン 』
非常に重要な本。著者の有名な本『規律とトレーダー』よりも取り組みやすいだろう。第11章では利益確定について説明し、貴重なトレード管理概念を紹介している。
●「Martin Pring on Market Momentum」 by Martin J. Pring
――オシレータと指標の機能と役割について理解を深めることができる。
●「Pring on Price Patterns: The Definitive Guide to Price Pattern Analysis and Interpretation」 by Martin J. Pring
――異なる価格パターンのトレードの仕方、ならびにストップのポイントと利益確定のポイントについて説明している。
●「Schwager on Futures」 by Jack Schwager
――テクニカル分析に関する良書。特に第2部の「実世界でのチャート分析」では210ページにわたってチャートによるトレードを紹介している。特定のパターンに基づいたトレードについて説明し、次のページではその結果を載せている。
●「Japanese Candlestick Charting Techniques」 by Steve Nison
――ローソク足の基本書。
●「Charting Commodity Market Price Behavior」 by L. Dee Belveal
――35年前に書かれた本書は、質の良いものは年月を経ても変わらないことを証明している。先物市場の出来高と取組高については本書の右に出るものはないが、COTレポートについての章も実に興味深い。
●「Precision Trading with Stevenson Price and Time Targets」 by J.R. Stevenson
――効果的なトレンドライン・ブレークを確認する賢明な戦術を紹介している。
●「Technical Analysis for the Trading Professional」 by Constance Brown
――特にRSIについて説明した章はお薦め。
ソハイル・ラバニ
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・推薦図書
◎特にトレーダーにお薦めの書
『規律とトレーダー』 トレーダーの実例と心理的内省 |
『投資苑』 初心者必読のガイドブック |
●「Starting Out in Futures Trading」 by Mark J. Powers ――先物に関して論理的に紹介。
●『投資の行動心理学』ジェイク・バーンスタイン著(東洋経済新報社) ――トレーダーのスタイルと心理。
●「The Visual Investor: How to Spot Market Trends」 by John J. Murphy ――テクニカル分析の入門書。
●「Winner Take All : A Top Commodity Trader Tells It Like It Is」 by William R. Gallacher ――マーケットのグルとテクニカル分析についての評論。
●「Options as a Strategic Investment」 by Lawrence G. McMillan ――オプションの専門書。
●「The Bear Book: Survive and Profit in Ferocious Markets」 by John Rothchild ――激動のマーケットでの防御策。
◎大局観を得るための書
『金融と審判の日』 | 『トゥモローズゴールド』 |
●「ゴールド」ピーター・バーンスタイン著(日本経済新聞社)
●「The Dollar Crisis: Causes, Consequences」 by Cures, Richard Duncan.
●「Running on Empty: How the Democratic and Republican Parties Are Bankrupting Our Future and WhatAmericans Can Do about It」 by Peter G. Peterson.
●「Bull's Eye Investing: Targeting Real Returns in a Smoke and Mirrors Market」 by John Maudlin.
●「フラット化する世界」トーマス・L・フリードマン著(日本経済新聞社)
●「Wealth and Democracy: A Political History of the American Rich」 by Kevin Phillips.
●「The Case Against the Fed」 by Murray N. Rothbard.
●「The Creaturefrom Jekyll Island: A Second Look at the Federal Reserve」 by G. Edward Griffin.
●「Crossing the Rubicon: The Decline ofthe American Empire at the End ofthe Age of Oil」 by Michael C. Ruppert.
レイ・テスタ・ジュニア
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・推薦図書
『投資苑2』 | 『トレンドフォロー入門』 | 『マーケットの魔術師【株式編】《増補版》』 |
●『欲望と幻想の市場』エドウィン・ルフェーブル著(東洋経済新報社)
●『世紀の相場師ジェシー・リバモア』リチャード・スミッテン著(角川書店)
●『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィーとジェームス・スキナー著(キングベアー出版)
ジェームズ・(マイク)・マクマホン
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・推薦図書
『投資苑』 「オンラインでの短期投資」から実際のトレードへと導いてくれた |
『投資苑2』 トレード日誌とマネーマネジメントの重要性を知らされた。 |
『ゾーン』 トレードの心理と自信を学んだ |
『アペル流テクニカル売買のコツ』 私が最も好きな指標のひとつ、MACDの考案者の名著 |
●「Trading Rules: Strategiesfor Success」 by William F. Eng
――50のルールを紹介。トレードしている期間は、毎週ひとつずつ覚えるようにしている(今週は32番目――投機を投資に変えてはならない)
●「Riding the Bear: How to Prosper in the Coming Bear Market」 by Sy Harding
――本書の著者は、弱気相場を信じ、バイ・アンド・ホールド戦略の誤った考えについて考察している
●「Trading Classic Chart Patterns」 by Thomas Bulkowski
――私はパターンをあまり使用しないが、本書は「パターンの百科全書」として役立つ。特に著者のパターン得点手法が気に入っている
ジェラルド・アペル
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●「Technical Analysis of the Financial Markets : A Compre-hensive Guide to Trading Methods and Applications」 by John J. Murphy
――テクニカル指標について広範に説明した良書。参考書としても優れている。
●「Stock Trader's Almanac, published annually」 by Yale Hirsch and Jeffrey A. Hirsch
――2005年には第38版が出版された。株式市場の季節要因について知るには最適な情報源となるだろう。
●「Profit Magic of Stock Transaction Timing」 by J.M. Hurst, 25th anniversary edition
――株式市場の周期と、それを生かして利益を上げる方法について説明した定番の本
マイケル・ブレンケ
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・推薦図書
『投資苑』 トレードを始めたころ、損失を抑えるのに非常に役立った。この本がなかったら、トレードに悪戦苦闘した末、別の仕事を探していたことだろう。 |
『スイングトレード入門』 日足と日中足のチャートを同時に観察することを学んだ。『投資苑2』で紹介しているインパルスシステムとこの手法を組み合わせたところ、私のトレード結果に大きな変化が生じた。 |
●「How I've Achieved Triple-Digit Returns Day-trading: 4 Hours a Day」 by David Floyd
――マーケットに合わせた行動をとることの大切さを学んだ
●「Technical Analysis of the Financial Markets : A Compre-hensive Guide to Trading Methods and Applications」 by John J. Murphy.(パンローリングより翻訳刊行予定)
――チャートパターンの基礎を学ぶのに適している
ケリー・ラボーン
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・推薦図書
『マーケットの魔術師』
著者いわく、「本書をまとめたことで(中略)あなた自身も優れたトレーダーになれたか、とよく質問される。その答えはイエスだが、皆が期待しているような答えとは違う。だれも秘訣を教えてくれなかった。(中略)インタビューで得た唯一の重要な教訓は、自分の個性に合ったトレード手法で取り組まなければならない、ということだ」
『投資苑』
プロのトレーダーを目指す人の必読書。しかも説明が面白く、本書はトレードへの道を切り開いてくれた。
『板情報トレード』 いつでも読み返せるように、本書を携帯している。 |
『ゾーン』 |
『アペル流テクニカル売買のコツ』 |
●「12 Habitudes of Highly Successful Traders」 by Ruth Roosevelt
――プロになるための心構えを紹介。成功を収めるトレーダーは、準備を怠らないものだ。
●「Exceptional Trading」 by Ruth Roosevelt
――自分自身を知ることは、トレードに最大の影響をもたらす。
●「Investor Therapy: A Psychologist and Investing Guru Tells You How to Out-Psych Wall Street」 by Dr. Richard Geist.
●「The Trading Game: Playing by the Numbers to Make Millions」 by Ryan Jones
――第一に自分自身を知ること、第二にマネーマネジメントを定めることが重要。
ダイアン・バファリン
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・推薦図書
デビッド・ワイス
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・推薦図書
『マーケットのテクニカル百科 入門編・実践編』 |
『マーケットの魔術師』 | 『板情報トレード』 |
●「Tape Reading and Market Tactics」 by Humphrey B. Neill
●「Prices」 by George E Warren and Frank A. Pearson
●「A History of Interest Rates」 by Sidney Homer and Richard Eugene Sylla
●「Profits in the Stock Market」 by H.M. Gartley
●「Freedom from the Known」 by Jiddu Krishnamurti
●「The Wisdom of Insecurity」 by Alan W. Watts
●「Siddhartha」 by Hermann Hesse
ウィリアム・ドーン
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・推薦図書
『投資苑』 ベテランの投資家やトレーダーの間でトップ10に挙げられている。 |
『狂気とバブル』 大衆心理について言及した2冊。1980年代の日本のバブル景気、1オンス880ドルという金の急騰、インターネット銘柄と不動産のバブルのことがよく分かる。 |
●「How Charts Can Help You in the Stock Market」 by William L. Jiler
――『マーケットのテクニカル百科 入門編・実践編』よりも簡単な内容。テクニカル分析のバイブル。
●『欲望と幻想の市場』エドウィン・ルフェーブル著(東洋経済新報社)と
●「Jesse Livermore Speculator King」 (ポール・サーノフ著)
――トレーダーとして成功を収めたい人はジェシー・リバーモアの生涯について読むことをお薦めする。
●「The Battle for Investment Survival」 by G. M. Loeb (パンローリングより翻訳刊行予定)
――試練の時期に耐え抜くすべを紹介した投資の入門書。実地体験で得られた観測について、内容豊かに説明している。
ピーター・タタルニコフ
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・推薦図書
●「Intraday Trading System : Five Points for Success」 by V.I. Safin
――当社のチーフトレードインストラクターが、各トレードを5段階評価して作成したマニュアル(英語版)。
ダミール・マフムードフ
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・推薦図書
『投資苑』『投資苑2』 この2冊で、トレードのあらゆる側面を網羅している。さらにスタディ・ガイドを利用すれば、自分の理解度をチェックできる。 お薦めの講座――講義、課題、試験、Q&Aなどで構成され、テクニカル分析を対象とした分かりやすい講座。受講後には、オーストラリアのテクニカルアナリスト協会から証明書を受け取ることもできる。 |
パスカル・ウィレイン
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・推薦図書
◎この順番に読むことをお薦めする。
1.「The Four Pillars of Investing: Lessons for Building a Winning Portfolio」 by William I. Bernstein
――まずは「資産配分」という総括的な見通しを理解する必要がある。本書は、現金、証券、不動産など、どの分野に資産の何割を配分するのかについて判断するうえで大いに役立つ。収益率を比較し、専門のマネージド・ファンドよりも多様なインデックス・ファンドを薦めている。
2.『オニールの成長株発掘法』
銘柄選択の戦略について把握する。
3.『プロの銘柄選択法を盗め!』
第3ステップでは、自分が選んだ銘柄を分析する。バランスシートの読み方に慣れていない人は必読。自分の力で銘柄分析ができるようになるだろう。
4.『投資苑2』
次に読むのがエルダー博士のテクニカル分析の本。仕掛けと手仕舞いの戦略、そしてマネーマネジメントの方針の立て方を理解する。
5.『投資家のためのマネーマネジメント』
最後に、数学好きの人、勝利の戦略をすでに見つけた人は、このマネーマネジメントの本を読めば、自分の手法を最適化して、リスクを軽減しつつ資金を最大限に増やすことができるだろう。
マーティン・ナップ
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・推薦図書
『投資苑』 この本がなければ今の自分はいないかもしれない。 |
『投資苑2』 書き込みすぎて、すっかり汚れてしまった。 |
●「How I Found Freedom in an Unfree World : A Handbook for Personal Liberty」 by Harry Browne
――自由な人生を謳歌できる。
●「世紀の相場師ジェシー・リバモア』リチャード・スミッテン著(角川書店)
――私としては、『欲望と幻想の市場』よりもこちらのほうが好きだ。
●「The Inner Game ofTennis」 by W. Timothy Gallwey
――別の切り口で「マーティン・ナップの日」にアプローチできる。
さて、今回の彼の著書は16人の関係者によるインタビュー集である。とは言っても、ジャック・シュワッガーの手による『マーケットの魔術師』シリーズとは異なり、単なる質疑応答だけではなく、16人の実際のトレード、それも成功例と失敗例が解説付きで掲載されていることが目新しい。この新しい試みは、それぞれのトレードスタイルをより理解しやすくする助けになっていると思われる。
さて、本書を読んで感じるのは、登場する16人は各々それぞれの個性に合わせたトレードを行っているものの、皆一様にトレードが好きで、たぐいまれなる情熱をもってこれに当たっているということである。これに絡んでエルダー博士は次のように書いている。成功しているトレーダーは、トレードにまつわるプロセスが好きなのであり、報酬はその結果でしかない。だから、損失を被ってもそれを経験として生かすことができる。また、そういう人はトレーダーであることが彼らのアイデンティティであり、トレードをすることで自己の存在意義を確認し、充実した生活を送ることができるのだ、と。
さらに、最後の「結び」にある挿話は印象的だ。リゾートホテルに滞在中のエルダー博士は、若い彼女を独りビーチに行かせて、自身はロビーでノートパソコンを広げてトレードの仕事をしている。それを見とめた観光客が、休暇中に働かなくてはいけないなんて、と彼をあざ笑う。一般的には、この観光客の見方は正しい。だが、この場合、真実は異なる。エルダー博士を笑った観光客にとっては、仕事はおそらく苦痛なのであろう。だから、つかの間の休暇でそれを忘れたいのは当然だ。彼は囚われの身なのだ。一方、エルダー博士は自由の身だ。彼にとっては仕事は生きがいであり、自己実現の場だ。したがって、そこから逃げる必要などまったくない。休暇をとる必要など本当はないのである。トレードは孤独でタフな仕事だが、よりよく努力し、それによって技術や知識を高めていけば、いつか経済的な自由と、そして自己の独立性を手に入れることができる可能性のある仕事である。インタビューに応じた16人もまた、その境地に至った人たちである。
最後になったが、本書の翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。岡村桂氏には、丁寧な翻訳をしていただいた。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が出版される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2007年6月
長尾慎太郎
これから紹介するトレーダーたちは、手のうちを明かして実際のトレードを披露することを快く承諾してくれた。なぜそんなことを認めたのだろうか? 黙って静かに利益を生み出していればよいものを、なぜトレードの仕方を教えようとするのだろうか? トレードの秘密は、秘密がないことにある。自動的にお金を生み出す魔法の公式など存在しない。買ったりこっそり手に入れたりして、自分のコンピューターにつなぐことなどできないのだ。彼らの成功は、規律、勤勉、そしてちょっとしたセンスに裏付けられたものである。他人が成功したからといって自分の成功が半減するわけではない。だからこそ、彼らは自分の手法を喜んで紹介してくれるのだ。しかも彼らはここに到達するまで厳しい道のりを歩んできており、初心者に対してある種の感情を持っている。
トレードとは非常に奥の深いフィールドであり、医者がすべての分野の専門家にはなれないのと同じで、だれもがすべてのトレードの専門家になれるというわけではない。初心者の多くは、投資、デイトレード、株式、先物、オプションなど、いろいろな分野に手を広げすぎてしまう。トレードの成功者はたいてい、自分の専門分野をひとつに絞り込んでいるものなのだ。
自分の好きな分野で仕事をする人が成功を収めることができる。本書を通して、皆さんも、自分に合ったトレード方法や魅力的なコンセプトに出合えるだろう。それを見つけたら継続して取り組み、豊かな埋蔵物を求めてその土地を掘るとよい。本書の目的は、皆さんが孤独から脱し、他人から学び、各自のスタイルに合ったアイデアを見つけ、自信にあふれたトレーダーとしてトレーディングルームに帰ることができるようにサポートすることである。
1週間を共に過ごすと、参加者はたいてい親しくなり、その後も連絡を取り合うようになる。私はニューヨークのアパートで、月に1回、キャンプ仲間を集めてミーティングを開くようになった。何度もキャンプに参加する人もいた。彼らのその後を見ているうちに、私は、彼らにインタビューして本を書きたいと思い始めた。本書で紹介するシェリ・ハスケル、ソハイル・ラバニ、レイ・テスタ、マイク・マクマホン、マイケル・ブレンケ、ケリー・ラボーン、ダイアン・バファリンはキャンプの仲間である。ほかにもインタビューしたい人はいたのだが、スケジュールの都合上、あきらめざるを得なかった。
たいてい、キャンプには少なくとも1人はインストラクターを招き、さまざまな見解を述べてもらった。午前中は私の講義、午後はインストラクターの講義を行った。本書の4人(フレッド・シュツマン、ジェラルド・アペル、デビッド・ワイス、マーティン・ナップ)も数回講師をしてくれている。彼らを何度も招くのは、トレーダーたちがその授業を気に入っているからだ。かくいう私も、本書に取りかかってすぐに、彼らにインタビューしたいと思った。
ビル・ドーンのことは数年前から耳にしており、キャンプ仲間以外にも範囲を広げるために彼にもインタビューを依頼した。またピーター・タタルニコフとはモスクワで偶然出会い、分別のあるこの若者の内面の深さに好印象を覚えた。ニューヨークに戻る数日前、しっかりとカギをかけられた彼のオフィスでインタビューを行った。 私の著書を読んだトレーダーのなかには、非常に思慮深い質問を投げかけ、自分の仕事について話してくれる人もいた。彼らの話はとてもためになった。私は彼らと喜んでアイデアを交換し合い、インタビューの約束も取りつけた。イタリア人のアンドレア・ペローロ、ラトビア人のダミール・マフムードフ(後にキャンプにも参加するようになった)、ベルギー人のパスカル・ウィレインがそうである。
またインタビューしたかったのに、実現しなかったトレーダーもいる。巨万の富を築いたキャンプ参加者が2人いたのだが、タックスヘブンの国に引っ越し、インタビューに応じたがらなかった。インタビューには答えてくれたのだが、文書にするのを嫌がったトレーダーもいた。
私がトレーダーに会いに行ったこともあれば、トレーダーのほうからニューヨークに来てくれたこともあった。また、私のヨーロッパ旅行中にシチリアやアムステルダムで会ったケースもあった。最近では簡単にインターネットにアクセスできるようになり、ラップトップのPCさえあればどこでもトレーダーのオフィスに早変わりする。
ところが女性のトレーダーは非常にシンプルに考える。「お金はどこにあるのか?」。自分が正しいことを証明するよりも、利益を上げて損失をなくすことに興味を持つ。風に逆らわず、流れに身を任せ、トレンドを察知し、さっと立ち去り、利益を計上する。トレード日誌をつけることは成功の大切な要素だとトレーダーに説明すると、女性のほうがそれに従う傾向がある。トレーダーを採用する場合、すべての条件が同じであれば女性を雇うことをお薦めする。
それでも、トレーダーの数は男性のほうが多い。言語的にも「彼または彼女」とするよりも「彼」としたほうが滑らかだ。読みやすくするため、本書では男性代名詞を使う。けっして女性のトレーダーを軽視しているわけではないことは、お分かりいただけると思う。世界中、男女を問わず、だれにでも手軽にこの本を読んでもらいたいだけなのだ。 (『投資苑2』(パンローリング)より)
仕掛けは右側のページで説明し、買いか売りかを判断するときにトレーダーが実際に使用したのと類似したチャートを載せる。このページを急いでめくらないように。チャートを見て、このトレードの勝敗を判断してほしい。チャートに対するトレーダーのコメントを読み、その推論に賛成か反対かを考える。自分の意見がまとまったらページをめくり、トレードの結果を見てみよう。次に手仕舞いのチャートを見て、私のコメントを読んでほしい。そして次のトレードに進み、同じことを繰り返す。
手仕舞い後、1〜2カ月たってからのトレードを見てもらいたいと言ったトレーダーもいる。それに応じているが、私は「事後判断」を勧めているのではない。事後にはだれでも賢くなるのだ。買いと売りのシグナルは、チャート上にはっきりと見てとれる。しかし右に目をやるほど、あいまいになってくる。チャートを見て判断を下さなければならないため、できるだけ実際のチャートに近いものを載せている。チャートの真ん中は簡単そうに見えるが、右端が重要なのだ。
皆さんにはトレーダーの手腕に注目してもらいたいが、トレードごとに私のコメントも載せているので、私の手法もお分かりいただけるだろう。このあと、私の手法についてごく簡単に説明しよう。
参考書籍の項目のないテクニカル本を手に取ると、私はいつもあきれてしまう。こういった本の著者はきっと、だれにも礼を言う必要のないほど非凡な才能を持っているに違いない。本書には参考書籍の項目が2種類掲載している。ひとつは、インタビュー中に話題に上った本のリスト。もうひとつは、トレーダーの推薦書のリストである。なかにはコメントを寄せてくれたトレーダーもいる。
本書執筆中、キャンプやオンラインセミナーの参加者から質問が次々に飛び出した。それに対する私の回答も合わせ、Q&Aとして紹介する(私には「テクニカルサポート」をしてくれる人がいないことを、ここではっきりさせておきたい。私は1人でトレードしている。マネジャーは数々の質問を受け付けてくれるのだが、残念ながら十分な時間がないため、すべてに回答することはできない。ただしキャンプやオンラインセミナーの参加者からの質問には回答し、また真剣に取り組んでいるトレーダーからの質問にもeメールで回答するようにしている。アンドレア、ダミール、パスカルに出会ったのも、これがきっかけだった)。
私たちは共に旅に乗り出している。私は本書の完成に1年以上かかり、またトレーダーたちは現在のレベルに達するのに数年間を費やしてきた。急がず慌てず、時間かけて本書の内容をメモにとり、チャートを研究してほしい。集中して読めば読むほど、そこから得られるものも多いはずだ。
自分のトレードを紹介するとき、たいていの人は、成功例については特に魅力的なものを、失敗例については比較的単純なものを選んで話そうとする。しかし私が思うに、成功したトレードというのは見た目ほど素晴らしいものではなく、また失敗したトレードというのは実際にはもっと悪いことが多い。自分が想像するよりも、成功のチャンスは遠くにあり、失敗のリスクは近くにあるのだ。自動車メーカーがサイドミラーに書いておく警告とは逆のセリフがあてはまる。「サイドミラーに映っている物体は、実際にはもっと遠くにある」のだ。
本書で紹介するトレーダーのなかにはすでに有名な人もいるが、ほとんどはあまり知られていない。私はほぼ全員を数年前から知っており、そのうちの何人かは、マネーマネジャーやアナリストとして今後優れた才能を発揮するだろう。しかし一方で、16人すべてが成功し続ける可能性は低いだろう。マーケットは過酷であり、失敗は避けられない。本書は彼らの生涯を無条件に保証するものではないということを、覚えておいてほしい。 もうひとつ、私のコメントについても警告しておく。それぞれのトレードについて、プラス面とマイナス面、長所と短所を述べている。しかし注意してもらいたいのは、すべてのコメントは事後に書いたものだということだ。つまりトレードが終了してから意見を述べている。事後にはだれでも賢くなる。将来について賢明な判断をするのは難しい。あとになって評価するのは限りなく有利だ。
チャートの途中で好機を見つけるのはたやすいが、右端に行けば行くほどマーケットは混乱してくる。戦いのあとに戦場を調査することと、(軍事歴史学者のジョン・キーガンが「戦争の霧」と呼んでいるように)戦いの真っ最中に判断を下すことはまったく違う。そういうわけで、トレードの最中にはこのように明快にコメントするのは難しいだろう。
自分の考えを明快にするには、トレードの記録をつけておく必要がある。トレードを始めたら日誌にそれを記入し、チャートを貼り、シグナルを書き入れ、買いか売りかを判断した理由を書いておく。トレードを手仕舞ったら新しいチャートを貼り、シグナルを書き入れ、手仕舞いの理由を書き、プラス面とマイナス面を分析する。その日誌がこの本並みに厚くなったときには、皆さんはトレーダーとして成功する道を着実に歩んでいることだろう。
会議で話すことで何百人ものトレーダーに会うことができ、その多くは私のクラスを何度も受けてくれた。やがて私は、トレーダーのレベルによって、ワークショップから学ぼうとする内容が大きく異なることに気がついた。何十人ものトレーダーが肩を並べて座り、同じ話を聞いているのだが、彼らの関心事はさまざまである。
初級者は面白そうなヒントを奪うようにして集め、条件に合った銘柄コードを書き留める。良いヒントが得られることも少なくない。問題は、しばらくするとこれらのヒントが使い果たされてしまうことである。その後、どうなってしまうのだろうか? 中級者は指標や変数について質問し、スクリーンに映し出された数字を見ようと首を伸ばす。「魔法の数字などない、正確に設定を決めることはたいして重要ではない」と話すと、怪訝な顔をする。上級者は後ろのほうに座ってじっくり眺め、ときどきメモをとる。このクラスに参加して最も重視しているのは、プロのトレーダーがスクリーンの前で実際に判断を下すのを見て、その根拠の説明を聞くことなのだそうだ。
こういった意見を参考にして、私はプレゼンテーションの献立を考える。講義は少なく、意見交換に多くの時間をかけるように心がけている。この方法は、本書にも受け継いでいる。講義をできるだけ少なくして、その分、プロの意思決定方法を伝えたいと思う。本書のトレーダーたちは豊富な情報を提供してくれているが、何を学ぶかは皆さん次第だ。
トレードで成功を収めるには、3つのM「Mind(理性)」「Method(手法)」「Money(マネーマネジメント)」に注目すべきだと考える。マインドとはトレードの心理、メソッドとはマーケットの分析方法と意思決定方法、そしてマネーとはリスクコントロールのことである。製鉄所で働くある人が、3Mを3B、つまり「Ball(度胸)」「Brain(頭脳)」「Bankroll(資金管理)」に置き換えて心がけていると話してくれた。3Mは三脚椅子の足ようなものだ。1つが欠けると、座っている人は椅子から転げ落ちてしまう。
初級者で、特に科学やエンジニアリングのバックグラウンドのあるトレーダーは、心理の重要性を過小評価しがちだ。机上でうまくいっていた手法が実践の段階になって失敗するのを体験し、その番狂わせに戸惑うことが多い(第8章を参照してもらいたい)。感情レベルが上がるにつれて知性のレベルが下がることを十分に理解する人が、生き残ることができる。これはトレードに限ったことではない。冷静沈着に落ち着いてトレードする必要があることを何時間もかけて皆さんに説明しても、実際にスクリーンを前にして価格が刻々と上下するのを見たら、5分もたたないうちにすっかり忘れてしまうだろう。冷静さを保ち、規律を失わないようにするには、日誌をつけるのが一番良い方法だ。その日の計画を書き出し、キーボードの横に貼っておき、それに従って行動する。そしてトレード中には、その予定を変更しないように気をつける。
ファンダメンタルズは長期的な経済動向を左右するものであり、それについて多少の知識は持ちたいと思うのだが、私の専門はテクニカル分析である。しかしいわゆる古典的なチャート分析とは異なる方法で取り組んでいる。というのも、従来のタイプはあまりに主観的であり、私はコンピューター分析した指標を使用するほうが好きなのだ。
テクニカルツールを選ぶとき、私は「少ないほど豊かだ」という信念に従っている。これは人生にも当てはまる。テクニカル分析のプログラムには、たいてい200以上の指標がある。どれもみな、始値、高値、安値、終値、出来高や取組高といった何てことないデータをもったいぶってさばく。私が考えた「5発の弾丸」ルールでは、指標の数を、旧式小銃に使う弾丸数と同じに制限している。私が好んで使用する指標は、2本の移動平均線、エンベロープ、MACD、MACDヒストグラム、そして勢力指数の5つである。これら5つの指標と、そのなかの2つを組み合わせたインパルスシステムについて簡単に説明しておこう。
もうひとつのメッセージは、「バリュー」トレードと「より愚かな愚か者の理論」トレードの違いを明確にしていることだ。移動平均線近辺で買い注文を入れた場合、それはバリュー買いである。移動平均線よりだいぶ上で買い注文を入れた人は、「私は愚か者だ、高く払いすぎた。だけど、これから先、もっと愚かな人が現れるかもしれない」という。しかしマーケットには愚か者は少なく、バリューより高い値で買い続ける人は長い目で見て利益を得るのは難しいだろう。幸運に見舞われることもあるかもしれないが、バリュー近辺で買うほうがずっと賢明な戦略だ。私は2つの指数平滑移動平均線(EMA)を好んで使用する。ひとつは長期、もうひとつは短期の合意価格を示す。そしてその間の部分を「バリューゾーン」と呼んでいる。
移動平均線にはいくつもの種類があるが、私はたいていEMAを使用する。EMAは直近のデータにウエートを置き、古いデータについてはそれほど敏感ではない。本書でインタビューしたトレーダーのなかには単純移動平均線を十分に使いこなしている人もいるが、私はEMAしか使用しない。
チャネルにはいくつかの種類があり、私のお気に入りのチャネルはエンベロープである。これはEMAの上下にある線で、いずれもEMAに平行している。形の良いチャネルは仕立ての良いシャツのようであり、胴体部分の価格をうまく包み込み、首や袖に当たる極端な価格が突き出ている。アマチュアのトレーダーはブレイクアウトで買いがちだが、プロは下のチャネル線付近で買い、上のチャネル線近辺で売る機会を狙う。
「ボリンジャーバンド」と呼ばれる標準偏差チャネルを好むトレーダーもいる。マーケットのボラティリティに反応してその幅は拡大したり縮小したりする。ただしボラティリティはオプションの重要な要素であるため、ボリンジャーバンドはオプションのトレーダーには有効な方法といえるが、株式、先物、外国為替のトレードをする場合には純粋なエンベロープを利用するほうが賢明だ。
MACDヒストグラムは、2本のMACDの差をプロットして強気と弱気のパワーを測る。その差が広がれば、優勢のグループのパワーがさらに強くなり、その流れに沿ってトレードするのに適した時期だと考えられる。MACDヒストグラムと価格の高値・安値でダイバージェンスが現れたら、おそらくテクニカル分析で最強のシグナルだといえよう。
MACDとMACDヒストグラムは、3つのEMAから導き出す。アペルは12日、26日、9日移動平均を使用している。この3つは、多くのトレードソフトウエアのデフォルト設定となっており、本書でもこの3つを使用している。
皆さんはどの期間を使用すべきだろうか? ほかの人と同じものを使用したければ12日、26日、9日がよいだろう。大衆とは本来無精であるため、デフォルトを使うものである。もちろん早い指標や遅い設定を使ってもかまわない。シグナルを大衆より早く得たいか遅く得たいかによって、それは異なる。じっくり考え、さまざまな値を試してもよいし、デフォルトを使用してもよいだろう。
コンピューターを使いこなす前は手で勢力指数を計算しており、シグナルを見つけたときの感動は今でも忘れることはできない。こんなトレーダーはいないだろう。この指標を私の最初の著書に載せるべきかどうか、ずいぶん悩んだものだった。私が『投資苑』を捧げた友人のルー・テイラーは、この指標について書くように勧めてくれた。そのアドバイスには今でも感謝している。『投資苑』の発行以来、この指標は十分な働きを見せている。
キャンプ参加者のなかにジョン・ブランズという優秀なプログラマーがいて、いくつかの人気ソフトウエア向けにインパルスシステムをプログラムに組み込み、インパルスシステムに従って各バーを色分けした。EMAとMACDヒストグラムが同時に上昇すると、マーケットも上昇に向かい、バーの色は緑になる。両方が下降すると弱気が支配して、バーの色は赤になる。両方の指標が逆の動きをすると、バーは青になる。
当初は、自動トレード手法としてインパルスシステムを使用しようとしたが、「検閲」システムとして最も役立つことを発見した。インパルスが緑のときは買いか見送りで、売りのタイミングではない。インパルスが赤のときは売りか見送りで、買いのタイミングではない。インパルスの緑がなくなるまでは売りを控え、赤がなくなるまでは買いを控えるのだ。
条件付き書式で色分けができないプログラムもあるかもしれないが、EMAとMACDヒストグラムの傾きで判断することができる。色分けをするととても分かりやすいので、私のチャートでは常にインパルスを色分けしている。
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