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足立武志


公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェカー取締役 1975年生まれ 神奈川県出身
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情 報の提供に努めている。主な著書に、『知識ゼロからの経営分析入門』(幻冬舎)ほか多数

足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」

決算発表が株価の波乱を生む

01月27日
いよいよ、今週(1月28日からの週)より、3月決算企業の第三四半期(2007年4月〜12月)の決算発表が本格化します。
決算発表では、市場参加者の予想と大きくかけ離れた決算結果が発表されたり、通期の業績予測の上方・または下方修正が同時に発表されるため、これをきっかけとして株価が大きくブレることが多くなります。

そして、最近の傾向として、決算の結果が市場参加者予測に比べて少しでも悪かったり、通期業績予測が少しでも下方修正された場合、株価が急落することが増えたように感じます。
実際、昨年11月の中間決算発表時も、通期の業績予測を、期初の予測値から少し下方修正しただけなのに、株価がストップ安にまで売り込まれた銘柄が目につきました。
おそらく、ヘッジファンドなどが、決算発表という「イベント」に乗じて売り仕掛けを行っていることが原因の1つなのではないかと推測されます。

業績が予測より悪化したり、通期業績の下方修正を行う企業の株価は、不思議と決算発表の前の段階から弱い動きをしている場合が多いものです。特に、他の銘柄の株価が反発しているにもかかわらず、その銘柄だけ反発力が弱い、という場合は要注意でしょう。

また、決算発表の結果、業績が良かったからといって、必ずしも買われるわけではありません。逆に、業績の悪化が決算発表により明らかになっても、「悪材料出尽くし」となり株価が買われることもよくあります。つまり、決算発表の数字が明らかになった後、株価がどのような反応を見せるかどうかは、予測できないのです。

したがって、特に新規買いを検討している場合は、決算発表により株価が大きく動くリスクがあることを念頭に入れた上で投資すべきです。場合によっては、決算発表前の銘柄への投資は控え、決算発表後の株価の反応を見ながら、投資するかどうか検討する、という戦略も有効になります。

個人的には、好業績を発表したのに株価が下落した場合は要注意、逆に、発表した業績が悪かったのに株価が上昇した場合は買いのチャンス、ととらえています。
新たなリスク要因として気にせざるを得なくなった四半期ごとの決算発表。あまり無理をした投資は避け、大きな痛手を負わずに乗り切れるようにしたいですね。
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「下げ」を歓迎できる投資家になろう

01月22日
1月16日のコラムで、日本株の「陰の極」接近の可能性について書きました。しかしながらその後も下げ続け、本日(1月22日)には日経平均株価は750円も下落し終値は12,573円となりました。
昨年7月の高値から、日経平均株価は半年で5,500円も下落し、下落率は約30%に達しました。個別銘柄でみればもっと悲惨で、半年で半値は当たり前、70%以上下落した銘柄もあります。
本日などは、かなりの投げ売りが発生したでしょうし、日本だけでなく、インド、中国市場でも投資家のパニック売りが株価の大幅下落を加速させました。

しかし、株式投資で生き残るためには、パニック売りを避けることが必要不可欠です。
パニック売りの原因は、色々と考えられますが、根本的には「無理をした投資」をしていることが一番の理由です。
例えば、投資に使える資金いっぱいに株を買っていたら、株価が暴落すれば怖くなって投げ売りしてしまうでしょう。持ち株を担保に信用取引などもプラスして投資していたら、目も当てられません。株価下落によって担保価値が低下して追証(追加の証拠金差し入れ)が発生しても、入金することができず、泣く泣く含み損をかかえた持ち株を売却して強制決済させられた個人投資家が、今回の下落で相当数発生したと聞きます。

確かに、多少無理を承知で資金枠いっぱい買えば、うまくいったときはかなりの利益が得られます。それに信用取引を加えればなおさらです。
でも、思惑が外れて株価が下がり続けたとしたら、当然ながらかなりの損失を被ることになります。

株式投資を続けていると想定外の株価下落に必ず見舞われます。リスク覚悟で大儲けを狙い、資金枠いっぱいに買うのか、もしもの暴落に備えて、ある程度資金を温存しておくのかは皆さんの考え方次第です。ただ、筆者の個人的な経験からいえば、後者の方法のほうが株式投資で長く生き残ることができるタイプです。
いつ何が起こるか分からない株式投資の世界です。あまり欲張らずに資金の余裕を持って投資することが、心の余裕も生みます。今回のような悲惨な下げ相場でも、クールな気持ちで「安く買えるチャンス」と思える、そんな投資家を目指しましょう。
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日本株は「陰の極」接近か?

01月16日
本日(1月16日)の日本株は大幅に続落し、東証1部の年初来安値銘柄(=2007年初め以降での安値となった銘柄)は1,165と、史上最高となりました。
アメリカのサブプライムローン問題がらみの景気減速懸念に加えて、円高進行、リスク限定型ファンドのノックイン価格を狙った仕掛け売り、個人投資家の信用取引の追証にからむ投げ売り、そして日本経済自体の景気悪化懸念と、悪材料には事欠きません。

しかし、いつまでも下げ続けることもないのが株式相場であり、悪材料もかなり今回の株価下落で織り込まれていることでしょう。
実際、各種指標からは、日経平均株価採用銘柄のPERが約15倍と歴史的な低水準に達しているほか、25日移動平均騰落レシオも60%割れ、松井証券での信用取引評価損率はマイナス29%にまで悪化しています。

当然、下げ相場に買い向かうことには相応のリスクも同時に抱えることになりますが、成功したときのリターンは大きいものになります。

冒頭でも書いたとおり、東証1部の年初来安値銘柄が1,165にも達していることから分かるように、日本株は業績に関わらず全て売られている状況です。こんなときは、業績が好調である銘柄を安く買うことができる絶好のチャンスとなり得ます。
年初来安値にとどまらず、何年ぶりかの安値水準にまで下落している銘柄も多く、中長期投資をおこなう個人投資家にとっても、チャンス到来といえます。

もちろん、いくら株価が安くなったといっても、どこまで下がるかは分かりません。株価の下落が止まったことを確認してから買いをいれ、さらに損切り水準を設定した上で損切りを実行する、この2つを守りさえすれば、それほど大きなリスクを取らずに高いリターンを目指すことができます。損切り水準は色々考え方があるでしょうが、私であれば直近安値を割り込んだ場合に損切り、とします。

とりあえずは、今度の休日あたりを、買い銘柄候補を選ぶための時間に費やしてもいいのではないでしょうか。
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日経平均「ノックイン」の恐怖

01月14日
先週土曜日の日経新聞にも記事が出ていましたが、「リスク限定・軽減型投資信託」のノックイン価格を日経平均株価が下回るケースが出始めました。
「リスク限定・軽減型投資信託」の中身についてのご説明は次回にしたいと思いますが、この投資信託、「リスク限定・軽減型」とは名ばかりで、得られるリターンと比較してリスクがかなり高いものになっています。

この「リスク限定・軽減型投資信託」、ITバブルのころ、別の名前で販売されていたことはご存知でしょうか。当時は、「日経平均リンク債」というものでした。
「リスク限定・軽減型投資信託」の仕組みは「日経平均リンク債」とほぼ同じです。日経平均株価が一定期間内に一度でも当初定められた価格以下になった場合、元本割れとなる可能性が生じる、というものです。
しかし、日経平均リンク債の多くが何十%もの元本割れに陥ったことで、投資家の間で、非常にリスクの高い危険な商品であることが知れ渡ってしまいました。そのため、「リスク限定・軽減型投資信託」に名前を変えて、再び登場したのです。

このリスク限定・軽減型投資信託では、その仕組み上、ノックイン価格を下回ると株価の下落を加速させる要因となります。そのため、投資家の中には、ノックイン価格をターゲットにして日経平均先物の売り仕掛けをおこない、日経平均株価の下落を加速させて利益を得ようという者もいるようです。

ITバブル崩壊後も、日経平均リンク債のノックイン価格にヒットさせるためと思われる売り仕掛けを一因として、株価が大きく下がりました。
歴史は繰り返すものです。ノックインの価格帯に日経平均株価が突入したからには、新規買いは慎重にいきたいものです。ただでさえ下げ相場の途中なのです。よほど腕に自身がある方でなければ、嵐の中に飛び込んで買うより、嵐が過ぎ去るのを待ってから買い出動するほうがはるかに安全でしょう。
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