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足立武志


公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェカー取締役 1975年生まれ 神奈川県出身
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情 報の提供に努めている。主な著書に、『知識ゼロからの経営分析入門』(幻冬舎)ほか多数

足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」

下げない日経平均株価と下げ続ける個別銘柄

09月27日
日経平均株価の先週末(9/25)の終値は、10,265円98銭でした。8月以降約2ヶ月にわたり、日経平均株価は高値10,767円、安値10,142円という狭いレンジでの高値持ち合い相場が続いています。

しかし、多くの個人投資家にとっては、高値持ち合い相場などとんでもなく、「ひどい下げ相場」というのが実感ではないでしょうか。

それもそのはず、非常に多くの銘柄が、日経平均株価が8月に10,767円の高値をつけたときにも6月前後の高値を超えられないばかりか、大手銀行株をはじめ多くの銘柄が、日経平均株価が7月に9,050円の安値をつけたときの株価をいともあっさりと下回っているのです。体感的には、日経平均株価9,000円割れといっても言い過ぎではないはずです。

日経平均株価は、値がさ株の影響を強く受けます。日経平均株価が高値持ち合いをしている大きな理由は、アドバンテスト、東京エレクトロンなどの、一握りの日経平均株価採用銘柄の非常に強い値動きにより下支えされている、というのが真実なのです。それ以外の大多数の銘柄の株価は明らかな下降トレンドを描いています。
このことは、東証1部上場の全銘柄を対象とした指数であるTOPIXが、8月以降の高値持ち合いを下方にブレイクしていることからも明らかです。

日経平均株価だけに注目したニュースや新聞等の解説では、「日本株は底堅い動き」とか「下値不安は乏しい」などと全く見当違いな専門家のコメントが載っていますが、そんな悠長なコメントを鵜呑みにしていると、たちまち含み損が膨らみ、身動きが取れなくなってしまいかねません。

現に、個別銘柄の中には悲惨な下げ方をしているものも多く出現しており、筆者の周りにも損切りをためらったばかりに、わずか2ヶ月で買値から株価が3分の1以下に下がり、多額の含み損を抱えてしまった個人投資家がいます。

たとえ日経平均株価が上昇し続けようが、自分の持ち株が下げて、損切りが必要になったのならば、損切りを実行して株価の下げ止まりを待つべきです。
過去、2000年のITバブルのときには、日経平均株価と一握りのIT関連株が果てしなく上昇していく一方、ITとは無縁の多くの中低位株はとことん売り込まれました。
日経平均株価の値動きに惑わされず、常に持ち株の株価チェックと損切りの実行は怠らないようにしておきたいものです。

確かに東証1部の25日騰落レシオがかなり低い水準にまで下がっていることなど、売られすぎの感もあります。相応の反発もあるかも知れません。しかし、損切りをしっかりと実行することと、株価が下がっている途中の銘柄を安易に買わないようにすることが、今の「実質的下げ相場」で大ケガをしないためには重要なのではないかと筆者は考えています。
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