足立武志
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公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェカー取締役 1975年生まれ 神奈川県出身
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活
動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情
報の提供に努めている。主な著書に、『知識ゼロからの経営分析入門』(幻冬舎)ほか多数
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足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」
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楽天の株価にみる変化の兆し 02月24日
先週の月曜日(2月18日)、楽天(4755)の株価がストップ高まで上昇しました。その後も、先週いっぱい堅調な動きが続きました。
2月15日に発表された楽天の2007年12月期連結決算は、営業利益、経常利益がともに大きく減益となりました。にもかかわらず、翌週月曜日の株価がストップ高まで買われたのは、「良い方向での変化の兆し」といえます。
1月下旬以降、3月決算の企業の第三四半期決算発表が本格化しました。そこでは、業績好調でも事前予測より少しでも悪ければ株価が売られ、業績の下方修正をしたとなれば、何日もストップ安になる、そんな悲惨な状況でした。
しかし、今回の、営業利益・経常利益とも大幅減益の楽天の決算発表を受けて、逆にストップ高にまで買われたという事実は、悪材料に打たれ強くなりつつある、株式市場のセンチメントの変化です。そして、楽天が決算発表と同時に発表した2008年12月期の大幅増益見通しを素直に好感したともいえます。
これまで、各企業が、来期の業績見通しが好調であると発表しても、投資家はそれに懐疑的でした。しかし、楽天の2008年12月期の業績見通しに株価がプラスの反応を示したことからも、悲観一色であった投資家心理の改善が少しずつ進んでいるものと期待できます。
もちろん、未だに安値更新をしている銘柄も散見される中、まだまだ予断は許しません。でも、段々と、下落相場の終焉に向けて光が見えてきた感じがします。
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東芝のHD-DVD撤退 02月19日
昨日、次世代DVD規格を「ブルーレイ」陣営と争っていた東芝が、「HD-DVD」からの撤退を表明しました。これを受けて、東芝の株価は上昇しました。
HD-DVDからの撤退が、株価上昇の原因とすれば、投資家の多くは、東芝は次世代DVD規格争いで勝てないと、すでに思っていたことになります。
企業、特に上場企業は、さらなる成長を目指すため、様々な事業を展開していく必要があります。しかしながら、新規事業にはリスクもあり、当然、うまくいかないこともあります。そんなとき、いかに見切りをつけて早く撤退できるかどうかも、経営者の手腕として問われてくるのです。
昨年の年末、リニア新幹線の建設を発表したJR東海の株価が急落した話を書きました。これは、投資家がリニア新幹線建設に拒否反応を起こした表れです。
投資家は、経営者が思っている以上に、投資先の企業がおこなう新規事業の成否を正確に予測できているのかもしれません。
もちろん、ITバブルのときのように、投資家自身も熱狂の渦に巻き込まれてしまえば、ネット関連の子会社を設立しただけでその企業の株価が3倍、5倍と上昇する、といった「過ち」もおかしてしまいます。しかし、通常は、株価は、企業が社運を賭けて取り組んでいる事業の成否を表しているといえます。
東芝がいつまでもHD-DVDにこだわり続けていたら、株価は、HD-DVDからの撤退を促すように大きく下落したかもしれません。今後の東芝の株価の動きは分かりませんが、少なくとも、現時点では、東芝の経営者の下した決断は、投資家に支持されたのです。
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投資の世界を甘く見ない 02月17日
先日、広島県でスキーヤーが遭難しました。無事に発見されましたが、会見で「雪山を甘く見ていた」と語りました。自然を甘く見ると痛い目にあうということを、改めて実感しました。
同じことは、株式投資・資産運用の世界にもいえます。株式投資や資産運用を甘く見ていると、将来、取り返しのつかないようなダメージを受けることになります。
株式投資では、つい欲が出てしまい、「もっと儲けてやろう」と無理をしてしまう個人投資家が多いものです。しかし、この欲を自分自身でセーブしなければ、いつかは大きくやられてしまいます。
株式投資での失敗とは、一言で言えば「大損をすること」(含み損も含む)です。したがって、どんなときに大損をしてしまうかをあらかじめ把握しておけば、それを回避することが可能です。
大損をする可能性があるのは、投資に回すことができる資金の大部分、あるいは信用取引を利用してそれ以上の資金を実際に投資している場合です。
こうすれば、首尾よく株価が上昇すれば、より多くの利益を得ることができますが、逆に株価が大きく下落した場合は、大きな損失が発生してしまうことになります。
そもそも、資金枠いっぱいに投資すること自体が、株式投資を甘く見ている証拠であり、株式投資の恐ろしさを知っている個人投資家は、決して資金枠いっぱいには投資しません。百歩譲って、資金枠いっぱいに勝負に行っても、ダメだと思ったら撤退し、決して塩漬け株は作らないのです。
最後に生き残れるのは、資金枠いっぱいに投資して大勝ちを目指す投資家ではなく、資金に常に余裕を残し、そこそこの利益でよしとする投資家なのです。
繰り返しますが、株式相場は甘くありません。大勝ちを狙うのではなく、大負けを防ぐ、そんな投資スタイルを確立するようにしましょう。
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「先行銘柄」を見つけよう 02月11日
日本の株式市場は、日経平均株価が一時13,000円を割り込むなど、再び不穏な空気に覆われ始めてきました。
筆者は新日鉄や住金の株価の動きに注目してきました。なぜなら、1月下旬に日経平均株価が12,500円台まで下落して、非常に多くの銘柄が昨年来安値を更新したときも、新日鉄や住金は、昨年11月につけた安値を下回ることなく踏みとどまったからです。
株価の動きは、全ての銘柄が同じ、ということは決してありません。多くの銘柄に先行する動きを見せる銘柄、というのがあります。
今回、新日鉄と住金に注目したのは、他の多くの銘柄よりも、先行して11月に底を打った可能性がある、と思ったからです。
つまり、2月以降の新日鉄や住金の動きが堅調であったとしたならば、他の多くの銘柄も、1月下旬の安値で底を打った、と判断することができたのです。
しかし、残念ながら、新日鉄、住金とも、先週になり、昨年11月の安値を下回ってしまいました。これで、「新日鉄、住金が11月に底を打った」という仮説は崩れました。
新日鉄や住金の先週の底割れの動きは、非常に嫌なサインです。先行銘柄である新日鉄や住金が底割れしたということは、他の銘柄もまだ底打ちしておらず、さらなる下落の恐れが高い、ということを表しているからです。
今週以降、個別銘柄だけにとどまらず、日経平均株価やTOPIXも、底割れの動きを覚悟しなければならない場面がくるかもしれません。
それでも、個別銘柄の中には、底割れせずに堅調な動きをみせる「先行銘柄」があるはずです。これを、株式市場全体や、他の個別銘柄の将来の値動きの予測に用いるのです。
例えば、「先行銘柄」が底打ち後、堅調な値動きで株価が上昇基調に転じてきたら、まだあまり上昇していない「その他大勢の銘柄」への新規投資を検討してみる、といったような活用法もその1つです。
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あえて「行動する」という選択 02月03日
前回のブログで書いたように、決算発表で株価は大荒れになっています。例えば、中外製薬は、来期業績見通しが今期より大幅に悪化するという予測を発表したことで、発表前の1,705円からたった2日間で1,205円まで急落しています。やはり、過度のリスクを取りたくない投資家は、決算発表が迫った銘柄の新規買いは控えた方が無難といえるでしょう。
ところで、今日は関東地方は、都心部を含めて久しぶりの積雪となりました。
私は、本日自動車免許の更新に行ったのですが、大雪ということもあり、会場は非常にすいていました。並ぶことも全くなく、会場到着から1時間で新しい免許証をもらうことができました。
みんなが外出を控えるであろう「大雪」の日に、あえて出向いたからこそ、スムーズな免許更新ができたというわけです。
多少強引な前振りかも知れませんでしたが、株式投資でも、「あえて今買う」という選択肢があります。
個人的には、今の日本株は、確かに株価は安くなっているものの、株価の動きがどうも不安定に思えることから、基本的には無理をせず様子見のスタンスを取っています。
しかし、優良銘柄を安く買える今だからこそ、リスクを承知で買い向かっていく、そんなやり方もあるのです。うまくいえば、結果的には歴史的な底値で大量に買うことができた、そんなことも十分にあり得ます。
ただし、注意しなければならないのは、失敗したときは損切りなどの対処を早急に行う必要があるということです。実際、昨年8月や11月の株価急落の際には、個人投資家が買い向かいましたが、今年1月の急落時は、個人投資家の積極的な買いはあまりみられなかったようです。8月や11月に買い向かった個人投資家は、結果的に「底値」を見誤ったため、資金が足りなくなってしまったのでしょう。
銘柄によっては歴史的な安値水準にまで株価が下落しているものもあります。失敗したときの素早い損切りさえ徹底すれば、ほとんどの投資家が恐ろしくて買えない状況であえて買う、という行動は、最終的にはその勇気に値するだけのリターンとなって帰ってくるはずです。
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