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小畑崇弘
小畑崇弘の「海外ETFブログ」



東京大学文学部卒業。
金融商品企画やアルゴリズム運用手法の構築などを経て、
現在は世界のETF動向調査やその他様々な金融関連の情報配信・セミナー等を行う。
著書に『海外ETF投資入門 ヘッジファンドを自分でつくる』、DVDに『DVD 海外ETF投資入門 様々な相場局面に対応するために』がある。

著者管理サイトグローバルETFインサイト

ETFブログ −世界鏡−

売買手数料無料化の効果

06月28日
今月18日からカブドットコム証券が、グループ会社が運営するETFの一部の銘柄の売買手数料を無料とするサービスを始めています。詳細は以下をご参照ください。

「フリーETF(特定のETFの売買手数料を無料とするサービス)」の提供開始

http://kabu.com/company/pressrelease/2010/20100617.asp

サービス開始から一週間で手数料無料化の効果が出ているのか、当該銘柄の直近三週間における週ごとの平均売買代金を調べてみました。

銘柄名(コード) 6/7-6/11 6/14-6/18 6/21-6/25
MAXIS トピックス・コア30上場投信(1344) 1,815,340 1,522,016 2,237,516
MAXIS 日経225上場投信(1346) 281,514,360 192,253,976 388,975,842
MAXIS トピックス上場投信(1348) 62,421,230 16,161,716 100,443,994

14日〜18日の週は市場全体で売買が低調だったので比較しづらいですが、そこそこ売買がされていた7日〜11日までの週と比べても先週の平均売買代金は大きく増加しています。早速、手数料無料の効果が出ているのかもしれません。
ただ、先週は21日の売買高が大きく膨らんだことで週の平均売買代金を押し上げている事情もあるため、サービスの効果が出ているのかを判断するにはもう少し時間が経つのを待つ必要がありそうです。

今回カブドットコム証券が導入したETFの売買手数料無料化ですが、米国では半年以上前から各社が提供を始めています。手数料無料化の効果がどの程度あるのか調べるためには米国の事例が参考になるかもしれません。

米国ではCharles Schwabを皮切りにFidelityやVanguardなどがコミッションフリーのサービスを導入していますが、一番調べやすそうなFidelityの事例をみてみたいと思います。Fidelityでは今年の2月3日から iShares ETF 25銘柄の売買手数料を無料としました。
そこでサービス導入前後の数週間における当該25銘柄の週ごとの売買高合計とETF全体の売買高合計を比べてみました。その結果、全体に対する当該25銘柄の売買高合計の比率は下のような推移になりました。

1/4 1/11 1/18 1/25 手数料 2/8 2/15 2/22 3/1
12.46% 11.40% 11.45% 11.84% 無料化 11.83% 11.86% 12.80% 14.03%
3/8 3/15 3/22 3/29 4/5 4/12 4/19 4/26
12.98% 12.95% 12.33% 13.53% 12.81% 11.67% 11.92% 12.65%

サービス導入から二週間が過ぎた頃から比率が上昇しています。そして二ヵ月後にはサービス導入前の水準に戻っています。この数値だけから判断すると、手数料無料化は二ヶ月程度、当該銘柄の売買を押し上げるようです。

とは言え、この分析は乱暴なもので、市場環境や新規銘柄の上場、既存銘柄の売買停止などは考慮していません。またFidelityの市場シェアや預かり資産の増減なども勘案していません。なので、この結果はあくまで参考程度にしかなりませんが、それにしても、手数料無料化の効果が限定的だとすればサービス導入に勇み足となるのも致し方ないかもしれません。
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日経平均に引きずられる中国株ETFの売買価格

06月07日

今週も週明け直後から株価等は激しい値動きを見せています。それでも値動きの範囲は限られてきた気がしますが、まだまだ波乱もありそうです。

さて、ETFのプレミアムやディスカントの動きをETFインサイト(
http://etfinsight.jp/)に毎日掲載していますが、先週のデータを処理していて、中国株ETF二銘柄のうち上場パンダ(1322)はプレミアムが急拡大、上証50(1309)はほぼ横ばいとなっていたことに気付きました。連動対象指標が違うとはいえ、どちらも中国本土株で構成された指標であり類似したリターンを記録していることを考えると、この動きには違和感があります。

ひとまず、上場パンダのベンチマークであるCSI300と上証50の日次データ(2009年12月30日〜2010年6月4日)で相関係数を計算してみたところ、0.99とほぼ同じ動きをしていることが確認できました。
次に両銘柄のベンチマークと日経平均の相関係数をみてみたところ
上場パンダ 0.63
上証50 0.59
となりました。上場パンダのベンチマークの方が、日経平均との連動性が若干高いようです。今度は両銘柄の取引価格と日経平均の相関を調べてみたところ
上場パンダ 0.68
上証50 0.62
という結果になりました。両銘柄もベンチマークよりも取引価格の方が日経平均と連動性が高くなっており、実際の売買が日本株式の動きに引きずられている可能性があることを示しています。(もちろん、取引終了時間とベンチマークの算出時間が違う点も考慮しないといけませんが。)特に、相関係数の上昇が大きい上場パンダの方がより国内株式の影響を受けていると言えるかもしれません。

上場パンダと上証50とで上記のような差がみられるのは何故でしょうか。一つの可能性としては投資家層の大小が考えられます。一日の売買単位株数でみると上証50は上場パンダの10倍近くあり、より多くの投資家に注目され、取引されていると言えます。そのため不合理な取引は是正され易いのかもしれません。

他にも色々と原因は考えられます。より詳細な分析が必要ですが、値動きの違いの原因が長期的に継続しそうであれば、この点を利用した売買手法が開発できるかもしれません。
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モーニングスターの海外ETFページ

06月02日

先週くらいから金融市場の値動きの荒さにも一服感が漂ってきましたが、まだまだ予断を許さないという感じがありますね。個人的には北朝鮮の次の一手を確認したいところです。円安の動きに期待しつつ、心配性なもので非常食や水を買いだめしてしまいました。潜水艇の攻撃で輸送が途絶える、なんてことはないんでしょうけど。

海外動向への関心が高まる一方で、海外ETF、特に国内証券会社を通して売買できる、海外取引所に上場するETFに対する関心は一時のピークから下降線を描いている気がします。その背景の一つに海外ETFに関する情報不足があると思います。その点を埋めるべく?モーニングスター社が海外ETFの情報配信ページを増強したようです。
現時点で掲載されている銘柄は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社のどれかを通して売買可能な、海外取引所に上場するETFです。米国上場ものだけでなく香港上場ものも掲載されています。投資対象資産の種類別にまとまっています。
項目としては、今のところ、管理報酬や分配頻度、販売会社などに限られていますが、7月からは各期間でのトータルリターンや業種配分、国別配分なども調べることが可能になる見込みです。レーティング情報も付くようです。まあ、これは不要だと思いますが。一方で取引価格やNAV、売買高などの売買情報はまだどうなるのか確認できません。

国内証券会社を経由した海外ETFの取引は下火になっている感がありますが、CFDを通した売買における情報ニーズもあることですし、配信情報の充実は望ましい動きです。

【参考】モーニングスター社「海外ETFのページ」

http://www.morningstar.co.jp/etf/foreign/index.html
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