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浅川夏樹
グローバル化時代の資産運用 ハッピーリタイアメントを目指して

銀座クラブホステス、会社経営者の顔を持つ個人投資家。多彩な経験を活かし「フジサンケイ ビジネスアイ 日曜版」「日経BPオンライン」「Futures Japan」に投資コラムを連載中。著書に『ETF 世界を舞台にした金融商品で資産運用』、『グローバル化時代の資産運用』(パンローリング)、『夜の銀座の資本論』(中公新書ラクレ)、『円が元に呑み込まれる日』(実業之日本社)などがある。

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浅川夏樹の「海外の気になる金融ニュース」

Inflation-Linked Bond– Time To Buy? :インフレ連動債

12月27日
今年は、運用成績は見たくないのですがロングポジションのポートフォリオは、債券を除いたどの指数のベンチマークよりも上回っており、配当を加味すれば1桁台のマイナスで収まっていますので分散投資と配当の効果を感じています。。

S&P 500 -37.66%
Goldman Sachs Commodities Index -38.27%
Credit Suisse High Yield II Index -30.09%
Citigroup World Government Bond Index 3.53%
Dow Jones World Index -44.97%
Dow Jones World Emerging Index -55.46%
Credit Suisse/Tremont Hedge Fund Index -19.04%

海外株式は、円高もあり、世界の時価総額50位の配当がいい企業をセクター別に追加購入中。日本企業は原子炉、プラント関連企業を追加購入。他、円高傾向だったので輸入品家具などのニトリも購入。

米国の配当利回りが高い企業100社 WisdomTree Dividend Top 100 (DTN) 配当利回り 6.47%
米国以外のグローバル企業 WisdomTree International Large Cap Dividend(DOL) 現在配当利回り 6.51%
*この2つのETFでセクター毎に競争力がある企業は殆ど購入できると思います。

コモディティは、ハードコモディティ(原油・金など)とソフトコモディティ(食糧)の価格に連動するファンドを積立しながら、原油価格がが100ドルを超えた辺りからショートETF Ultra Short Oil &Gasを購入。その後、Ultra Short DJ-AIG Crude Oil に変更し、原油が30ドル半ばになったらこのETFともお別れです。DB Agriculture Short ETNは継続して様子見。

債券ファンドは、PIMCO Total Return Fund を通じて不動産公社関連(MBS)を購入。米国債はあらゆる資産との逆相関にありますが

「米債は、世界でもっとも過大評価された資産で、次に来るものはないほどだ。現在のインフレ見通しを考慮すれば投資する正当性は見当たらない」(PIMCO ビル・グロス氏 2008/4/8 米CNBCのインタビュー)

この記事からインフレ連動債と社債の比率を増やしました。 現在のポートフォリオ

Inflation-Linked Bond– Time To Buy?

Lyxor ETF EuroMTS Inflation-Linked ユーロのインフレ連動債で運用規模大手
iShares $ TIPS 米国のインフレ連動債で運用規模大手
db x-trackers iBoxx Global Inflation-Linked グローバルインフレ連動債大手

インフレ連動債は配当利回りは低いですが購入理由は、マクロ経済学に従えば、国家債務が少ない時の不況はデフレになることが多く、国家債務が大きい時の不況は大規模なインフレになるか通貨安が起きるとの指摘があるからです。日本は債権国ですからデフレが続き、米国は債務国ですのでインフレを懸念しています。

わたしは、米政府の救済額は1桁足りないと思っています。シティ・グループだけでもオフバランスの資産は1兆ドルともいわれ、この中身は殆ど腐っているように思えますので債務はさらに大きくなるのではないでしょうか。

海外の運用アドバイザー及びポートフォリオマネージメントの担当者は、インフレ連動債をポートフォリオに組み込むアドバイスが多くなりました。下記はMornigstar UKのモデルポートフォリオを担当する Sue Stevens氏の提案例。

Preservation Portfolio (防衛型)- リタイアメントまでに10年以内で安眠したいのなら
株式 15%(大型株 10% / REIT 5%)
債券 60%(中期債 35%/インフレ連動債 20%/外国債券5%)
現金 25%

Conservative Portfolio(慎重型)リタイアメントまでに10年ぐらいあり、インフレに対応にするなら
株式 33%(大型株 15% /中型 8%/外国株 5%/ REIT 5%)
債券 55%(中期債 30%/インフレ連動債 20%/外国債券5%)
現金 12%

Balance Portfolio(バランス型)リタイアメントまでに15年以ぐらいあり、年3%のインフレに対応にするなら
株式 50%(大型株 10% /大型株ブレンド 10%/大型株成長企業 10%/中型株 10%/外国株 5%/ REIT 5%)
債券 45%(中期債 20%/インフレ連動債 15%/ハイ・イールド債 5% / 外国債券5%)
現金 5%

Growth Portfolio(成長型)リタイアメントまでに15年以ぐらいあり、年4%のインフレに対応にするなら
株式 60%(大型株 5% /大型株ブレンド 10%/大型株成長企業 10%/中型株 20%/外国株 10%/ REIT 5%)
債券 35%(中期債 15%/インフレ連動債 10%/ハイ・イールド債 5% / 外国債券5%)
現金 5%

Aggressive Portfolio(積極型)リタイアメントまでに20年以ぐらいあり、年金として考えるのなら
株式 75%(大型株 5% /大型株ブレンド 5%/大型株成長企業 12%/中型株 25%/外国株 15%/ REIT 10%)
債券 20%(中期債 5%/インフレ連動債 5%/ハイ・イールド債 5% / 外国債券5%)
現金 5%

どのポートフォリオにもインフレ連動債は組み入れられております。多分、日本の年金担当者は固定利回りにこだわるのでインフレ連動債はリスクが高いと思うかもしれません。
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UAE金融市場の回復と原油価格

12月24日
ZAWYA: UAE markets to improve if oil price rises in 2009

アル・ファジャー・セキュリティーズのエコノミック・アドバイザー、フマム・アルシャマ氏は、原油価格が見込み通り上昇すれば、アラブ首長国連邦(UAE)の金融市場が今後6カ月で大きく改善するとの見方を示した。

「原油価格が専門家の見方に従い2月にバレル当たり70ドルを付ければ、流動性の問題の大半が解消され経済成長を押し上げると述べた。同氏は、国内の金融市場が6カ月から1年の間に回復し、特にアブダビ市場を中心に安定的な動きを示すとし、この動きはすでに、幾分か回復している現状によって示されている」

同氏は、回復に必用な時期は4つの主要な要因にかかっているとし、「1番目は企業の債務処理にあるとし、経済全体を阻害することなく債務を返済すること。2番目の要因は、原油価格にある。原油価格は、政府歳出を補うにはほど遠い水準にまで下落しており、銀行や経済が必用としている流動性確保向けて政府が資金供給を可能なレベルにはない」とコメント。

*記事は4つの要因といいながら2つの材料しか書かれていません。。。。

原油価格がこれ以上下がるとロシアは30ドルぐらいで債権国から債務国へ転落するかもしれませんし、中東はすでに不動産バブルの崩壊が報道され、ロイターはサウジアラビアが2009年には財政赤字に転落することを報道しています。そうなると、中東のSWFが保有しているNYやロンドンの商業不動産を売却してくるかもしれませんので、景気後退はさらに深刻になるかもしれません。まだ、中東のSWFはNYの商業不動産をキャッチボールをする余裕はあるかもしれませんが、これ以上下がるとそんな余裕もなくなってしまいます。

現在、英国の商業不動産は賃料はまだ横ばいですが、空室率はわずかに上昇しています。英国の商業不動産へ投資するファンドは、銀行の貸し渋りもあり下落が続いて解約が延長されているものもあります。アジアでの不動産取引額(REIT、プロパティファンドを含む)は、米国や欧州ほど大きくありませんが、日本はアジアの取引の半分程度を占めますので影響は少なからずあると思います。

日本の銀行や保険会社の株式の含み損から保有する不動産のバルクセールの買い手は中国ぐらいかもしれません。先進諸国の企業は中国の経済成長と環境問題を支え、中国に世界の資産を買い支えてもらうようになるのでしょうか・・
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Fox Business : ヘッジファンド清算数 過去最高を記録

12月23日
Hedge Fund Liquidations Accelerate

ヘッジファンド・リサーチ社(HFR)の調査によれば、第3・四半期に清算されたヘッジファンドは344社に達し、2008年の総生産数は693社となり、業界全体の6.9%に相当。このままのペースでいけば、今年の清算数は920社となり、2007年の563社を大きく上回ることになる。

第3・四半期にローチンされた新規ファンドは117本で、1996年に統計をとってから初めて新規設定数が清算数を下回ったそうです。

HFR社のケニー・ハインツ社長は「ヘッジファンド業界が構造的な再編を迎えており、これは金融業界全体の動きを反映したものである」と述べ、資産価格が乱高下する一方でる流動性が減少する状況が悪化し、投資家と運用機関にとっても厳しい環境が続いている。

今年は突然の空売り規制もあり、金融と商品の先物で運用するマネージド・フューチャーズ以外は悲惨な年でした。

Tremont Hedge Fund Index VS Blue Chip Index

Tremont Hedge Fund Index 年初来 -19.04%
S&P500 年初来 -37.66%
Dow Jones World Emerging Index 年初来 -55.46%
Japan Index 年初来 -55.02%

日本はエマージング諸国並に悲惨ですが、ヘッジファンドもボラティリティを抑えた運用と破綻が背中合わせというのも怖いです。
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元ナスダック会長の500億ドル詐欺事件 被害にあった金融機関

12月17日
Market Watch

AXA: 1億ユーロ未満
Banco Bilbao Vizcaya Argentina :3億ユーロ
Banco Esupanol de Credito : 200万ユーロ
Barclays : 少額
Clal Insurance Enterprises Holdings: 3億1000万ドル
CNP Assurances:FOFHを通じて 300万ユーロ
Credit Agricole : 1000万ユーロ未満
Dexia: プライベートバンクの顧客にファンドで 7.800万ユーロ投資、マドフ氏のファンドに一部担保融資を通じて総額 1億6400億ユーロ
EIM:2億3000万ユーロ
Fairfield Greenwich Group(FGG):「Fairfield Sentry」を通じて約75億ドル
Groupama: 1000万ユーロ未満
Harel Insurance Investment & Financial Services:5,500万シュケル
Man Group : 3億6000万ドル
Natixis:4億5000億ユーロ
Neue Private Bank :ヘッジファンドに約500万ドル
野村ホールディングス:275億円
Nordea: 4,800万ユーロ
Richmuth:3億2700万ドル
Royal Bank of Scotland Group:4億ドル
Societe Generals:1000万ユーロ未満
Hypowiss:5,000万ドル、顧客が1億ドルをファンドに投資
Uni Credit:7,500万ユーロ
Union Bancaire Privee:12億5000億ドル
Bank Santander:23億3000億ユーロ
BNP Paribas:3億5000万ユーロ
HSBC Holdings:約10億ドルの可能性
Banco Ropolare:最大で800万ユーロ

一昨日から海外のファンド会社及び運用アドバイザー会社から被害のエクスポージャー(投資残高)のお知らせが届くので目を通していますが、ファンド・オブ・ヘッジファンズやマルチストラテジータイプのヘッジファンドに組み入れられている可能性が高そうです。

クレディスイスのトレモント・ヘッジファンド指数の構成銘柄に問題の3本の「Kingate Global Fund 」「Fairfield Sentry」「Rye Investment Management」が関与しています。この問題の3本のファンドはいずれも株式マーケット・ニュートラル戦略のFOFHであるため、同指数は先週発表した プラス0.85%からマイナス40%と大きく下方修正しています。

トレモントの運用資産額は90億ドルであり、今回被害にあった3本のファンドの合計額33億ドル(Rye Investment Managementが31億ドル、その他2億ドル)サブプライムで格付け会社の信用が失墜し、今度はベンチマークがこの状況なので何を基準にすればいいのかわからない時代になりました。

海外のプライベートバンクの方に話を伺うと、マドフ(メードフ)証券に直接投資していたのはファンド・オブ・ヘッジファンズ、投資銀行、プライベートバンクなどで同証券会社のマネージド・アカウントで再委任をして取引していたので、投資家は自分の資金が投資されていたことを知らないそうです。

しかし、何より日本の金融機関でもあれだけヘッジファンドを販売していますが、リーマンの時と同じで投資家に対して迅速な状況説明及びカウンターバーティーリスクを伝えてこないことに驚きを感じます。某大手の金融機関のエコノミストに尋ねると「そもそも、この事件が自分の会社で販売している商品に関与しているかどうかさえ、わからないのではないか」と職業的な倫理観が欠けています。

日本の製造業であるグローバル企業の社会的責任投資は正規雇用ですが、日本の金融機関の社会的責任投資は日本国民の資産を守って増やす事だと思います。しかし、どちらもその責任を放棄しています。
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BARRON'S : A Ship-Shape Retirement 引退のための回復戦略ー最適な資産配分

12月16日
Macro Consulting Group, Mark Cortazzo氏のインタビュー

コルターゾ氏は
『投資家は引退計画の目標に向かって進んでいるか自問しなければならない。目標に向かう新しいルートを考える必要がある』

JUST HOW FAR HAS THE MARKET

ボストンカレッジ退職研究センター(?)のスティーブ氏は
「現在、最もリスクが高いのは下落した株式ポートフォリオから、利回りがわずか1%の国債へ投資している投資家である。インフレ調整後5%の年間リターンを得るのは株式2/3、債券1/3。これよりも低いリターンしか得ようとしないのであれば、年間の貯蓄率を23%増やすか2年半余計に働くかあるいは退職後の支出を減らすしかない」


配当利回りの運用で有名なウィズダムツリー社のジェレミー・シュワルツ氏によると
「過去50年間で初めて株式の配当利回りが10年国債の利回りを上回っている」

10年国債利回り:2.7%
S&P500構成銘柄の配当利回り:3.4%
WisdomTree Dividend Index:5.5% ← 米国の高配当銘柄に連動


同記事に『株式投資』の著者であるペンシルバニア大のジェレミー・シーゲル教授は

「株式において生み出される富の95%は株価の上昇ではなく、配当の再投資である」と述べております。

ウィズダムツリー社の各マーケットで運用されている同社ETFの配当利回りを見れば、日本企業の配当利回りはとても低いです。

また、世界の高配当利回りの企業へ投資されているWisdomTree International Dividend Top100 Fund(Code:DOO)の投資先企業に日本企業は殆ど入っていません。日本企業は世界から見ると配当利回りが低いので円高になると利益確定で売られやすくなってしまうのかもしれません。


=最適な資産配分は?=

「長期的なインフレに対処するためには少なくとも資産の半分を株式に配分すべきである」とBARRON'Sに書かれております。

100万ドルの資産がある投資家は 債券32%/株式48%/オルタナティブ20% の配分

債券の配分:50%を短期社債と国債、25%を外国債券、25%をインフレ連動債とハイイールド債
株式の配分:50%を米国株式、50%を外国株式
(*この配分は米国に居住する方向けなので日本人は日本株式を50%とするのが妥当)


1億円の資産がある人やこれ以上資産を殖やさなくてもいい(減らしたくない)人は債券は32%の比率なら、それ以下の資産やお金を増やしたい人は株式の比率をもっと多く持たなくてはならないのかもしれません。
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日本企業の展望 セミナーの感想

12月15日
12月13日(土)日本企業への投資
講師:I.O ウェルスアドバイザー 岡本和久氏/さわかみ投信 澤上篤人氏/ フィスコ日本株アナリスト 鈴木一之氏


<日本企業への投資について>

浅川:世界のグローバル企業ランキング30を見れば、日本はトヨタ自動車だけがランキングに入り、モノづくりに未来を託しているように見える。国際市場で戦うには、技術力は不可欠だが、販路とブランド力(認知度)と資金調達ができないと生き残れない。現在は資金調達が難しい状況なので、自己資金(企業の時価総額)の体力勝負になるのでは。海外のジャパンファンドやETFがどの日本企業を選んでいるのか、日本企業を選ぶ時に参考にしています。

澤上:日本企業は「技術力」「生産力」「インフラ力」がある。今は、企業の価値が割安なので、将来のために積極的に日本企業の株式を購入する。

鈴木:業績・財務で魅力的な企業
任天堂(7974)、コマツ(6301)、キヤノン(7751)、日本電産(6594)、HOYA〔7741)、テルモ(4543)

鈴木氏との対談はWITV でも放映 *先日のセミナーも編集後に放映予定


<売買のタイミング>

会場から「さわかみファンドは今、買い時ですか?」の質問に

澤上:我々(ファンド)は、タイミングで売買するが、個人投資家は分析が難しいので「積立」すればいい

岡本:底なんて過ぎて見ないとわからない。市場全体を応援するという気持ちでインデックスを何度かにわけて購入してみたらどうか

鈴木:景気動向のサイクルから判断すれば、買い時。これだけ下がっているので反発も大きい。

浅川:今、株式を購入するのなら、さらに下がる可能性も受け入れる覚悟や資金力が必要かもしれない。そうでない方はファンドを積立するのがいい。ファンドの積立はユニット数を増やすのが投資戦略なので今のように下向きカーブの時には有効だと思う。

1年以内に必要な資金:現金
1年〜5年以内に必要な資金:流動性を考えて先進国のグローバル企業の株式、債券
5年以上必要のない資金:エマージング諸国の株式ファンドの積立(欧米のファンド会社)


<回復について>

浅川:1929年の恐慌と現在の金融危機の比較チャートを見ると、100年に1度の危機ならまだ下落する可能性が高いように思える。

岡本:米国の住宅価格が下げ止まらないと難しい。2年ぐらいはかかるのではないか。日本企業はM&A、自社株買いの動きもあり、仕込み時期だと思う。


<海外のジャパン・ファンドの投資先>

海外のジャパン・ファンドは時価総額が大きい企業を除けば、成績のいいジャパン・ファンドが選ぶ日本企業は、ユニチャームのように中国での売り上げ比率が多いところを選んでいます。つまり最もチャンスな市場である中国の経済成長と環境問題を助けることができる先進国の企業に注目している。


<セミナーの感想>

現在が割安なのは理解するが、今は過去の経験則をあてはめて考えることができないことが起こっています。金融工学でリスクコントロールをして運用しているヘッジファンドの8割がマイナス運用というのは、そういうことだと思います。

この日経平均では銀行や保険会社は株式の含み損から来年早々不動産の投げ売りが始まってもおかしくありません。不動産価格が下がれば景気はもっと後退するので日経平均は6000円割れの可能性も想定しておこうと思っています。

いつ回復? という質問が多かったですが、回復というより欧米の金融からアジアへ金融がシフトする変革する時期に思えます。昆虫が幼虫から成虫になる過程において、蛹の時に臓器が一旦分解され、成虫への形態形成が行なわれるように、このような時期は時代に合わせた対応ができない企業は衰退ではなく突然死する可能性もあると思う。逆に大きく飛躍するチャンスを掴む企業もあると思う。


<エマージング諸国>

ウォン安で韓国ツアーがブームのようですが、対外債務が拡大し外貨準備が低水準の国や原油価格が30ドル台になるとベネゼエラ辺りも大変です。エマージング諸国が通貨危機を迎える可能性があることを 香港の運用アドバイザー会社のニュースレター では伝えています。高金利通貨は注意が引き続き必要だと思います。


セミナーの前日に『オンリー・イエスタディ』を読みかえしました。この本は、米国の1918年から1929年11月13日の株式市場の大暴落までの11年間について書かれております。"Only Yesterday(ほんの昨日のことのように)”この本は当時のウォール街の崩壊、フロリダの住宅バブルなどの状況をリアルタイムに書かれており、まるで今起きていることのようです。
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著名なショート専門のヘッジファンド・マネージャーのコメント

12月12日
Fleckenstein Shutting Down Short Hedge Fund:フレッケンスタイン氏 ショート戦略のファンド清算



現在、ヘッジファンドの手法では金融と商品の先物で投資するマネージド・フューチャーズ とショート・ポジション専門のヘッジファンドが年初来リターンがプラスです。

空売りで名高くのフレッケンスタイン氏は
「ショート専門はストレスが多く、3カ月前と比べて空売りの投資機会は縮小している」
と指摘し、ショート専門のヘッジファンドを清算することを発表。同氏のショート・バイアスのファンドは平均+31.5%のリターン。

フレッケンスタイン氏は、2009年はロング・ポジションを中心にリスクを分散した運用をするらしいです。ショート・ポジションもそろそろピークという見方もできなくありませんが、このような回復への期待が囁かれるようになってからさらに下がるのが相場というものなのかもしれません。


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原油価格の見通し - Business Intelligence

12月09日
Business Intelligence : Oil may crash below US$25, says Merrill Lynch (原油価格、バレル25ドルを割り込む可能性=メリルリンチ

「メリルリンチは世界的なリセッション(景気後退)が中国まで拡大すれば、来年は原油価格がバレル当たり25ドル以下に下落する可能性があり、非OPEC(原油輸出国機構)加盟国の大幅原産が必用になる。短期的には、銀行が引続き消費者と企業向けの信用を絞り込むことで、世界の石油需要の伸びは一段と制限される可能性が高い」

メリルは原油が100ドル前後で取引されていた10月には、メリルは50ドルまでの下げを予想していた。5日には43.46ドルで取引されていた。バレル25ドルを最後に割り込んだのは、2002年11月。


Gulf Base : GCC economic growth to slow to ‘3.6% next year’(09年のGCC経済成長率

「インスティテュート・オブ・インターナショナル・ファイナンス(IIF)は、湾岸諸国会議(GCC)の2009年経済成長率が3.6%となり、今年の推定5.7%から減速するとの見通しを示した。これは、原油価格の下落が要因という。IIFは、来年の原油価格をバレル当たり平均56ドルと見ている。アラブ首長国連邦(UAE)では、収支均衡の水準は36ドルという」


Hedge Fund Manager Calls for $20 Barrel of Oil

運用プロフェッショナルのジャッキー・メシェラニー氏は、米国の需要低迷が中国での成長を上回るペースで進んだ場合、2009年には原油価格がバレル当たり20ドルにまで下落する可能性があると指摘した。同氏は原油ショート(売り建て)によりすでに大きな利益を獲得しているが、今後も原油先物と一部のエネルギー関連銘柄のショート・ポジションを採り続けるとしている。

同氏の予想は、超弱気に見えるが、同氏は2008年7月にバレル50ドルの目標を掲げていた。この7月には、原油先物は3倍近い水準にまで上昇していた。同氏は、「(原油)価格は、上にも下方向にも過剰に動く傾向がある。最近の動きを考慮すれば、35ドルを付けたことから20ドルは一つの平均偏差の考え方で、20ドルは実際に長期的な適正価格だと考えている」と述べた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

GCCはまだ余裕がありそうですが、ベネズエラはこれ以上下がると破綻してしまいそうなので、チャベス氏がおとなしくしてくれることを願うばかりです。日本の商社も厳しいかもしれません・・

DB Crude Oil・S&P500 GS Crude・DJ-AIG Crude ・S&P500 との比較

PowerShares DB Oil Fund :直近1カ月-27.9%/3カ月-52.6%



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原子力ETFとリチウム電池

12月07日
The Economist: Barack Obama's team " So far, so very good

オバマ時期大統領の素早い閣僚選びはここまでのところは合格点という記事です。しかし、クリントン政権時代の焼き直しというイメージもあり”Change"が実現できるのかという意見もあります。ライバルであったヒラリーを国務長官に選んだことに関しては賛否両論ですが「知名度であるブランド力とエネルギーは当面の課題に多くの成果をあげることができるだろう」と書かれております。

オバマ氏は「代替エネルギーによって雇用創出を果たす」と選挙公約にもあり、当選からも原油価格が下がり、風力発電などの代替エネルギー関連企業のETF First Trust ISE Global Wind Energy Index Fund (Code:FAN) が値動きがあります。ヒラリーが国務長官に指名される噂がたった頃からは、原子力発電に関する企業(原子炉、核設備、関連するテクノロジー)に投資される The PowerShares Global Nuclear Energy Portfolio Fund (Code:PKN) も値動きがあり乱高下しております。

組み入れ企業を見ると、米国はスリーマイルの事故があったので原子炉関連は日本の東芝、三菱重工、日揮などが注目されているようです。次世代エネルギーは BlackRock New Energy Fund を積立投資しています。この分野はWorld Indexのベンチマークを若干上回っている状況です。

日本のトヨタがさえない動きをしているのは、トヨタの未来にGMをあてはめてしまう向きも多いようです。実際に現在の石油で走るエンジンはドル箱ですから、低燃費を目指しても完全な電気自動車に変えるのは難しそうです。先日、バフェット氏が投資した中国のBYDは、携帯電話電池では世界第2位のシェアでリチウム電池、ニッケル水素電池などを手がけていますが、近い日にプラグインで走る電気自動車を発表するそうです。

現在の投資は、積立投資は継続していますが、ビックスリーの行方とUBSの第4四半期の決算が気になります。GMが破産申請すれば社債市場に激震が走り、ヘッジファンドの多くがアービトラージで損害を被ります。UBSはスイスのGDPの4倍もの運用総額ですから業績が深刻であれば、スイスフランが売られ円が買われるかもしれないからです。

ともあれ、現在の金融危機は癌の出術中みたいなもので、開腹してみたらあっちこっちに癌が転移しており輸血が必要だという状況です。ドルの決済銀行であるJPモルガンとシティ・グループ、AIG、米財務省を植民地状態にしているゴールドマンサックスといった米金融の大動脈の止血はしたといった感じに思えます。

株式は金融危機の渦中なので、どこが底なのかはわかりません。HSBC、BNPパリバ、バンカメなどは配当も魅力的ですから円高の時にチョコチョコと買い増しています。わたしはトレーダーには向いていないので頻繁な売買によるリターンの蓄積ではなく、将来の年金代わりに流動性のあるグローバル企業の株式や債券の配当を増やしていこうと思っています。
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