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林知之
うねり取り 基本と実践 1963年東京都杉並区生まれ。1976年から商品のサヤ取りを始め、相場の世界に入る。FAIクラブの誕生とともに株式へ移行、証券会社3社で営業を経て、2000年に林投資研究所の代表取締役に就任する。
一般社団法人投資顧問業協会において、業務第五部会員、自主規制第五部会員、関東部会幹事を兼任。
『林知之の相場「確信ある自分流」』

「タテ軸」を見るな!

06月29日
「見るな」なんて否定形、禁止形はよろしくありません。
私たち生身の人間は、素直に聞くことができないのです。

タテ軸とはチャートにおける「価格」です。
つまり「価格を見るな」ということですが、その意味は……

天底を当てようとするよりも、いわゆる「変化点」を見つけようとするほうがラクですよ!

やっと肯定形になりました。
では、話を進めます。

最初に、「チャートとはなにか」という理屈を、簡潔に述べます。
チャートは、2つの要素で成り立っています。
タテ軸の「価格」とヨコ軸の「時間」、この2つで成立する“2次元”の情報です。

損益を決めるのは価格だ──こう考えてしまうので、ついタテ軸の価格を強く意識するのですが、2つの要素を等しく扱うのが正しい、といえます。

こんな理屈を並べずとも、そもそもチャートを見なくても、ヨコ軸の「時間」が重要だと説明できます。

例えば500円で買った株が600円に値上がりしたとします。
これだけを聞けば、成功例だと思うでしょうが、なにげなく想像したとおり数カ月の変化ではなく、この2割値上がりに10年かかっていたら、「えっ、もっといいやり方があったのでは?」と感じるはずです。

やはり、時間は重要です。

では、チャートを観察するときに、「見るな!」と言ったタテ軸に目が向いている状況とは?
下の値動き図をご覧ください。



心理的に、丸で囲んだ安値圏と高値圏に目が向きます。
「ここで買いたい」「ここで売りたい」と、自然に考えるのです。
これが、タテ軸(価格)に目を向けすぎている状態です。

実際は、これら安値圏、高値圏にいる段階では、これから上がる(下がる)ことがわかりません。もちろん、「あそこが安値圏で買い場だった」と完全に確認できるのは、上がって、天井を打って、下がったあとです。でも、動きはじめたときには「トレンドが変わったようだ」と感じ取ることが可能です。

そのタイミングが変化点です。
同じチャートで、その変化点を示すと、下のとおりです。



安値圏にいるときは疑心暗鬼でも、「1」の段階では「上げに転じたようだ」と感じます。
同じように、高値圏で往来しているだけでは、上げ止まっているか否かを強く感じることはできませんが、ズルッときて「2」に至ると、「あっ、下げに転じたっぽいな」と思うでしょう。

これら変化点で、それぞれ買う、売る、つまり一歩遅れで値動きに“ついていく”売買が、実は最も素直な対応です。

でも、安く買ったほうがいいので、変化点「1」に至る前に、少し頑張って、少しリスクを取って仕込むやり方もあります。いわゆる「逆張り」です。

ちなみに、ガンガン下がっている最中に目をつぶって買うのは、逆張りでもなんでもなく、単なるイチかバチかの乱暴な買い方です。

高値圏はどうでしょうか?
変化点「2」の段階で、「相場はおわったか」と買いポジションを売り手仕舞いする、あるいは、それ以降の下げを取るべくカラ売りを仕掛ける──こんなタイミングでいいのです。

もちろん、上げていく勢いのあるうちに手仕舞い売りをスタートし、高値保合のなかで徐々にドテン売り越していく、というカッコいい売買が理想です。

ただ、買いの仕掛けもカラ売りの仕掛けも、見据えるのは「その後の値上がり(値下がり)」です。過去と比べて安くなった(高くなった)ことは関係なく、『ポジションを取ったあと、どう動くか』だけを考えるはずです。

こうして状況を整理すると、変化点「1」で買う、変化点「2」で売る、といった順張りの対応がダメなことではなく、むしろ素直で正しいと納得してもらえると思うのです。

ダメ押しの事例を、追加で示します。
こんどは、「天井」「底」という捉え方ができない値動きです。



途中までは方向感のない上げ下げ、いわゆる「保合」(もちあい)です。
これこそ、「変化点をさぐる」感覚が必要なケースです。

「安く買う」という表現にとらわれると、買い場は限定されてしまいます。
現実の相場のなかで、出動するチャンスを見つけるのが困難です。

例えば、300円の安値にいた銘柄が600円になったとします。
すでに倍化しているのですが、「勢いがある」「今の市況で上がるなら、こういった銘柄だろう」といった分析で、さらなる値上がりを狙う買い出動も“あり”でしょう。

その際、チャートのタテ軸だけでなく、「600円まで上がったが、現在の値運びを見ると上にいくと感じられる」といった観察、つまり、タテ軸とヨコ軸を等しく扱う姿勢だと思います。

あるいは、「保合を上に抜けたら飛び乗ろう」という狙い方もあるでしょう。
まさしく変化点に目を向けた、順張りのエントリーです。

冒頭でも触れたとおり、チャートはたった2つの要素で成立しています。
このうちの1つをおろそかにしたら、バランスがわるくなってしまいます。

タテ軸の「価格」だけでなく、ヨコ軸の「時間」にも目を向けることで、最も大切な『トレンド』を見ます。そうすることによって、「保合が長い」とか、「ゆるやかな上げだ」とか、あるいは「ゆるやかな上げから加速していた」といった数々の観測が生まれるのです。

同じテーマの動画は、こちらです!


YouTube動画 【初心者から抜け出すための技術】 タテ軸を見るな





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得意技で勝負する

06月22日
値動きには、さまざまなパターンがあります。
でも、それらを分類したり、「自分の得意技」とか「自分が狙うべき値動きパターン」といった観点を意識する個人投資家は少ないように思います。

今日は、「得意技に絞って売買する」というストイックなイメージが、別に苦しいものでもなんでもなく、逆に“自分をラクにする”最高のアプローチだという話をします。

売買における「勝ち負け」に目を向けながら、考えていきます。

人によって度合いは異なりますが、ちょっとした勝ち負けが私たちの心を揺らします。
他愛のないジャンケンでも、勝ってうれしい、負けて悔しい、といった素直な感情です。

こうした感情を伴う個人的な感覚が、売買の最終決断に生きるのですが、相場・トレードにおける勝ち負けはズバリ、カネの増減なので、判断が過剰になったり、不合理な考えにつながるケースも少なくありません。

上場銘柄は追い切れないほど多いのに、目を向けていなかった銘柄が大きく上がったのを見て、買わなかったことを悔しがるとか……。ポジポジ病の原因ですが、「どんな動きも取りたい」という感覚が芽生え、ムリしていろいろなパターンに手を出すことにもつながります。

また、その都度の結果を文字どおり「結果論」で考えて、「正解だった」「不正解だった」と言ってしまいがちです。

だから、往来がつづく状況に対して「逆張りでこまめに取るべきだった」と反省し、大きく上伸する様子を確認すると「順張りもいとわずに飛び乗ればよかった」と振り返るのですが、そもそも、値動きを完全に予見して儲かるポジションを取ることなんて不可能です。

そもそも、相場・トレードがそういうものだから、ふだんから悩んでいるわけです。

実際に売買して価格を動かしている私たちマーケット参加者が先行きを予測しているので、予測の的中率は50%前後におさまるのが道理です。でも、実際の勝ち負け、つまり損益の「金額」は、的中率に比例しません。

損益の金額(勝ち負けの大きさ)は、予測に応じてポジションを取ったあとの行動(対応、ポジション操作)で決まるのです。

ポジション操作とは、複雑な増減だけを指すものではなく、単純な「手仕舞いのタイミング」を含めます。

値動き図を示して、タイプの異なる2種類のトレーダーについて、実践的な「正解」の行動を考えてみます。



しばらく往来をみせたあと、上抜け(ブレイクアウト)して上昇しています。

順張りを得意とする人なら、前半の往来を上手に取るでしょう。
でも、上にブレイクアウトしたとき、買いポジションがなかったり、カラ売りを仕掛けていたりするはずです。そこでどうするか──買わずに(カラ売りがあったら損切り)、「自分の相場ではなくなった」と判断して休むのが正解です。

では、ブレイクアウトを狙う人なら、どんな売買をするでしょう?
前半の往来では、「上に抜けるか」と順張りで買って投げる、「下に抜けるか」とカラ売りして踏む、なんて連敗を喫するかもしれません。でも、最後に「こんどこそ」と順張りで買ったら見事に上抜け、数回の損を埋めたうえで十分な利益を手にすると考えられます。

どちらも「勝ったり負けたり」ですが、『自分の得意技だけで臨んで、トータルが利益になる』売買を実現しています。こんな結果が、現実世界での理想です。

「百戦百勝」なんて、空想世界の理想です。

もしも見ている銘柄が安値圏で小動きになり、自分が想定する「買い場」を示していたら、結果を考えずに買い出動するのが正解です。

迷って買わなかったらズルッと下がって「買わなくて正解だった」というのは、とてもよくない結果論です。正解の行動は、以下のとおりです。

・「自分の出番だ」という判断で買う
・そのあとの一段安を見て「見込み違いだった」と判断する
・早めに損切りする
・そして、出直しを試みる

たまたま迷って買わなかったらズルッと下に抜けた……結果として損を出さずにすんだわけですが、次の同じ状況に遭遇したらどうするか──わかるはずのない結果を無理やりに「当てよう」と考えるでしょう。

「疑心暗鬼」と「迷い」が前面に出ます。
得意技という発想は薄れ、「自分の出番」とか「自分の想定」といった観点を手放した状態です。あてにならない「占い」にでも頼るしかありません。

こんな状態に陥らないための、カッコいい思考を考えてみます。

例えば、目の前に「いかにも儲かりそう」な状況があったとします。
「こういうとき、こういう銘柄が、短期的に上がったりするんだよ」と強く思うような状況です。

でも、それが自分の得意とするパターンから外れていたら、「儲かりそうだけど、やらない」と興味を失うのが正しいのです。100%はないので、「儲けを逃した」と言いきることはできません。そして、「自分のスタイルを崩さずにすんだ」「自分の手が荒れることをしなかった」と断言できます。

戦略によって「出番」の出現頻度は異なりますが、とにかく出番だと判断したら躊躇(ちゅうちょ)せずにポジションを取りはじめます。瞬発力です。でも、「今回はダメだ」と判断したら即、損益に関係なく切ってしまいます。これも瞬発力です。

でも、全体を見ると、あっさり手を引いているので、グイグイと攻めたりしていません。

タイトルに「得意技で勝負」という表現を盛り込みましたが、ドラマに出てくるような、いわゆる「勝負」、ハデな行動でハデな勝ち負けが待っているような売買とは、全く反対側にあるようなユルユルなイメージです。

「オレの得意技ってなんだよ?」と感じる人は、単に「好きになれそうな方法」を考えてください。好きになって、飽きずに練習したり毎日触れているうちに上手になる──言葉や箸の使い方を覚えたのと同じで、ストレスなく楽しく継続したものが自分の得意分野、得意技です。

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相場は「当てもの」じゃない!

06月15日
「“当てよう”とするな」なんて戒めの言葉があります。
とりあえず、「じゃあ、予測するなってことかよ」と反論したくなります。

だって、当てようとして考えて「上がる」と予測した結果、買いポジションを取る、というのが当たり前の流れです。予測がなかったらポジションを取ることができませんし、予測するときに「当てよう」とする以外の何があるのか……こんな当たり前の疑問からアプローチしていきましょう。

私たちは、なにかしらの方法で近未来の株価を考えます。
そして、注目している銘柄について「上がる」とか「下がる」とか、自分なりの確信に至ったときにポジションをつくります。

まずは、この予測について考えます。
自分では「これしかない」と感じているのですが、そういう「当てっこ」は誰でもやっていることです。自分とほかのマーケット参加者の間で、競争を繰り広げているわけです。
結果として、その予測は当たったり当たらなかったりするのです。ザンネンながら……。

では、「上がる」と思って買ったとき、その予測について、ある時点で「当たりです」とか「ダメでした」と判定されて勝ち負けが決まるのかというと、そうではありません。

上がると思って買った銘柄が1割下がった、2割下がった……この段階で「マズい」と思いながらも「売らなければ損ではない」とポジションをキープする──あるあるです。

たしかに、まだ負けは確定していません。
明日からストップ高が連続するかもしれません。
でも、おそらく十中八九、ダメでしょう。
正しいガマンではなく、望ましくない“やせガマン”です。

では、どうすればいいのか?

1割下がった、2割下がったというイヤな結果もあれば、グイグイッと上昇することもあります。勝ち負けは決まっていないものの、株価が動いた結果として、「最初の予測とそれに応じたポジション」の状態(評価)が変化します。ほぼ買い値だった株価が、その後に上がったり、逆に下がったりしているわけです。

ここで、もういちど考えます。
シンプルに2つに分けると、「見込み違いだった。切って出直そう」という場合と、「見込みどおりだな。このままいこう」という場合です。

みんなで競争している、だから驚異的に当たることはない(逆に、曲がりまくることもない)、だから『その後の対応で成果が決まる』と考えるのがオトナです。

それなのに、カネに関する切実な問題なだけに、「当てよう」という気持ちが強くなりすぎるのです。また、見込み違いを素直に認めたくない心理が働きます。時間が経過して状況が変化し、当初の予測を冷静に判定して“次の一手”を考えなければならないのに、当初の予測に固執してしまうのです。

私たち人間の、自然な心理です。
だから、「当てようとするな」という戒めの言葉があるのです。

そこで、「心理面を強くしよう」という発想もあるでしょう。
例えば座禅を組んでみたり、瞑想をしてみたり、ヨガを極めてみるとか、あるいは滝に打たれて修行するとか。

これは、オススメしません。
心理的にできにくいものは、人間である以上ずっと同じです。
私も、「ガマンなんてつづかない」「頑張りなんて三日坊主」とあきらめています。

それに、人それぞれでしょうが、私は自分のことを「相場で勝ちたい、相場でカネを儲けたいと考えている俗人」だと思うようにしています。

そんな俗人でも、優秀な人も含めたほかのマーケット参加者に勝つための方法が、分割売買です。株を仕込むときの一点狙いは、まさに「当てよう」という姿勢です。その逆をやるだけです。

「分割売買」というと、“難しいプロのワザ”みたいに聞こえるかもしれませんが、私たちが日常当たり前に実践していることです。

例えば、熱そうな食べ物をガバッと口に放り込むことはしません。
そっと口を近づけながら、温度を確認します。

車の試乗、味見、現地の下見……いくらでもあります。

相場に近いデリケートなものは、やはり「交際」でしょうね。
出会い→おつきあい→結婚、みたいに段階を経て進んでいきます。
途中で「合わない」と判断したら「ごめんなさい」するわけです。

同じことを、株の仕込みでやってみればいいだけです。

目をつけた500円の銘柄があり、それを4千株仕込むつもりで検討し始めたとします。
総額200万円の計画です。

でも、いきなり4千株買ったりしません。まずは100株だけ買ってみます。
実際にポジションを取って臨場感がある状態で、その後の値動きを観察します。
「見込みどおりに上昇する」という前提ですが、同時に「全く見当違いかもしれない」という前提も残します。だから、とりあえず100株なのです。

動きを見て「いまひとつだ」とか「少なくとも、まだタイミングが到来していない」と思ったら、その100株を切ってしまえばいいのです。100株で10円幅の損が確定するかもしれませんが、損金は千円です。倍の20円幅でも2千円の損ですみます。

総額200万円仕込んで、例えば2割上昇で40万円の利益、という狙いに対しては小さな金額です。こうした小さい損が、相場の「経費」なのです。
資料や情報を整えますが、いわゆる設備投資は必要ありません。スタッフを雇う必要もありません。直接的な損金が、相場・トレードの経費です。

しかも、交際とちがって「ごめんなさい」なんて言葉を工夫する必要もありません。

ただし、100株買い、100株買い、100株買い……イケると思って買い進んで3,500株まで増やした、つまり「かなり確信が高まった」あとで「あれれっ」と思うような状況の変化がある、なんてこともあります。このあたりは、少しだけ頑張って「いつ、どうなるかはわからない」と自分に言い聞かせつづけるしかないのですが、一点狙いではなく分割の仕込みをするだけで、「いつでも対応するぞ」という心構えは芽生えるでしょう。

では、分割するだけでうまくいくのか──そんな無責任なことは言いません。
でも、分割という発想が不可欠、少なくとも分割しないと「技法を駆使する」世界には入れないと断言します。

といって、やみくもにやると手数(てかず)が増えてコントロール仕切れなくなります。
いわゆる“やってる感”ばかりが増幅して、なんのためにやっているのか、わからなくなる懸念もあります。

だから、「確認しながら進んでいくんだ」という前提を手放さないことです。
「ダメではないが、仕込んでいくペースをもう少し遅くしてもいいか」なんて対応もあります。

そのうえで、最初はたった2回の分割を練習してみてください。
100株買い、また100株買い、その200株を適当なタイミングで一括手仕舞い売り──儲かったり損したり、極端な銘柄を避ければ、いずれにしても大きな金額にならないでしょうから、それこそ技法を身につける経費と考えて、実際のポジションを取りながらやってみてください。

頭でっかちで株をはじめた人が予測に固執するケースが多いので、こうして技法・技術に目を向けるだけで、利益が出ていない段階でも、思考のレベルはかなり上位にいくはずです。


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一時的な急落にどう対応するか

06月08日
株価上昇を狙う「買い戦略」、つまり、一般的な買いポジションをとっている状況を軸に考えます。

ちょっとしたことで、株価が急落するケースがあります。
特別な材料で下げることもあれば、投機資金の動きが偏るだけで不意の暴落が発生することもあります。

こうした急落を、予見することはできません。
でも、全く歓迎できないわけです。

どうしたらいいのでしょうか……

株価急落を「災害」のように扱うのは、市況情報を流すメディアです。
彼らは、たいしたことのない事象を大げさに取り上げて騒いだり、読者(投資家)の不安を突いて脅かすのがシゴトです。

少し古い話ですが、ドナルド・トランプ氏が大統領選挙を戦っていた終盤、「彼が大統領になったら株価は暴落だ!」と各メディアが書き立てていました。ところが、いざ大統領就任が決まると、それまで弱かった株価は一転、上昇トレンドに移りましたね。

メディアは、舌の根も乾かぬうちに「トランプラリーがはじまった!」と騒ぎました。
いいかげんにしてほしいものです。

こうしたメディアの姿勢に、私たちは少なからず毒されています。
情報を受信する側は、どうしても“情報弱者”になりがちで、気づかないうちに多くのことを刷り込まれてしまうのです。

結果として、株価急落は事件、災害のようなものだと考えてしまっているマーケット参加者も多いのですが、自由市場でみなが自由に売買した結果ですから、急騰もあれば急落もあり、とにかく突発的な変化なんて当たり前のことなのです。

本当の災害では、やるべきことが多数あります。
まずは安全の確保、水や食料の調達、情報収集、年寄りやペットの世話、自分も含めた神経質な健康管理、等々。

でも、株価急落は、売買の環境そのものが揺れる事態ではなく、“やるべきこと”は多く発生しません。

ここで、林投資研究所オリジナルの「中源線建玉法」を例に、急落時の対応をひととおり挙げてみます。でも、まずは中源線そのものについて、カンタンに説明しておきましょう。下のチャートをご覧ください。



中源線は、終値を直線で結んだシンプルな折れ線チャートを使い、日々の上げ下げのパターン分析でトレンド(強弱)を判定します。実践者の感覚そのままの判定──これが最大の特長です。さらには、3分割でポジション操作する部分も、実践者が「こう動きたい」と考えることをルール化しているユニークな「建玉法」です。

ちなみに、トレンド判定の結果、上げと判断したら赤い線、下げと判断したら黒い線を引きます。赤い線(買い線)のときは買いポジションのみを増減させ、黒い線(売り線)のときは売りポジション(カラ売り玉)を増減させます。

では、中源線の売買において、急落時の対応はどうなのでしょうか?
下の表を見てください。



買い線(上げトレンド)のときの対応は、2とおりです。
A──陰転(下向きに変わった)と判断してポジションをドテン、カラ売りにまわる
B──「トレンドに変化なし」(陰転しない)と判断したら、何もしない

売り線(下げトレンド)のときの対応も、2通りです。
A──下げが大きい場合、「売り」の判断はそのままで一部を利食い
B──これが基本、利を伸ばすべく何もしない

実にシンプルですよね。

では、一般的な裁量の売買なら、急落への対応はどうなるでしょうか?
裁量なので最後は“感覚”で判断しますが、望ましくない思いつきがあったとしても、選択肢はそれほど多くありません。



左側、「買いポジションあり」の場合は、以下の3通りです。
A──「読めない」と判断して、単純な“撤退”だけ
B──「トレンドは崩れていない」と判断して買いポジションを増やす
C──「ここから下げがスタート」と読んでドテン、カラ売りにまわる

「買いポジションなし」の場合は、右側の3通りです。
A──何もしない……「出番は来ていない」という判断
B──「出番到来」と判断して買い出動
C──「下げがはじまった」と考えてカラ売りを新規に仕掛ける

いろいろ考えたって、選択肢はこんなものです。
「急落=災害」なんて認識で被害者ぶるイメージをゼロにして、自分がトクする(損が最も少ない)方向へ素早く行動することだけを考えるべきです。

株価の変動は、本当に予測不能です。
だからこそ、事前の「計画」が不可欠なのです。

登山では、天候がどう変わるか予測できないからこそ、いくつかの選択肢を用意して臨みます。期待どおりに前進していくことを軸としながらも、あっけなく撤退(下山)することもいとわずに入山するでしょう。

日常生活でも、例えば「電車はダイヤどおりに運行される」ことを期待して行動しますが、事故などで大幅に遅延することも念頭に、そうした事態への対応を、オトナとして用意しておきます。

株価急落は決して「災害」ではなく、いつでも起こり得る事象です。
当たり前のこととして、対応を用意しておきましょう。

また、十分に対応できるよう資金的な余裕を残しておくことも重要です。
「ポジションをつくりすぎない」「ポジションを持ちすぎない」ことです。

その余裕が、避けようのない損失を最小に抑えてくれるのです。


同じテーマの動画は、こちらです!
(ここで触れなかった観点がいろいろあります)


YouTube動画 【初心者から抜け出すための技術】一時的な急落にどう対応するか




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「手法を身につける」という発想が5年後、10年後の未来をつくる

06月03日
株を売買するうえで、重要なのは「手法」です。
流儀とかスタイルとか、言い方はいろいろありますが、平たく言えば「やり方」です。

やり方といっても、「デイトレードです」とか「長期投資です」という答えでは頼りない……職種を聞かれて「サラリーマンです」では、なんだかわかりません。「システムエンジニアです」とか「経理担当です」というように、具体的なものが求められます。

売買のやり方ならば、例えば「ツナギを活用した“うねり取り”です」といった感じです。

正義のヒーローが、くり出す「ワザ」の名前をコールするように、もっともらしい名前がついていなくても問題ありません。私たち個人投資家の売買は、他人に見せるものではありませんから。

でも、自分のなかでは、具体的な売買行動がクッキリハッキリと描かれていなければなりません。動画的なイメージで、「こう動いて、そこでポジションをこう変化させて……」といった具合に、リアルなイメージが脳内にあるべきだと思います。

ポジションがある状態、いやポジションを取ろうとした瞬間から、冷静な第三者ではなくなります。「渦中にいる当事者」です。スポーツのように相手がボールを打ってきて反射的に打ち返すなんて動作はありませんし、デイトレードを除いて考える時間も十分にあるのですが、やはり「さあ、どうする!」と迫られて決断する状況が連続するのは事実でしょう。

しかも、株価は思ったように動かず、常に予測を裏切って変動します。
だから、事前に考えていたことの何割を実現できるかわからないのですが、相場がそういうものだからこそ、前もってガッツリと考えておく必要があるのです。

こうしたデリケートな部分を含めて、いわゆる「やり方」を決めておく、自分のスタイルを明確にしておくことが大切です。

私は幸いなことに、「どの銘柄を買うべきか」といった入り方ではなく、「やり方」を決めて、そのやり方に合致した限定的な銘柄を手がけることから相場をスタートしました。

そして、経験するなかで多くの人と出会い、その人たちの“心の言葉”をじかに聞くチャンスもたくさんありました。

なかには、「えっ?」と疑問を感じることだってありましたが、とにかく多様な価値観、さまざまな考え方に触れながら自分のやり方を固め、また変化させてきました。

相場は、いわば「自分とマーケット」の戦いです。
だから、他人の意見に耳を傾けて混乱する懸念すらあるのですが、表面的な予測情報にさえ警戒すれば、いろいろな考え方に接して、必要なものを見つけたら取り入れる行動は貴重です。

例えば、経験者がチャートを見てなにげなくつぶやくひと言──。

そばで聞いてハッとしたことは、数多くあります。

2022年7月から、歴史ある低位株投資の手法「FAI投資法」(エフエーアイ)の学習コースをスタートするのは、日本の株式市場で割安な銘柄が増加し、安値圏で動かない状況が鮮明になっていると確信するからです。

FAI投資法は、月足の観察を軸に、低位株が本格上昇するタイミングをさぐる方法で、単なる銘柄発掘ではなくポジション操作の枠組みまで示してくれる、とてもやりやすい手法です。

この学習コースを月1回、6カ月にわたって開催するのは、前述したような貴重な気づきを経験してもらい、本当の実力を身につけて満足してもらいたい、「受講してよかった!」と言ってもらいたいからです。

久しぶりのセミナーで気合いが入っています。
ぜひ、一緒に相場を語りながら、地道に資産形成していく“自分のスタイル”を構築する、あるいは構築する道筋を明確にしてみませんか?

本格的な学習コース、絶賛受付中!

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予想が当たれば儲かるの?

06月01日
株式投資・トレードでは、まず先行きを予想します。
そして、その予想に従ってポジションをつくります。

買うのは「上がると予想した銘柄」です。
下がると思う銘柄を買う人なんていません。

でも、予想が当たったら利益が保証されるのでしょうか……否!

例えば、ある銘柄に目をつけて「上昇する」と予想したとしても、実際に“どんな売買をしたか”で結果が決まりますよね。



目をつけた銘柄が、上の図のように上昇したとします。
安値からクイッと上昇したあと、ちょっと深い押しを経て、最後に大きく上伸しています。

この値動きに対して、「安値で買ったポジションを持ちっぱなしにして大きく利益」という結果もありますが、例えば次のような3回の売買もあり得ます。




  1. 安値でうまく目をつけて買い、利食いした

  2. 押したので買い直し、これも利食いした

  3. 再び保合で買ったが、途中の深押しで投げた

  4. 最後の上げには乗れなかった



もし、3回目の株数が多かったら、損益トントンか少しマイナスになるでしょう。

あるいは、目をつけたのに安値で買えず、途中で「これは大きいぞ」と読んで買ったのに、最後の上新前の深押しで投げてしまった……こんな結末だって”あるある”です(下図)。



いわゆる「勝率」が低くても利益になるケースがあります。

例えば、「この銘柄は上がるだろう」と目をつけていたとします。
そして、次のような売買を行ったと考えてください。

・その銘柄がピクンと動いたので買ったが不発……いったん投げた。
・再び手をつけたが、同様に投げてしまった。

・こんなことを4回繰り返し(4回とも損切り)、5回目にやっと乗れた。
・そして、上げトレンドのスタートを確信した時点で乗せて、数量をしっかり増やした。
・結果は大きな利食い。最初の4回の損をあっさりカバーして大きな利益を上げた。

合計5回の仕掛けについて考えると、いわゆる勝率は20%にすぎません。
でも、自分の予測に固執しないプロなら、こうした売買結果は特殊なものではありません。

株式投資というものが、仮に、「予測が当たったら10万円もらえる」「曲がったら10万円払う」というゲームだとしたら、勝率(予測の的中率)と利益率が比例します。でも、「予測できないから手を出さない」という選択肢もあるでしょうから、やはり予測と結果は直結しないでしょうね。

現実の相場における予測は、みんなで競争しているので、誰がやっても「半分は当たり、半分は曲がり」という結果におさまります。努力することで的中率を上げることも可能ですが、爆発的に当てることは不可能です。

結局、すべては対応で決まるのです!
実際に行動に出るか否か、別の観点から言えば「数量」と「タイミング」です。

こうした「対応」について、現実的な例をひとつ挙げます。

上がると思う銘柄をピックアップして、「10銘柄をほぼ同時に買った」と考えてください。
すべて「いける」と判断した銘柄ですが、時間が経過すると状況が変わってきます。

ある銘柄は期待どおりジリ高をみせるのですが、百発百中はムリです。期待に反して弱々しく推移する銘柄もあります。仕方がないことですね。

問題は、このあとどうするかです。

その場の気持ちに素直に従うと、弱々しい銘柄は維持したくなります。切った瞬間、損が確定してしまうからです。

逆に、ジリッと高い銘柄については「手堅く利益確保」なんて売りを決断しがちです。

この対応は、あくまで一般論ですが、真逆にするべきだと思うのです。

弱々しい銘柄は、結果的に「わるいポジション」です。
自分がわるいわけではなく、予測が曲がるのは仕方がないことで、単なる結果論です。過去を振り返ることなく、未来だけを考えてスパッと損切り、現金化すべきです。

でも、ジリ高の銘柄は「よいポジション」です。
“当たった予測を育てる”発想で、大切にします。
利を伸ばすことを考えます。

むしろ、わるいポジションを切った余裕資金で、ジリ高の「よいポジション」に乗せる(買い増しする)といった考え方のほうが正しいと思うのです。

予測は、ポジションをつくる“きっかけ”です。
その後の値動きで、予測も変化します(新しい予測が生まれる、という捉え方でもOK)。

「ダメ玉に時間をかけない」という考え方も、非常に重要です。

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(ここで触れなかった観点がいろいろあります)


YouTube動画 【それホントなの?】予想が当たれば儲かる








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