戦略コンサルタント&ベトナム株道先案内人 福森哲也
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株式会社STIサポート代表取締役/コーポレイトディレクション(アジアビジネスユニット)シニアアドバイザー/アサヒ衛陶(東証2部)常務取締役他。
日欧の戦略コンサルティング会社にて、“第2の創業支援”プロジェクト(上場前後のベンチャー企業/中堅・準大手企業/地方有力企業)や M&Aプロジェクトに数多く従事。その後、上場ITベンチャーの執行役員や大手家電グループ企業の経営会議メンバーを経て、独立。現在は、企業内部に入り込む形での上場・未上場企業の“第2の創業支援”と、ベトナムを中心としたアセアンでの“事業&人材開発”支援に注力している。
ベトナムとベトナムビジネスの入門書『ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版)は、2012年に出したミャンマー・カンボジア・ラオス版と共に、アジア事業担当者・駐在員に幅広く活用されている。また、日本にベトナム株投資を最初に紹介した『日本人が知らなかったベトナム株』(翔泳社)などもある。
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福森哲也のベトナム株投資
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ベトナムへの旅行者&マークモビアス 04月28日
ゴールデンウィークも間近になり、飛行機のサーチャージも7月から無料化されることが発表されました。世界経済が混迷を続ける中で、今後もベトナムへの海外からの旅行者は増え続けるのでしょうか?ベトナムにとって海外からの旅行者の落とす観光収入は非常に貴重な外貨獲得の手段なので気になるところです。メキシコ発の豚インフルエンザの流行なども気になりますが、ベトナムでは鳥インフルエンザでの女性死亡のニュース、麻疹の流行、デング熱の流行、コレラ菌による急性下痢症患者の発生など、気になる話も多くなってきています。
ベトナム文化スポーツ観光省は2009年度の外国人訪問者数を450万人(08年度実績は約380万人)との予想を発表しています。外国人からの観光収入は3500〜3600億円程度、2000万人超と予想する国内旅行者からの観光収入もほぼ同程度の計画になっているようです。世界経済フォーラムの発表した旅行観光競争力ランキングでは、世界133ヶ国・地域中89位(08年度は96位)に位置づけられており、世界同時不況が続く中でのこの予想はかなり“希望的観測”だなと感じています。ベトナムが欧米からの観光客をもっともっと引きつけるためには、やはり交通インフラの整備が不可欠でしょう。市内の交通渋滞や、夕方に郊外での観光や視察を終えて市内に戻る時の大渋滞(特に大雨の日)は、ベトナム大好きな私ですらうんざりしてしまいますから。
インドの市場調査会社の発表しているベトナム観光産業予想では、今後のベトナムへの観光客は増加し続け、2012年には520万人となるとしています。今年に限れば、韓国・米国・中国からの観光客がすでに大幅に減少しており、09年度第一四半期の外国人訪問者数は100万人を割り込み、前年同期比で16%ほど減少しているようです。米国・欧州の経済状況が安定し、観光客・ビジネス客が回復するまで、主要ホテルの稼働率も50%を割り込む状況が続きそうです。07年、08年前半のハノイ・ホーチミンの主要ホテルの値上げ合戦や団体客への強気の対応が逆に懐かしく思えてきます。
*ドバイ株や香港株で有名な石田氏がかのマークモビアス氏と会食&対談をしました。新興国投資のカリスマ”マークモビアス”氏は、ベトナムにも拠点を設けて重点調査・投資対象国にされています。マークモビアス先生の眼力が本物でありますように!
マークモビアス氏の独占インタビューの模様は下記より:
WITV:
http://www.worldinvestors.tv/cast/index.php?castid=52
トレーダーズショップ:
http://www.tradersshop.com/bin/mainfrm?a=8019&p=topics/theme/markmobius
ヘンカップライ
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2005年〜2025年ではベトナムが世界一の高度成長国!? 04月21日
ベトナム経済や株式市場が順調な時には非常に強気の予想を出し、軟調な時には非常に弱気の予想を出してきているHSBC(香港上海銀行)を初め、日本経済新聞などもベトナム内需の意外に“したたかな”力強さに着目し始めているようです。09年度の第一四半期の小売・サービス業売上高が前年同期比で22%の増加を記録し、3月の新車の販売台数も前月に比べて大幅に増加をしています。
HSBCは09年年末時点ではベトナムのGDP成長率が6%レベルまで回復する可能性に言及しています。ここ半年の経済刺激策(基準金利の大幅な引き下げ/中小企業への年利4%での融資支援策(なんと中小・個人企業の96%が融資対象になる支援策。まさに今日本で緊急の課題になっている政策がベトナムでは既に実施されているのです)/法人税・個人所得税の減免・納期延期/ドン安誘導による輸出競争力支援等)が効果を発揮していくという見方です。中国に続いて成長軌道を回復するのはベトナムではないかと見ています。
アジア開発銀行(ADB)の予測でも、10年には6.5%の成長を実現し、アセアン(東南アジア諸国連合)の中で最も成長する国になると言われています。これから来るであろうアジア・アセアンの世紀の中で、ベトナムにますます注目が集まることでしょう。
その他の国際機関/金融機関の09年度のベトナムの成長率予測をまとめておきましょう。IMF(国際通貨基金)は4.75%(中期的な投資先としては魅力的)、スタンダード・チャータード銀行は4.2%(10年は5.5%)と予想している。一番低い予想は、英国の有名雑誌「エコノミスト」の0.3%という記事になります。この数字の根拠は、輸出の大幅な減少+失業率の大幅な増加と内需の低迷+直接・間接の外国投資の大幅な減少+政府の景気刺激策の効果不確定というものでした。とりあえず第一四半期を見る限り、この有名雑誌の記事は忘れてしまっても良いように思います。
逆に、スペインの調査会社は、05年から25年の20年間のベトナムの年平均成長率が8%になり、世界でも最も成長する国になると発表しています。中国・インド・フィリピン・トルコを加えた5ヶ国が今後20年間の高成長国候補だということです。“CI&VPT”などと呼ばれるようになるかもしれませんね。。。楽しみです。
ヘンカップライ
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萌えるベトナム090414 04月14日
ベトナム現地の有力証券会社の1社であるホーチミン市証券(ベトナム最大のファンドマネジメント会社であるドラゴンキャピタル系列の証券会社)の2009年4月の戦略リポートによれば、今後1年間のホーチミン株式市場の取引レンジは220ポイント〜450ポイントになると予測している。恒例のHSBC(香港上海銀行)のレポートでは、09年年末で300ポイントという予測なので、それよりも現地証券会社の予測の方が強気になってきている。300ポイント前後まで落ちてきたタイミングでの買いをホーチミン市証券では推奨しているが、その他の現地有力証券会社のレポートもほぼ同じような傾向になっている。
08年10月からの一段の下落相場は、235ポイントという大底をつけて、上昇トレンドに変わってきていると現地では見ている。「この上昇はブル・トラップに違いない」とか「米国経済や中国経済も、ベトナムのマクロ指標もまだまだ安心できない」という声もあるが、それよりは「銀行預金や金投資よりも株の方が儲かりそうだ!」という声が大きく、連日、証券会社は新規投資資金を持ち込む現地投資家で活気付いている。
ホーチミン市証券の戦略レポートでは、ここから年末までの市場の動きとして、下値リスクは15〜20%で、上昇余地は30%以上あり、市場のマインドは徐々に強気相場に移行していっていると分析している。長期のテクニカル分析でも全ての点で上昇の可能性を示唆しているとのことだ。
09年第一四半期の対前年GDP伸び率3.1%という数字にも関わらず、その他のベトナム経済の浮上を示す各種のマクロ経済指標が投資家に良い意味での驚きを持って迎えられているようだ。上場トップ30社の08年度の純利益は10.4%対前年度で下落したが、09年度は2.8の下落にとどまると予測している。厳しい経済環境の中で売上の鈍化なども考えても、上場トップ30社のPERは13倍前後で取引されており下落リスクは限定的だという分析がなされている。
現地の証券会社や現地投資家のマインドが市場動向に大きく影響するベトナム株式市場なので、明るい予測が飛び交うようになって少しホッとしている日本人投資家も多いのではないでしょうか。
ヘンカップライ
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萌えるベトナム:底堅い内需&流通革命? 04月07日
先週のベトナム株式は、世界金融危機の底打ちやG20金融サミットへの期待感から大幅に上昇し、VNインデックスは310ポイントに到達しました。2ヶ月ぶりに300ポイントの水準まで回復し、売買高も相対取引を含めて過去最大で、売買代金も大幅に増加しました。昨日(2009年4月6日)はHUNG王記念日でベトナムの休日にあたり株式市場もお休みですが、今日からも強気の相場が続くことが期待されています。
日本経済新聞を初め、日本の新聞などでは毎日のように日本企業のベトナム進出やベトナム企業との業務・資本提携のニュースが流れています。ニュースの影では、進出の延期や中止も数多くあるようですが、現在のような経済環境の中でもベトナムへの日本企業の関心は強いようです。JETROや現地の日系金融機関には、ここ2年〜3年ベトナムの調査をしてきた各業界の企業の本格進出の相談が毎日のように舞い込み、現地の担当者の皆さんは昼間の会議や夜の会食で日々忙しくされている状況です。
ベトナムに進出している日本企業の多くは、輸出加工型の工場進出です。ハノイのある北部の工業団地に多くの日本を代表する大企業が進出しています。これらの工場の20〜30%は北米向けで、日本やアセアンに輸出されるものも、その後の最終消費地は北米であるものが多いようです。今回の米国発の世界金融危機・経済危機の影響は色濃く、特に自動車関係では受注・生産減ではなく“受注なし”という状況です。夏ごろまでは生産ラインの増設やシフトの変更での無理をしての増産に励んでいた電子部品関係の工場でも、10月以降は受注7割減などといった状況が続いています。
一方でベトナム国内の内需向けは意外と底堅い状況が続いています。現地の日系金融機関の担当者の方も、「内需は底堅いです。いったん減産していた調味料メーカーやカップ麺メーカーさんなどは、生産を戻しています。ベトナムは急成長はしない国ですが、じっくり10年かけて浸透させてきた日本企業は十分な果実を得られているのではないでしょうか」とお話されていました。
WTO加盟による外資に開放される9000万人の内需に着眼して、日本の流通大手も殆どが調査に来ています。大手のコンビニエンスストアも、総合スーパーも、社長さん自ら定期的に調査に来ており、投資計画を練っている状況です。新し物好きで、ブランド好きで、他の人に馬鹿にされるのが何よりも嫌いなベトナム人なので、5年〜10年でベトナムの流通業界も大きく様変わりすることは間違いないでしょう。2〜3年刻みにマーケット状況が大きく様変わりしてしまうベトナムなので、是非日本企業にも今後のベトナム流通革命にうまく乗って欲しいものです。
ヘンカップライ
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