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鎌田傳


「ラリー・コナーズ氏(「コナーズの短期売買入門」「魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門」)の経営する、TradingMarkets.comでテクニカル・アナリストを務め、現在証券会社に勤務。訳書に、「スイングトレード入門 短期トレードを成功に導く最高のテクニック」(パンローリング)、そして電子書籍「トレード成功のヒント - 米国株式市場の習性と特徴」(パンローリング)がある。」

鎌田傳の「South Bayトレーダー」 日記

地政学的リスクの多いマーケット: ウォーレン・バフェット氏からのアドバイス

08月29日


ロシア軍がウクライナに侵攻したことを伝えるヘッドラインです。これを見て「株は売りだ」、と持ち株を処分された人たちもいると思いますが、とにかく最近よく話題になるのは地政学的リスクです。サム・ロー氏(ビジネス・インサイダー)は、今朝のコラムでこう書いています。

毎日のようにロシア、イラク、リビア、ガザから不安なニュースが報道されている。更に西アフリカのエボラウイルス大発生、アイスランドの不安定な火山、それに世界の通信網に被害を与える可能性がある太陽のフレア活動のニュースも報道されている。とにかく悪材料に溢れる今日この頃だが、私たち投資家はどうしたらよいのだろうか?

ロー氏は、2008年10月にニューヨーク・タイムズに掲載されたウォーレン・バフェット氏のコラムを読むことを勧めています。先ず思い出してほしいことは、2008年は金融危機の真っ只中であり株は暴落、景気は大きく後退し人々は超悲観的な状態でした。下がバフェット氏のコラムの要点です。

大恐慌時代の1932年7月8日、ダウ平均は41の安値を記録した。経済は悪化が続き、好転し始めたのはフランクリン・ルーズベルトが1933年に大統領になってからだ。しかしルーズベルトが大統領に就任した時は、マーケットは既に30%も上昇していた。第二次大戦の場合を見てみると、マーケットが底を打ったのは1942年の4月であり、これは米軍が優勢になる前だ。そして1980年代、株を買う最高のタイミングとなったのはインフレが吹き荒れ経済が最悪な状態にある時だった。端的に言えば、悪いニュースは投資家の良い友だ。なぜなら、悪いニュースのお陰で、私たちはアメリカの将来を割安な価格で買うことができるからだ。

ロー氏によると、バフェット氏は1994年、バークシャー・ハサウェイ社の株主に宛てた手紙でも似たことを書いています。

我々は、政治、経済に関する予想を引き続き無視する。なぜなら、それらは投資家や企業家の邪魔になるからだ。30年前、大幅に長引いたベトナム戦争、石油危機、大統領の辞任、ソ連崩壊、508ポイントにもおよぶダウの暴落、2.8%から17.4%の間で大きく揺れた国債利回りを予想できた人は一人もいなかった。これだけ大きな出来事があったにもかかわらず、ベンジャミン・グレアムの投資ルールが崩れることはなかったばかりか、素晴らしいビジネスを割安で買う機会を提供してくれた。

もちろん、今日の悪いニュースは買いだ、と結論するつもりはありません。地政学的リスクが存在することは確かですが、現在のマーケットは誰もが株を避け惨憺たる状態と言えるものではありません。バフェット氏の投資スタイルで思い出すのは、この言葉です。

町のあちこちで道が血に染まっているときこそ、買いの絶好のチャンスだ。 -- ネイサン・ロスチャイルド

余談になりますが、上の言葉の原文はこれです。

Buy when there's blood in the streets, even if the blood is your own.

世の中に広まったのは前半の部分で、「たとえそれが自分の血であったとしても」、という後半の部分は広まることはありませんでした。

今日の米国市場は、町のあちこちで血が流れている状態ではありません。言い換えれば、血が流れるのはこれからです。


(参照した記事:Warren Buffett Has Some Brilliant Advice For Investors Freaked Out About Geopolitics

Buy American. I Am.

Buy When There's Blood In The Streets)



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RCIの3本使いと3つのストキャスティクス

08月26日
RCI(順位相関指数)という指標を使って為替トレードをしている人が多いと思われます。2013年6月29日になりますが、こういう記事がありました。



こんな説明が載っています。



これを見て直ぐに思ったことは、複数のストキャスティクスを使ったトレード方法に似ている、ということです。下はユーロ円の月足チャートに3本のRCIを入れたものです。



パラメーターはZAIの記事と同じです。

・ 赤: 短期RCI 9

・ 青: 中期RCI 26

・ 緑: 長期RCI 52

現在のユーロ円には、そろそろ買いシグナルが出ようとしています。一番上のチャートと比べてみてください。違いは、ZAIに掲載されているチャートは「三番天井の状態から短期RCIが落ちてきている」ですが、今回は「二番天井の状態から短期RCI」が落ちてきています。

それではストキャスティクスを入れてみましょう。



パラメーター

・ 赤: 短期ストキャスティクス 7-3-3

・ 青: 中期ストキャスティクス 21-10-4

・ 緑: 長期ストキャスティクス 42-20-9

RCIと比べてみてください。動きがよく似ていると思いませんか?

短期、中期、そして長期ストキャスティクスが三つ揃って上昇しているマーケットは強いマーケットです。現在の状況は中期と長期ストキャスティクスが強く、短期ストキャスティクスは下降し、そろそろ売られすぎな状態になります。言い換えると、ユーロ円は押し目買いのチャンスです。

ついでに、リンダ・ラシュキ氏が有名にした3/10オシレータを入れてみましょう。



3/10オシレーターはパラメーターを3-10-16にセットしたMACDです。これも押し目買いのチャンスが示されています。シグナルライン(青)はゼロラインより上ですから、ユーロ円は買い基調です。しかし最近、ゼロラインより上で推移していたMACDライン(赤)がゼロラインを下回り、押し目買いのシグナルが出ています。

(参照した記事: 超有名美女トレーダーはRCIの3本使いでアベノミクス円安でも大儲けしていた!)
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イエレン議長講演、ドル円はどう動いた?

08月23日
ジャクソンホールでイエレン議長が講演しました。さて講演内容ですが、ヘッジファンド・マネージャーのダグラス・カス氏は、早速こういう感想をツイートしています。



「訳の分からないことを言い、簡単な分かりやすい英語を使わないことがFRB議長になる必要条件のようだ。」

イエレン氏はエール大学から博士号を取得、そして1971年-1976年にはハーバード大学で助教授を歴任しています。1985年、カリフォルニア州立大学バークレー校の教授に就任。連邦準備制度理事会の理事に選ばれたのは1994年です。要するに、イエレン氏は学者ですから、難しい話をするのは得意な筈です。更に、イエレン氏の夫は経済学でノーベル賞を受賞した人ですから、難解な会話にも慣れていることでしょう。

イエレン氏の講演開始直後、ドル円には2度の買いチャンスがありました。もう少し正確に言うと、5分足チャートでトレードした場合、2回の買いチャンスがありました。



入れてあるものはボリンジャーバンドです。点線はパラメーターを20に設定した移動平均線、緑色の線は移動平均線からプラス/マイナス1シグマ離れたところ、青い線は移動平均線からプラス/マイナス2シグマ離れたところに引かれています。

1回目の買いはAのブレイクアウトです。

・ ローソク足はプラス1シグマラインを突破して終了しています。(今回の場合は、プラス2シグマラインも上回って終了していますが、重要なのはプラス1シグマラインを上回ることです。)

・ ボリンジャーバンドが外側に広がり、値動きに勢いが出ていることが示されています。



2度目の買い(B)は押し目買いです。

・ プラス1シグマラインがサポートになりました。

・ Bの陽線が買いです。

・ ボリンジャーバンドが引き続き広がっていること、特に上限バンドが上昇していることに注目です。

・ この押しはAのブレイクアウト後、第1回目の押しです。一般的に言われることは、第一回目の押しは買いです。言い換えると、押し目買いの成功率が高いのは一回目の押し目であり、2回目、3回目の成功率は低くなります。



Bの押し目買いで成功した後、次は2度目の押し目買いチャンスを待つことになります。先ずCですが、ここではプラス1シグマラインを割り、押しが更に深くなることが示されています。Dの中央ライン(20移動平均線)付近で押し目買いを試した人もいると思いますが、ここでの注意点は矢印で分かるようにボリンジャーバンド幅が収縮しています。これは値動きがおとなしくなってきたことを表わしていますから、ここで買っても大きな値動きに期待できません。チャート右端部分ではボリンジャーバンドが水平になり、値動きは完全な横ばいになってしまいました。
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論理的、常識的に考える人はトレードが下手??

08月21日
米国株式市場は天井だ、という声を聞くようになってから少なくとも1年以上の月日が経過しました。持ち株を既に売ってしまった人たちは早すぎた撤退を後悔している訳ですが、5年以上も続いているブルマーケットを考えれば、ここが天井だと判断してしまっても全く不思議ではありません。

今さらこんな質問をするのは気が引けますが、人々は何故ブルマーケットに最後まで乗り続けることができないのでしょうか?

ブルマーケットのブル(Bull)は雄牛のことです。この動画(
https://www.youtube.com/watch?v=dn3Qwz2-64E)で分かりますが、せいぜい長くても、雄牛に乗ることができるのは10秒です。ノロノロとした動きなら最後まで付き合うことはできますが、全速で突進されたら振り落とされるだけでなく、乗り手は怖くなって途中で降りてしまいます。

もし株価が毎日規則正しく5セントずつゆっくり上がる、というなら保有を続けることは難しくないでしょう。しかしご存知のように、毎日一定速度で上昇する株など存在せず、たとえ上昇基調にある株でも突然の大きな下げがありますから、やはり最後まで付き合うのは極めて困難です。

他の理由として、ライアン・デトリック氏は、こんなことを指摘しています。

ナスダック市場は現在5連勝中だ。これで5連勝は今年4度目になり、今年最も長い連勝は2月に起きた8連勝だ。話を5連勝に戻すが、論理的、常識的に考える人なら、こう言うのではないだろうか?「いくら何でも行き過ぎだ。マーケットは、そろそろ下げに転じることだろう。」

1978年以来のナスダック市場を調べてみると、5連勝というのは決して悪材料ではないことが分かった。たとえば、5連勝から10日後のナスダック市場は平均で0.68%高くなっており、一ヶ月後は平均で1.71%、そして3ヶ月後は平均で4.49%高くなっている。


「論理的、常識的に考えていたら相場に乗ることはできない」、ということになりますが、デトリック氏はもう一つ例をあげています。

一年間の保有という条件を付けた場合だが、ナスダック市場を調べて分かったことは、1999年3月12日が買い出動の最高の日だった。もしその日にナスダック総合指数を買ったとすると、指数は一年間で111.99%の成長だ。しかし疑問になるのは、投資家たちは、はたしてその日に買うことができただろうか?なぜならナスダック市場は、1999年3月12日に至るまでの3年間で既に122%も上昇していたからだ。

繰り返しになりますが、米国株式市場は、既に5年以上の上昇相場が続いています。常識的に考えると、今は積極的に株を買う時ではなく持ち株の大半を処分する時です。しかしデトリック氏が言うように、常識的、論理的に考えていたのでは相場に乗るチャンスを逃してしまいます。

私たち個人投資家はどうするべきでしょうか?この高値圏で今日も株を買うべきでしょうか?もちろん、全ての人たちにあてはまる回答はありませんが、基本的な答えはこれです。「感情ではなく、自分が使っている指標から危険信号が出るまでは買い姿勢を保つこと。」


(参照した記事:The Market Can Stay Irrational Longer Than You Can Stay Solvent)
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株式市場、住宅、トラックの運転手

08月19日
・ 向こう12ヶ月間、利上げが予期される2015年の第3四半期までに、S&P500指数は6%の上昇となるだろう。過去を振り返ってみると、第1回目の利上げが実施されるまでの一年間のマーケットはラリーの展開となっている。実例は1994年、1999年、そして2004年だ。歴史がいつも繰り返されることはないが、今回は繰り返されることになりそうだ。 -- デビッド・コスティン(ゴールドマン・サックス)

・ 今年の米国の住宅販売件数は去年の数を下回ることだろう。2015年の販売件数は、2013年と2014年を上回ることが予想されるがブレイクアウトを期待することはできない。-- ダグ・ダンカン(ファニー・メイ)

・ 経費の上昇、そして給料の低下が主な原因となって米国ではトラックの運転手が足りない状態だ。アメリカン・トラッキング・アソシエーションズの発表によると、現在アメリカでは3万人のトラック運転手不足だが、この数値は2022年までに23万9000人に達することが予想されている。-- ビジネス・インサイダー

・ 予想されたように米国株式市場は反発となった。頭に入れておいてほしいことは、これは単なる反発であり、それ以上のものではない。次にやって来るのはダウ平均の20%下落だ。 -- ラリー・エーデルソン(Money And Markets)

・ スティーブン・アウス氏(Federated Investors)の強気姿勢に変化はない。経済の成長に弾みがついたことを考えると、向こう18ヶ月から2年間で、S&P500指数は現在の位置から30%ほど上になる2500に達するだろう、とアウス氏は言う。 -- バロンズ誌

・ 最新の調査によると、36%の米国人には老後のための貯蓄が全くない。現に、65才以上の人たちで老後の貯蓄ゼロは14%、50才から64才までは26%、30才から49才は33%、18才から29才は69%という状態だ。 -- USA TODAY

・ 旅行などで運転の機会が増える夏はガソリンの値段が上昇する。しかし今年は違う。トリプルAのデータによると、1ガロンあたりのガソリン平均価格は3ドル45セントになり、これは4月に記録した高値から6.5%も下がっている。-- Bespoke Investment Group





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株式市場の大幅下落に備えるジョージ・ソロス氏

08月16日


金曜のニュース・ヘッドラインです。ウクライナ軍が越境してきたロシア部隊を攻撃、というのがトップ扱いになっていますが、興味をひかれたのは二番目の記事、ジョージ・ソロス氏に関するものです。

ソロス・ファンド・マネージメントは、米国株式市場の大幅な下げを予測しているようだ、と投資家たちが不安になっている。最新の第2四半期報告書によると、ソロス・ファンド・マネージメントは、S&P500指数に連動するETFのプット・オプション保有数を大量に増やした。(プット・オプションの値段は株式市場が下がると上昇する。)第1四半期、ソロス・ファンド・マネージメントが保有するプット・オプションは160万株に相当する数だったが、この数は1129万株相当に膨れ上がっている。

「ソロス・ファンドは大量に株を保有しているから、プット・オプションの保有数が増えたことを特に心配する必要はない。プット・オプションはポートフォリオをマーケットの下げから守る保険と同じだ」、という意見も当然あります。しかし、著名投資家ソロス氏が大幅にプットを増やした訳ですから、「やはりマーケットは天井だ」、と再度不安になった人たちがいることも確かです。

ソロス氏のファンドは、単にヘッジの意味でプットを増やしたのでしょうか?Bullion Baronは、こう説明しています。

ソロス氏のファンドはプットの保有量を605%増やした。金額に直すと22億ドル、そしてプットがポートフォリオを占める割合は16.65%だ。以前も述べたように、S&P500指数に連動するETFのプットを買うことは、マーケットの下げに賭けることを意味する。



棒線はソロス氏のファンドが保有するプットの総額、そして赤の折れ線は、プットがポートフォリオを占める割合です。見てのとおり、ソロス氏のファンドが、これだけプットの保有量を増やしたことは過去一度もありません。もちろん、最新のデータと言っても第2四半期末の状況ですから、今日現在同じ量を保有しているという保証はありません。しかし疑問になるのは、なぜこれほどまでソロス氏のファンドは、米国マーケットの下げに賭けるプットの保有量を増やしたのでしょうか?Bullion Baronは、こんな推測をしています。

ソロス氏のこの言葉を思い出した。「世界が今日直面している心配材料はユーロではなく中国だ。中国を急速に成長させた経済モデルはもはや使い物にならず、中国の経済は失速状態だ。今日の中国は、米国の株式市場が暴落となった2008年に似ている点が多い。」

中国のシャドーバンキングは深刻な状況にあり、リーマン・ショックの再来となる、という記事を何度も読んだことがありますが、ソロス氏も同様な心配をしているのかもしれません。どちらにしても、ポートフォリオの16.65%を占めるプットというのは突出しており、もちろんこれはファンドが現在保有する最大のポジションです。このプットの次に大きなポジションは、YPF S.Aというアルゼンチンの石油会社の株ですが、これがポートフォリオを占める割合は3.39%です。

今日のニュースでも分かるように、中国以外にもマーケットにはウクライナのような地政学的不安材料もありますから、資金の一部をプットに割り当てることは決して悪くないアイデアです。


(参照した記事: George Soros loads up on bearish market bet

Go Big Or Go Home, Soros $2.2 Billion Bet On SPY Puts

George Soros Made A Huge Bet That Stocks Will Fall)



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トウモロコシは大底の形成中!?

08月14日
どこで読んだか忘れてしまいましたが、株投資に関するこういう話があります。

野球の場合バットを振らなくても、ボールがストライクゾーンを通過するとストライクになる。だから既に2ストライクとなっていれば、たとえ苦手な場所にボールが来ても、それがストライクなら振らなくてはならない。しかし、株投資の場合は違う。周りがどんなに絶好のチャンスだ、と騒いでいたとしても、もしあなたがそれに興味が無いなら買う必要はない。株にはボールもストライクも無い。言い換えれば、あなたがやったものだけがストライクになるのだ。



要するに株の場合は、先物や商品、為替も同じだと思いますが、自分自身がストライクだと感じるものだけをやれば良いことになります。皆さんは、どんな状況にある株がストライクだ、と感じるでしょうか?私の場合、嫌われている銘柄、そして大幅に売られたものに興味を感じます。

これは一例です。



「トウモロコシ」、とたった一言ですが、ツイートされているサイトにアクセスすると、こんなことが書かれています。

生産過剰と言われているトウモロコシだが、そろそろ大底を打ちそうである。今週に入って、やっと取引高推移も上昇に転じている。同時に、実需筋の買いヘッジも年初来の高水準にある。先週の高値、374^6を上にぬいていくとかなりの上げが期待できる。

下はトウモロコシのETF、Teucrium Corn (CORN)の月足チャートです。



高値は2012年8月(52ドル71セント)、現在の価格は26ドル10セントですから、正にETF価格は半減です。注目は、底形成の可能性を示すダイバージェンスです。二つの矢印で分かるように、価格は下げが続いていますが、オン・バランス・ボリューム(OBV)は既に上昇が始まっています。

次に日足チャートを見てみましょう。



Aで分かるように、ETF価格は安値圏で横ばい状態です。しかし、オン・バランス・ボリュームは既にレジスタンスラインを突破し(B)、買い圧力が高まっていることが示されています。買いシグナルは横ばいゾーンの上限突破(26ドル70セント)、目標は崩れた以前のサポートレベル(C、30ドル25セント)です。

(参照した記事: トウモロコシ)



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アメリカ人の三分の一が借金取りに追われている!

08月12日
このヘッドラインを見て驚きました。



「米国人の3人に一人が借金取りに追われている」、という意味になります。

取り立ての対象になっているのは微々たる金額の25ドルから巨額な12万5000ドルに及び、未支払いとなっている平均金額は5200ドルだ。(CNNマネー)

更にCNNマネーによると、この借金問題が最も深刻なのはネバダ州です。47%の住民が借金取りに追われ、借金の平均額は全米で最大の7198ドルです。ネバダ州と言えばギャンブルの街ラスベガスがあり、ラスベガスの住民の49%が債権取立会社に追われています。

借金の取り立てがラスベガスで一番多いのは、ギャンブルが多分に影響しているものと思われます。以前はギャンブルをしたければラスベガスに行くしかありませんでしたが、近年は全米の各地にインディアンが経営するカジノが存在し、更にオンラインでのギャンブルもあります。

米国のギャンブル依存は麻薬と同様に深刻だ。2007年、アメリカ人がギャンブルで失った金額は920億ドルを超え、これは1982年の9倍に相当する額だ。2005年、米国には1200のカジノが存在し、ギャンブル人口は7300万人に達した。5年間で2000万人の増加だ。(Daily Finance)

カジノは人々を引き寄せるために、特にギャンブル依存症の傾向がある人たちに様々な手を使って誘惑している。人々にはプレーヤー・カードが配布されているから、カジノはプレーヤーたちの金遣い状況を常に把握している。プレーヤー・カードはクレジットカードと同じ大きさで、スロットマシーンに差し込めるようになっている。プレーをする度に得点がたまるようになっているから、カジノは得点に応じて無料ディナー、無料航空券などをプレーヤーたちに贈る。当然の結果として、プレーヤーたちはカジノに直ぐ戻って来ることになる。(HUFFPOST)


米国でギャンブル人口が大きく増加した原因の一つは政府が抱える赤字です。

2009年と2010年、赤字に苦しむ37州は、税収入を増やす手段として新規ギャンブルの許可、そして既存ギャンブルの規模増大を推進した。各州議会は、ギャンブルから得られる税収入は所得税の引き上げとは違い消費者に痛みを与えないと述べているが、同時にギャンブル依存問題を作り上げる原因になることも認めている。(Daily Finance)

サム・スコルニク氏(ジャーナリスト)は、こんなことを述べています。

私自身が5年間ラスベガスに住んで言えることは、ラスベガスというのは、米国で最も社会秩序が崩れている地域の一つだ。言うまでもなく、ギャンブルが秩序の乱れの一因であり、ラスベガスにはギャンブル依存症、住宅の差し押さえ、住居侵入窃盗が極めて多い。セブンイレブンにもスロットマシーンが置いてあるくらいだから、とにかくラスベガスにはギャンブルが蔓延している。ラスベガスのような街を築きあげたい、という他の地域の人々の話をよく聞くが、ラスベガスには大した経済的な発展は無く、目立つのはマイナスな事ばかりだ。安易にギャンブルを許可する前に、私たちはギャンブルが与える社会的コストを慎重に考えるべきだ。

話を戻しましょう。ギャンブルだけでなく、失業、病気などが借金をつくる原因となり、これが場合によっては借金取りに追われる結果となってしまいます。CNNマネーも指摘していることですが、借金取りに追われるという事実を作ってしまうことは信用度を大きく落とします。信用度の低下はクレジット・スコアの低下を意味しますから、自動車ローンや住宅ローンの申し込みに大きなマイナスとなります。

「米国人の3人に一人が借金取りに追われている」、というのは米国人の3分の1がクレジット歴に問題有り、ということになります。この状況が更に悪化するようなことになれば、住宅や自動車の売上に当然悪影響となることでしょう。もちろん、借金取りに毎日追われていたのでは気分が悪くなりますから、気晴らしにカジノへ行く人たちも増えそうです。

(参照した記事:1 in 3 U.S. adults have 'debt in collections'

How Gambling Can Kill You Faster Than Drug Abuse or Alcoholism

Gambling Kills!

The High Price of America's Gambling Addiction)



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マクドナルドの1分サービスは愚策?

08月09日
マクドナルドの売上は下降が続き、株価も同様に下げている。悪いのは中国からの肉だ、とマクドナルドは言うが、低迷の原因はそれだけではない。-- マーケット・ウォッチ

米マクドナルドは8日、2014年の世界売上高見通しを達成できない恐れがあることを明らかにした。期限切れ食肉の使用問題を受け、中国で主力の「ビッグマック」や「スパイシーマックウィング」などの販売停止を余儀なくされたことが背景。 -- ロイター




マーケット・ウォッチが指摘しているように、マクドナルドの売上低迷は期限切れの肉だけが問題ではありません。

チポトレやファイブ・ガイズの台頭でファストフード・レストランの競争が激化し、マクドナルドは正に苦戦状態だ。 -- ビジネス・インサイダー

状況を改善するために、マクドナルドはどんな措置をとったでしょうか?三日前の報道です。



注文したものが1分間で用意できない場合は無料、という意味になります。要するに、「1分サービス」の実施です。これが実施されるのはフロリダ州にあるマクドナルド約800店に限られ、更に条件としてドライブスルーの利用者、期間は8月29日まで、そして週日の正午から午後1時までという制限があります。QSR誌の調査によると、ファストフード業界のドライブスルーの平均待ち時間は3分1秒です。1分ということは待ち時間を3分の1にすることですが、はたして、そんなことが可能なのでしょうか?

「30分以内に配達できない場合は無料」、というキャンペーンをドミノ・ピザが実施したことがある。結果はどうだっただろうか?時間に追われる従業員はストレスがたまり、配達中の交通事故が増えた。とうぜん従業員たちの会社に対する不満は増大し、客たちの苦情も増えた。結局キャンペーンは中止となった。 -- Aolニュース

ドミノ・ピザが失敗したからマクドナルドも失敗する、と断言することはできませんが、人々は1分サービスに懐疑的です。

・ ただでさえ、マクドナルドの従業員の客に接する態度は悪いのに、1分サービスなど始めたら態度はいっそう悪くなる。

・ 注文の間違いが大きく増えることだろう。言い換えれば、1分サービスのお陰で、素早い注文間違いが増えるだろう。

・ 1分サービスが成功することはない。そもそも、客の中には注文するのに1分以上かかる人たちがいる。それに支払いにモタモタする人も多いから、1分サービスが成功する筈がない。

・1分サービスは失敗する。無料で食べ物を得るために、1分では用意しきれない量の注文をする人が続出しそうだ。

・ 1分サービスでマクドナルドに対する不満が増えることだろう。全ての人がニュースを最後まで読むとは限らない。おそらく、ほとんどの人はヘッドラインを見るだけだから、1分サービスは全米で実施されるとカン違いしている筈だ。


正午から午後1時までというのは昼食の時間帯ですから、店が混雑します。このような忙しい時間帯に1分サービスを実施することは従業員に更なるストレスとなりますから、多くの人たちが心配しているように、サービスの質が低下しそうです。1分サービスなどやらないで、「夏季はドリンク無料」を実施したほうが良いと思われます。

(参照した記事:McDonald’s sales, stock suffer worst slump in a decade

期限切れ肉問題、米マクドナルドが通年業績で警告

McDonald's testing one-minute drive-thru service

McDonald’s: 1-minute guarantee or you get FREE food

Why People Care So Much About McDonald’s One-Minute Drive-Thru Guarantee)



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米国株式市場: いよいよベアマーケットが始まった?それとも単なる一時的な調整?

08月06日
大橋ひろこ氏(
http://hiroko.yutaka-shoji.co.jp/2014/08/blog-post_5.html)が指摘されていますが、下の日足チャートで分かるように、ダウ工業株30種平均は一目均衡表の雲を下抜けです。



更に注目したいのは遅行スパン(A)、そして重なり下落となっている転換線と基準線(B)です。もし、このまま両方ともローソク足を追って雲を下抜けとなると、いよいよ米国株式市場はベアマーケット入りといった様相になります。

とうぜん疑問になるのはこれです: 「現在の下げは単なる一時的な調整だろうか、それともベアマーケットのスタートだろうか?」 単純に考えれば、米国株式市場の上げ相場は既に5年以上も続いていますから、ここで下げ相場が始まったとしても不自然ではありません。特に最近はウクライナ、中東情勢、それにエボラウイルスなどがありますから売り材料は豊富にあります。

先ず、「マーケットには一時的な下げが起きる、しかしベアマーケットは有りえない」、というマーケット関係者たちの意見です。

・ 海外からのニュースを聞くと心配になってしまうが、米国経済は明らかに回復が進んでいる。インフレ率が上昇しているが、労働賃金の上昇はおだやかだから、連銀は低金利政策を継続させることだろう。株は決して安くはないが、極めて割高なレベルでもない。もう2年以上もマーケットには調整が無いことを考えると、そろそろ調整となりそうだ。-- ニック・サージェン(Fort Washington Investment Advisors)

・ マーケットは10%未満の調整となるだろう。悪化する企業利益がマーケットの大きな下げ要因になるが、現時点ではその心配は無い。もし私の見方が間違いでありマーケットが10%を超える下げとなった場合は、マーケットは急速に回復することだろう。 -- ボブ・ドール(Nuveen Asset Management)

・ 地政学的要素は確かに考慮すべきことだが、ウクライナ、中東情勢が世界経済の回復を完全にストップさせることはできない。忘れてはいけないことは、世界は豊富な資金で溢れているということだ。-- ジョー・クインラン(U.S. Trust)

・ 今日だけに限ったことではなく、マーケットには絶えず調整の危険性が伴う。米国経済の回復は更に強くなり企業利益も向上する、というのが私たちの見方であり、個人や企業による株投資も進むことだろう。-- デイビッド・ケリー(J.P. Morgan Funds)


次は、ベアマーケット入りを唱えるマーケット関係者のコメントです。

・ 私はベアマーケットに投票する。なぜなら、現在の投資家たちはあまりにも楽観的であり、最終的にマーケットに恐怖が戻って来ることになる。恐怖の引き金になるのは迫る金利引き上げだ。ボラティリティの上昇、そして金利の正常化は株価に悪影響となる。このような状況で株価が上昇するためには強い企業利益が必要となるが、私の調べた限りでは、企業利益は株価を支え続けることが可能なペースで伸びることは不可能だ。-- アクセル・メルク(Merk Investments)

・ ベアマーケットがやって来る。低いジャンク債の利回り、割高な株で分かるように、投資家たちは現在のマーケットに全く危険を感じていない。それに、行き過ぎな企業による自社株買い、頻繁な企業合併・買収活動も危険シグナルだ。最近下落となったドイツに本拠地を置く企業の株も、マーケットがこれから更に大きく下落することを示している。-- ウォルター・ジマーマン(United-ICAP)


(情報源:Is it just a pullback, coming correction or beginning of bear market?)



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今週のマーケットを振り返り: なぜマーケットは急落したのか?

08月03日
突然の用事で、木曜と金曜のマーケットを見ることができませんでしたが、こんな時に限って大きな動きが起きるものです。



「厳しい急落となったが、調整の心配をするのはまだ早すぎる」 -- ロイターからの見出し

米国株式市場は二年ぶりの大幅下落となり、いよいよ本格的な調整が訪れた、と投資家たちは心配している。しかし、アナリストたちの強気姿勢は変わっていない。S&P500指数は2.7%の下落となり、1週間の下げ幅では2012年6月以来の大きな下げとなった。(ロイター)

急落で投資心理は一気に冷え込んでいます。



上はCNNマネーに掲載されているFear & Greed Index(恐怖&欲指数)です。現在の数値は5ですから、投資家たちは大きな恐怖を感じている状態であり株に対して極めて悲観的です。1ヶ月前の数字は極めて楽観的な87でしたから、投資センチメントは180度の方向転換です。

マーケットはなぜ急落となったのでしょうか?サム・ロー氏(ビジネス・インサイダー)は、こんなことを指摘しています。

現在のマーケットには色々な売り材料がある。たとえばアルゼンチンの債務不履行、イラク情勢、経済制裁に対するロシアからの予期される報復などがある。しかし、多くのトレーダーたちが売り材料として挙げているのは「労働コスト指数(ECI)」だ。



木曜午前8時半に発表された労働コスト指数は、アナリストの予想していた0.5%を上回る+0.7%という結果だった。これは明らかなインフレのシグナルであり、連銀は私たちが思っているより早急に金利を引き上げる可能性がある。

2.7%の下落となったS&P500指数とは反対に、今週最も買いを集めたのは+7.49%のギャンブル株指数です。



金曜、指数は200日移動平均線を決定的に上放れています。この指数は、International Game Technology、Bally Technologiesなどのスロットマシーンやビデオ・ポーカーなどのゲーム機器を製作する企業で構成されています。

プラス0.4%のアジア銀行株指数も確りしています。



強い上昇基調です。この指数はShinhan Financial Group Company Limited、HDFC Bank Ltd、KB Financial Group, Inc、Mizuho Financial Group、ICICI Bank Ltdなどで構成されています。

下はS&P500指数の日足チャートです。



円で囲いましたが、ストキャスティクスは久しぶりに20を割り、マーケットは売られすぎな状態であることが示されています。位置的には、そろそろ小さな反発ラリーが起きそうです。しかしFear & Greed Index(恐怖&欲指数)が示すように、極めて悲観的な投資家たちのことを考えると、一時的な反発は持ち株処分の機会に使われてしまうかもしれません。

(参照した記事:Despite sharp selloff, too early to worry about a correction

Traders Are Blaming Thursday's Big Sell-Off On 1 Stat)
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