羽根英樹
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通信講座『イベント投資倶楽部』主宰。 兼業投資家。投資歴30年以上。現在は株の売買をメインに、年2〜3割のペースで資産を増やし現在の運用資産は数億円となる。 1993年からコモディティ市場でサヤ取りを始める。コモディティの出来高が減ってからは、サヤ取りの技術を応用し、リスク管理を徹底したトレードを実践している。現在はイベントトレードをメインに売買し着実に利益を積み重ね過去十年以上年間プラスを維持し続けている。 サヤ取りの秘密を暴露しすぎと一部の投資家から怒られた話題の本『サヤ取り入門』のリニューアル版『サヤ取り入門 [増補版] 』は、発売以来ベストヒットを続けている。そのほか、著書に『マンガ サヤ取り入門の入門』、『マンガ 商品先物取引入門の入門』、『イベントドリブントレード入門』(全てパンローリング)などがある。
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『羽根英樹のイベントドリブントレードブログ』
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株式のサヤ取り 2007年07月29日
8月25日開催のサヤ取りセミナーでは、異銘柄サヤ取りのひとつとして、株式のサヤ取りを取り上げる。私のメインの市場は、あくまで商品の同銘柄異限月で、これは将来も変えるつもりはない。商品の異銘柄、株式はサブの市場であるが、これはこれでノウハウが必要になる。同銘柄異限月のノウハウが使える部分と使えない部分があるのだ。単純に、同銘柄異限月のサヤ取りを専門にやっている人が、同じ感覚で異銘柄や株式サヤ取りをすれば、大ケガをする可能性がある。商品の異銘柄サヤ取りについては別の機会に述べたい。株式サヤ取りは巷で言われているほど簡単ではない。株式サヤ取りの手法にはいろんな方法があるが、ひとつに同じ業種の銘柄同士で売りと買いを組み合わせる方法がある。過去のサヤから割高割安を判断して仕掛け手仕舞いを行うのだという。一見合理的に見えるが、大きな問題がある。企業の業態は年々変わっていく場合がよくあることだ。創業当時は製造業だった会社が、流通やサービス業を兼業していくことは珍しくもないし、生産するものも時代の流れと共に変わるのが普通だ。繊維業界は、本業が斜陽化するに伴ってどんどん他の業種に進出していった。つまり現在の銘柄Aは、過去と収益構造が全く違う可能性がある。こんな銘柄でサヤ取りを行おうとしても、過去の割高、割安は全くアテにならない。この手法では過去のサヤから割高、割安を判断するのは危険なのだ。
株式サヤ取りについては、他にいろんな考え方もあり、ヘッジファンドでもロング・ショートという手法がある。個人でもこのロング・ショートと同じような手法を比較的簡単に行う手法を、私の友人の土屋氏が提唱している。興味のある方は一度見てみると良いと思う。簡単な割に優れた方法だと個人的には思っている。
土屋氏の手法はこちら
■8月25日(土)開催!「堅実リターンの究極手法 サヤ取り実践セミナー 」
→詳細は、こちら
逆ザヤ-その3- 2007年07月21日
順ザヤ期の上昇相場は、通常先限主導になるが、品不足から逆ザヤになると期近主導の上げになる。つまり中心限月は、先限であるが、期近が主導するというヘンテコな事が起こる。この時期相場は乱高下を起こすことが多く、変動幅も大きい。サヤ取りのノウハウとしては、順ザヤ時期のものが通用しなくなり、アタマを切り替える必要があり、この時期のサヤ取りを難しくする一因になっていると思う。ただし、あくまでこれは穀物など、通常順ザヤを形成している銘柄が逆ザヤになった場合の事である。
逆ザヤ-その2- 2007年07月20日
期先が中心限月になっているのは、恐らく日本の商品先物市場だけであろう。海外の先物市場でも、日本の株、金融先物でも中心限月は期近である。なぜこんな事になっているのは定かではないが推測すると、日本の先物市場は短期決戦だったからではないかと思う。日本の先物市場のルーツ米相場は3限月制であったようだ。また繊維関係は、連続6限月制で、発会から納会まで半年だ。総じて古くからある銘柄は半年で納会になるものが多い。現物市場に一番近い値段が付くのは、理屈から言えば当限になるはずで海外や日本の株、金融先物はこの当限、或いは当限に近い限月が中心限月になる。半年も一年も先の限月は指標にはならないという理屈であろう。さて、日本の商先は現物に近い期近ではなく期先であるところに、日本独特のサヤ取り妙味が発生する。海外先物では、パターン1bなど発生しないのだ。
(つづく)
逆ザヤとセミナー 2007年07月19日
サヤの種類には、大きく分けて順ザヤと逆ザヤがあることはサヤ取りを実践している人なら誰でも知っている事だ。期近より期先が高い状態を順ザヤ。期先より期近が高い状態を逆ザヤと呼んでいる。通常、農産物などでは、先限ほど保管コストが高いので、順ザヤになっているケースが多い。海外の商品先物でもこれは同じで、あちらではコンタンゴと呼んでいる。ところが品不足がおこると、農産物でも逆ザヤになることがある。バックワーデーションだ。サヤ取り屋にとって、逆ザヤは狙い打ちをすれば結構美味しいサヤになるが、順ザヤ期より仕掛け手仕舞いが難しい面もある。ここで少し宣伝をさせていただくと、8月25日(土)に、東京・三田でサヤ取りセミナーを行う予定だが、セミナーテーマの柱の1つが、この逆ザヤである。前回までのセミナーは、入門編と戦略編に分けて開催していたが、今年はある程度のサヤ取り経験者を対象とするセミナーになる。従って基本的な解説は最小限度に留めて、純粋に戦略編として時間を割きたいと思う。他では聞くことの出来ない内容のセミナーにすべく現在準備中だ。
■8月25日(土)開催!「堅実リターンの究極手法 サヤ取り実践セミナー 」
→詳細は、こちら
格差とサヤ取り 2007年07月15日
格差というのが、一種の流行語のようになっているらしい。たとえば、某芸人と某タレントの結婚は格差婚と言われたりする。春に行われた統一地方選挙では地域格差是正というのを公約に掲げている候補者が多数いた。地域格差の定義がどうもあいまいなのだが、どうやら、所得格差と、インフラの格差が問題らしい。インフラを整備するには、金がかかるから、財源のない自治体が不利になるのは当然なのだが、そう簡単に住民税を上げるわけにはいかない。よく、どこそこの自治体は住民税が高いとか、安いとか言われているが、実は自治体毎の住民税の差は非常に少ない。それよりも国民健康保険の額のほうが遙かに地域格差が大きい。特に富裕層は極端に地域によって異なる。私は富裕層でもないし社会保険なので関係ないのだが、何故、保険料が所得によって変わってくるのかは謎である(笑)所得の高い人ほど医療費が高くなるデータでもあるのだろうか?つまりこれは、保険というのは名ばかりで、一種の税金とみなすべきなのであろう。それにしてもあまりに極端な累進課税(保険料)にすると、金持ちは、他の自治体に逃げたりしないのかと心配になってしまう。あるいは、自費で医療にかかる方が安いからと、国保料を払うのを辞めて生保の医療保険でいいやと思うとか・・あ、これも一種のサヤ取りですね。国保売り-生命保険買いのパターン1ですね。でも、このパターンのサヤ取りで、利益が出る人は出来る人はごく少数でしょうね。私には無縁のサヤ取りですな。冒頭の格差婚だが、某芸人から見れば逆ザヤ縮小のパターン4になるのでしょうかね。余計なお世話ですね。失礼しましたーー
関西人は割高を嫌う-県境でのサヤ取り- 2007年07月08日
Tという関東の電鉄系の店がある。ここは、工作材料やちょっとおしゃれなグッズを置いている事でだれでも知っている店である。大阪の北部にこの店が出店した際に、複数の人間から、同じせりふを聞いた。「定価販売のくせにエラそうな店や」なるほど、確かに関西ではデパートでも値切るというくらい、割引が当たり前の社会にあって、定価販売というだけでお高くとまっているというイメージなのだろう。ある人はこのTを展示場だと割り切っている。Tに商品を見に行きメーカーと品番をメモをして、業者から割引価格で買うという猛者である。かように関西では安く買うことに執着する文化がある。ところで、最近某ハンバーガーショップが地域別価格を導入した。特定地域だけ値上げに踏み切ったのだ。値上げ地域は、東京、神奈川、京都、大阪。割高を嫌う関西人への挑戦ともとれるこの処置。大丈夫なのか?例えば、大阪府と兵庫県の府県境に近い地域では、兵庫買い-大阪売りのサヤ取りが実施されるのではないかと懸念する。いや、冗談ではなく、消費税である州税が高いニューヨークと、安いニュージャージーの州境では、ニューヨーク売り-ニュージャージー買いのパターン1が起こっているのだ。州境のニュージャージー側にショッピングセンターが多数出店して、ニューヨークから大量の買い物客が押し寄せているという。ニューヨーク州当局は怒っているらしいが、サヤ取りが発生するほど、州税に違いがある事が問題であろう。いやー経済って本当におもしろいですね。
安く買うコトとサヤ取り屋 2007年07月05日
私は関西に住んでいるが、時々、関西の文化について考えさせられる。東京を中心とする関東との間で価値観が大きく違うことがある。東京(というより一般的にはかも・・)では、高い品物を「こんなに高かったのよー」「へえすごいねー」と自慢と尊敬の対象になるが、大阪を中心とする関西では、「こんなに高かってん」「あー。アホやな、隣の店では2割引やったのにーー」となってしまう。関西で自慢したければ、「○○を○○円で買うてん。安いやろぉ?」「そら安い!ええなぁ」と、安く買ったコトを話題にしなければならない。江戸時代、武士は食わねど高ようじ。という見栄の文化の江戸と、商いの利は仕入れにあり。となるべく安く買う上方の文化の差ではないだろうか。経済の世界では、同じモノなら安く買う事は合理的な行為なので、経済の健全性は、関西のほうが上なのではないだろうか。(完全に贔屓であることはわかっているが)まあ別の言葉で言うと「ケチ」と言うことですな。ちなみに私の周りにいるサヤ取り屋もケチが多い。経済的合理性があるヤツばかりなのだ。もちろん良いことばかりではない!
サヤ取りとザラバ化 2007年07月02日
これまで、書籍、レポート、セミナーなどで板寄せ銘柄のサヤ取りを中心に、述べてきたし、自分自身も板寄せ銘柄を中心にしてきた。しかし、東京ゴムがザラバ取引になり、東穀も、アラビカと粗糖を皮切りにザラバ化を進めるようだ。一般のサラリーマン等(昼間仕事などで)日中、気配値を見ることが出来ない立場のサヤ取り屋にとって、ザラバは非常に使いづらい。気配値を見ずに成り行き注文を出すのは、目隠しした状態で、ダーツを投げるのと同じだ。これで有利な値段で売買できたら相当運が良かった事になる。寄り付きで注文を出すと更に悲惨なことになりやすい。そもそも寄りは、当限から、先に寄り付いて、2番限、3番限と時間差があるので値動きが激しいと、このタイムラグがリスクになってしまう。又、全体の出来高が多い銘柄でも、期近は非常に板が薄く不利になりやすい。
とはいえ、それまでサヤ取りを実践してきた板寄せ銘柄がザラバ化されれば、何らかの対応をせざるを得ない。このあたり、皆さん苦心しているようで、小技を用いる事になる。昼間、モニタに張り付くことが出来る人にとっては、想像も出来ないであろう苦悩である。
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