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優利加

2003年8月から個人投資家に株式トレード技術の指導をする「優利加塾」を開講。2007年4月から准教授として大学及び大学院にて「数理ファイナンス」、「金融工学」、「ファイナンス概論」、「経営財務」などの科目を講義する一方、学部生及び大学院生の「演習(ゼミ)」の指導も行っている。モットーは「自他共楽」と生涯現役の株式トレード。著書の『 生涯現役の株式トレード技術』は、2006年2月出版以来、続々と感動の声が殺到。 ブルベア大賞2006 大賞を受賞。

「生涯現役のトレード日記」

予想EPSが下げ渋ってきた

02月20日
昨年12月以来、日経平均ベースの予想EPSは歴史的な急低下を続けてきましたが、どうやらやっと下げ渋ってきました。111.48円(2月16日)、111.92円(2月17日)、昨日(2月18日)は109.83円です。PBRも0.88〜0.90の間で推移しています。1970年1月以降で日経平均ベースのPBRが1.0を割り込んだのは初めてです。予想EPSから計算する日経平均のファアバリューはとてつもなく低くなりますが、PBRの下方硬直性を考慮しなければならないので、フェアバリューの算定がとても難しくなっています。したがって、底値の目処が立ちません。まだ当分の間、アメリカ株次第で振り回されることを覚悟しておきましょう。

2月と3月は大学が春休みなので、私の専門分野であるコーポレートファイナンスだけでなく、会計学、簿記論、財務分析、ミクロ経済学、マクロ経済学、金融論、計量経済学などの専門書、合計25冊をスケジュールを立てて読破中です。平均2日で1冊読破のノルマです。耳鳴りに悩まされながらも、錆が浮いてきた頭をフル回転させながら、時折、油をさしつつほぼ計画通りに実行しています。

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大切なのは原理・原則と基本

02月09日
拙書「生涯現役の株式トレード技術」のある読者から次の質問がありました。

【質問】
34ページ「先導銘柄に注目」の項で景気の転換点で鉄鋼株の動きがが日経に先導してるとの過去の話がありましたが、今回の下落(昨年後半からの)は、鉄鋼と日経とのチャートを見たのですが殆ど同時に上昇、下落をしており、先導云々は見られないように思われます。相場の世界ですから、何が起きても・・・・不思議は無いとは理解してますがどの様に解釈したらよいのでしょうか。ご教示いただければと思っております。

上記質問に対して、以下の通り解答しました。

【回答】
拙書が何らかの参考や良い刺激になっていれば著者として光栄です。
ご質問の鉄鋼株の先行性についてですが、今回は日経平均とほぼ同時、2007年7月にピークとなりました。過去と違い、今回は先行はしなかったのですが、鉄鋼株が天井打ちし、下げ始めると相場全体も天井打ちするという経済の循環法則は今回も有効に機能しました。その理由は、市場参加者の大多数が先行きの経済活動はまだまだ活発化すると見れば、鉄鋼需要が増加し、売上が増加し、一株利益も増加するので、株価は上げ続けます。しかし、もうこれ以上経済活動は活発化できないと見れば、鉄鋼需要は徐々に減少し、売上も減少し、一株利益も減少します。その循環を見越して株価は動いています。

その一つの証拠として有効求人倍率は2006年7月にはそれまでの上昇トレンドから頭打ちとなり2007年春からは下降トレンドを描いています。有効求人倍率の意味を理解していれば、これが企業活動について何を意味しているかわかりますよね。
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0722&asi=3

株価もそうですが、物事には必ず、「原理・原則」と「基本」があります。それに数々の「ノイズ」が混じりこんで、我々が目にする現象が観測されます。株式相場で生涯現役を目指すならば、まず、「原理・原則」と「基本」を十分理解しておく必要があります。

ご健闘を祈ります。

優利加
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予想一株利益が2週間で半分以下に

02月08日
株式トレーダーの観点からは相場が上げようが下げようが、トレンドが継続する限りどちらでも構いません。しかし、経済全体を考えると極端な下げが続くと、世の中が不安定となり困ります。

2月6日(金)現在、日経平均ベースの一株利益は224円(=日経平均8076.62÷予想PER36.05)まで更に急低下しています。

先月23日時点の予想一株利益は482円(=日経平均7,745.25÷予想PER16.07)から僅か2週間で半分以下まで急落しました。我々は後世の経済史に間違いなく刻み込まれる歴史的事件の目撃者です。

永久アニュイティモデル(成長率がゼロと仮定)で評価すると、資本コストを6.5%と仮定して

PV = 224/0.065 = 3,446

というとんでもなく低い数値となります。日本経済の景気はそれほど悲観的な状況です。

リスクプレミアムを5%ではなく、4%と低めに見積もると、資本コストは5.5%となりますが、その場合のフェアバリューは

PV = 224/0.055 = 4,072

と計算されます。

景気が悪化すると、家計も企業も自分を守るために一斉に節約に走ります。すると、経済全体はさらに縮小し、景気がますます悪化します。今回の景気後退は世界金融危機が発端となっており、日本一国ではどうすることもできません。アメリカが中心となり世界の主要国が協調して財政出動して有効需要を創出する以外に現実的な方法はないでしょう。J.R.ヒックスの景気循環理論「玉突き台の理論」における景気循環の下限線である「独立投資」を増大させることです。オバマ政権が提案している70兆円の財政出動が議会で承認されるかどうか、世界中が固唾を飲んで見守っています。金曜日のアメリカ株は、この財政出動が議会で承認されることを見越してNYダウは+217.52ドル、NASDAQは+45.47と大幅反発しました。もし、否決された時の反動は恐ろしいものがあります。
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日経平均は再び7,000円割れも

02月06日
1月26日現在、日経平均ベースの予想一株利益が481円まで低下しました。今後、450円程度まで低下すると予想されています。

資本コストを6.5%(10年国債利回り1.5%+リスクプレミアム5.0%)と仮定し、減価償却費は全額投資に充てると考えると、一株利益をフリーキャッシュフローの近似値として使えそうです。

コーポレートファイナンスの知識がある人は理解できると思いますが、481円がフリーキャッシュフローとして、これが永久に続くと仮定すると、481円の永久アニュイティの現在価値が株価の理論値となります。

この仮定に基づいて日経平均の理論株価を計算してみましょう。

PV = A/r = 481/0.065 = 7,400

つまり、7,400円です。どうでしょうか。実際の株価に非常に近い数値となることが分かると思います。481円が450円まで下がるとすると、

PV = A/r = 450/0.065 = 6,923

つまり、予想一株利益が450円まで低下すれば、日経平均は再び7,000円割れもありうるということです。

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